上場2日目のアストロスケールHD反落、「グロース株」への資金シフトが一因の見方

■JAXA(宇宙航空研究開発機構)はじめ英、仏のプロジェクトでミッションを遂行

 6月5日新規上場となったアストロスケールHD(アストロスケールホールディングス)<186A>(東証グロース)は6日、朝寄り直後の1445円(70円高)を上値に値を消し、一時14%安の1188円(187円安)まで下押した後も1200円台で推移し、反落模様となっている。「宇宙ゴミ」(デブリ)除去の事業化を目指すベンチャー企業で、上場初日は初値1281円(公開価格850円の51%高)、高値1581円(同96%高)、終値1375円(同62%高)と好スタートだった。6日の株式市場で売買人気が半導体関連株などの「グロース株」にシフトしていることが一因との見方が出ている。 

 「宇宙空間の非協力物体」(デブリなど、位置情報を発信せず自由運動(回転など)をして宇宙空間を飛翔している物体)の除去などの事業化をめざすスペースベンチャー企業。現在はプロジェクト収益(売上収益+政府補助金収入)が頼りだが、2024年4月期はプロジェクト収益44億円(前年同期比145.4%増)を見込んでいる。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、デブリ除去を新規宇宙事業として拓き、民間事業者が新たな市場を獲得することを目的として、デブリ対策の事業化を目指す民間事業者と連携し、世界初の大型デブリ除去等の技術実証(CRD2:商業デブリ除去実証)を開始した。実証は2回に分けられ、まず第一段階であるフェーズ1の契約相手方の公募を実施し、2020年に当社グループが採択され、フェーズ1を遂行する当社グループのサービサー衛星が24年2月18日に打ち上げられた。当該サービサー衛星をADRASJ(アドラス・ジェイ)と呼び、ロケット上段の観測を目的とするISSAミッションを遂行する。

 技術実証CRD2のフェーズ2は、フェーズ1で得られた情報も踏まえ、宇宙機を観測済みの当該大型デブリに接近させ、捕獲し、除去するADRミッション。日本では、当社の国内連結子会社である株式会社アストロスケールが、JAXAのCRD2フェーズ2のフロントローディング技術検討を完了した。23年12月には、フェーズ2に係る最終的な公募が発出され、同社は24年2月に入札を実施し、24年4月に採択された。英国では、Astroscale Ltdがイギリス宇宙庁(UKSA)のデブリ除去プログラム COSMIC Phase B(契約金額:約2.0 百万英ポンドに係る開発を進め、23年9月にシステム要求審査(SRR)が完了した。同プログラムにおいて、英国政府は27年4月期中の打上げを目指しており、後続フェーズに係る公募においても、当社グループは提案・入札する予定でいる。フランスでは、当社のフランス連結子会社である Astroscale France SAS がフランス国立宇宙研究センター(CNES)からデブリ除去に関する研究案件を受注した。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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