■価格改定が後押し、キャットフードとスナックが市場拡大を牽引
総合マーケティングビジネスの富士経済は、新規飼育頭数の減少、ペット寿命の延伸、各種コスト高騰を背景とした価格改定、ペット家族化の進展、新たな給餌や各種ケアの習慣化など、取り巻く環境の変化が著しいペット関連市場の調査結果を発表した。
国内のペットフード市場は2023年に前年比11.9%増の4754億円に達した。原材料費や物流費の高騰に伴う大幅な価格改定が市場の成長を後押しした。特に、ドッグフードやキャットフード、猫用スナックといった主要カテゴリが高い伸びを示し、市場を牽引している。また、ペット保険の加入者が増加したことも動物病院での療法食の需要を押し上げ、全体の市場拡大に貢献している。
■ペットケア用品市場、消耗品の猫砂やトイレ用シーツが拡大
ペットケア用品市場も2023年に価格改定が実施されたことにより拡大した。猫砂やトイレ用シーツなどの室内飼育必需品が伸長したが、各種物価高によりペットオーナーの節約志向が強まり、安価なプライベートブランド(PB)への需要も見られる。ペット生活用品市場は、コロナ禍に高価な高付加価値製品が多く販売されたが、2023年は節約志向の高まりにより低価格品へのシフトが見られ、全体的には横ばいとなった。
■ペット関連ビジネス、1兆5000億円超の市場規模に成長
ペット関連ビジネス市場は2023年に1兆5000億円を超えた。生体市場は価格の低下や数量減少で縮小したが、動物用医薬品やペット関連サービスは横ばいで推移した。ペット保険市場は依然としてオンライン経由の新規契約が活況であり、2023年の保険契約件数は320.7万件、前年比8.4%増となった。今後も低価格保険の増加や治療費の高額化により市場は拡大するが、動物愛護法改正によるペットショップの減少やペットの高齢化による厳しい市場環境が予想される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)