■「円安値上げ」全品目の3割に拡大、今後はさらに加速か?
帝国データバンクによると、2024年6月の食品値上げは614品目に達し、前年同月比83.7%減となった。値上げ品目数は2カ月連続で1000品目以下となり、値上げ沈静化の傾向が続いている。しかし、値上げ1回あたりの平均値上げ率は16%となり、22年以降で最高だった前月(31%)を大きく下回った。
6月の値上げ品目の中で最も多かったのは「加工食品」で329品目だった。特に、味付け海苔など「海苔製品」の値上げが目立った。カカオ豆の価格高騰の影響は、「菓子」(138品目)ではチョコレート製品に、「酒類・飲料」(28品目)ではココア製品などにみられた。酒類・飲料では他にも、オレンジ果汁を使用したジュースなども値上げとなる。「乳製品」(80品目)ではアイスクリーム類の値上げがみられた。
■原材料高と円安がダブルパンチ!年後半はさらに値上げラッシュか?
2024年6月の値上げ要因は、主に「原材料高」と「円安」の2つが挙げられる。原材料高は90.7%を占め、特に春以降の値上げで影響が広がった。猛暑や干ばつなど天候不順による不作で、カカオ豆やコーヒー豆、オリーブ、オレンジなどの輸入果汁で価格高騰が目立ったほか、国産食材でも海苔製品を中心に価格引き上げが行われた。
円安の影響も拡大しており、24年(1-10月)に予定される値上げ品目のうち、「円安」要因の値上げは品目数ベースで29.2%となり、前年の同時期(11.5%)に比べて約3倍の水準に拡大した。
今後は、原材料高と円安のダブルパンチにより、値上げはさらに加速する可能性がある。特に、輸入原材料を多く使用する食品では、不作や地政学的リスクによる急激な価格変動リスクを織り込んだ値上げが進む可能性がある。また、円安が長期化または一段と進行した場合、当初予想の品目数から上振れすることも想定される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)