【どう見るこの相場】新紙幣発行のカウントダウンは関連株相場フィナーレのオープニングベル

■経済波及効果は限定的?100兆円の「タンス預金」の行方

 カウントダウンが始まる頃合いだ。Xデーが、あと38日後と迫っている。7月3日の新紙幣発行である。財務省・日銀は、円安・ドル高沈静化への為替介入では、マーケットと忙しく駆け引きを繰り返しているが、こと新紙幣発行は、粛々と進めている。相場イベントとしても、すでに2019年4月に20年ぶりの新紙幣発行が発表され以来、何度もその経済波及効果を手掛かりに関連株相場が展開され、流通大手や大手電鉄などでは関連機器・システムも導入などの対応をほぼ済ませているともいわれており、株価インパクトとしては二番煎じ、三番煎じの見方があることは否定できない。

 しかし小売業や外食産業の中小事業者では、別の側面が指摘されている。円安による物価上昇を価格転嫁できずに苦しんでいるうえに、新紙幣対応の設備投資のコスト増が重なることからなかなか関連機器・システムの導入に踏み切れずにいるというのである。残り38日間、最後の決断を迫られることになる。

■特殊詐欺やタンス預金問題も浮き彫り、社会への影響に懸念

 また新紙幣発行に伴い旧紙幣が使用できなくなると偽りの電話を掛けて現金を騙し取る特殊詐欺事件の頻発も懸念され、注意喚起のキャンペーンが展開される社会問題にもなり兼ねず、マスコミへの露出度が高まることも想定される。さらに今回の新紙幣発行の目的の一つには、「タンス預金」のあぶり出しがあるといわれているが、これに関連した異変(?)も想定される。

 この「タンス預金」は、1127兆円に達する家計の保有する現金・預金のうち100兆円程度と推定されている。この「タンス預金」が、折からの預貯金金利の引き上げで銀行・郵便局に還流するとともに、新NISA(少額投資非課税制度)効果で株式市場に流入したりすればそれはそれでサプライズとなる。家計の保有する株式は276兆円、投資信託は106兆円であり、「タンス預金」流入のインパクトの大きさは容易に想像がつく。「タンス預金」が、所得捕捉を怖れて金地金投資に向かう手もあるかもしれない。

 要するに新紙幣発行まで残り38日間は、カウントダウンが始まる最終ラウンドである一方、関連株相場のフィナーレのオープニングベルが鳴る可能性もあるということである。これから38日間、新紙幣発行に向けての関連業界の業界動向や社会問題などをウオッチしつつ関連株への再アタックもあるいは勝算を計算できることになるかもしれないのである。そこで今週の当コラムでは、主力株の方向感が、米国市場の動向に左右されまだ不安定な相場環境下、この圏外に位置し経済効果が1兆6000億円とも観測されている新紙幣発行関連株に再度、注目し再浮上余地のある銘柄を取り上げることとした。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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