【注目銘柄】生化学工業は年初来高値更新、大幅増益転換業績と「SI-6603」のFDA申請受理がサポート

注目銘柄

■今期業績大幅増益転換予想、増配も発表

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、前日17日に12円高の841円と続伸して引け、6月11日につけた年初来高値834円を更新した。今年5月13日の3月期決算の発表で今2025年3月期業績の大幅増益転換を予想、次いで14日には腰椎椎間板ヘルニア治療剤「SIー6603」の生物製剤承認の申請を米国FDA(食品医薬品局)が受理したと発表しており、両好材料がサポートして割安修正買いが増勢となった。テクニカル的にも25日移動平均線が、75日移動平均線を下から上に抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆しており、フォローの材料視されている。

■「SI-6603」の米国の新規罹患患者数は年間300万人~500万人

 同社の今2025年3月期業績は、前期業績が期中の上方修正値を下ぶれて着地したのに対して大幅増益転換を予想している。売り上げ400億円(前期比10.5%増)、営業利益39億5000万円(同9.12倍)、経常利益45億5000万円(同2.69倍)、純利益34億5000万円(同57.8%増)と見込み、純利益は、4期ぶりに大幅増益転換する。海外医薬品の売り上げは、前期に中国向けに前倒して出荷した膝関節機能改善薬「アルツ」の反動で伸び悩むが、国内では、「アルツ」が競合品からの切り替えが進んで薬価引き下げをカバーするなど順調に推移し、ロイヤリティが前期の6億9900万円から45億5000万円に大幅増となることなどが要因となる。配当は、年間30円(前期実績26円)へ増配を予定している。

 一方、「SI-6603」は、米国で実施した第Ⅲ期臨床試験で良好な試験結果となり、ライセンス先のフェリング ファーマシューティカルズ社が、米国学会で同結果を発表しており、FDAに腰椎椎間板ヘルニアに伴う下肢痛を軽減する治療剤として承認を申請し受理された。米国には同疾患の新規罹患患者数が、年間300万人~500万人に達すると推定されており、椎間板に直接注射し、全身麻酔をする必要がなく、手術療法と比べて患者の身体的な負担が小さいことなどから、フェリング ファーマシューティカルズ社は、新治療選択肢として早期提供を実現することを目指す。

■GC示現で低PER・PBR修正に弾みをつけまず22年1月高値奪回

 株価は、昨年11月の前期業績の上方修正も減益転換予想が変わらないとして700円台下位で下値を探り、「SIー6603」の学会発表にも反応は限定的で年初来安値733円まで調整した。それが今期業績の大幅増益転換予想と「SIー6603」申請のFDA受理で様変わりとなって年初来高値を追い、25日線が75日線を上抜くGCを示現して上昇トレンド転換を示唆している。PERは13.3倍、PBRは0.63倍、配当利回りは3.56%となお割安であり、2022年1月高値989円奪回から2021年5月高値1201円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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