■鶏肉・油価格高騰、巣ごもり需要減少、コンビニ・スーパー競争激化が要因
帝国データバンクは、2023年の「唐揚げ店」の倒産動向の調査結果を発表した。2023年は唐揚げ店の倒産がかつてないペースで急増した。持ち帰りを中心とした「唐揚げ店」経営業者の倒産は27件。これは前年の9倍増であり、2021年の6件を大幅に上回る。
倒産した唐揚げ店は、オリジナルブランド店、大手唐揚げチェーンのフランチャイズ店、本業以外のサブビジネスとして唐揚げ事業に参入した事業者など様々だった。しかし、多くが1~2店舗を展開する小規模な事業者であり、水面下の閉店や廃業を含めると、さらに多くの唐揚げ店が市場から退出したと推測される。
2023年は、唐揚げビジネスにとって非常に厳しい年となった。鶏肉は鳥インフルエンザの影響で供給量が減少、飼料価格の高騰による牛肉・豚肉価格上昇の影響で国内鶏もも肉卸売価格は5年間で約2割上昇した。また、調理用油のキャノーラ油も5年間で約7割値上がりしており、価格転嫁が難しい小規模店の経営を圧迫した。
さらに、コロナ禍の巣ごもり需要が下火になったこと、物価高による消費者の節約志向の強まり、コンビニやスーパーの総菜品や半額以下の冷凍唐揚げなど、専門店より割安な競合製品への顧客流出なども倒産に拍車をかけた。
足元では、唐揚げビジネスに代わり、おにぎり店など新たなテイクアウトビジネスも台頭している。唐揚げブームから2年が経過し、一巡の兆しも見られる中、今後も唐揚げで勝負する企業が増えるのか、新たなビジネスへチャレンジする企業が増えるのか注目される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)