【どう見るこの株】カウリスは1Q増収増益業績を手掛かりに成長可能性を見直し上場来安値から続急伸

 カウリス<153A>(東証グロース)は、前日19日に150円高の2093円と続急伸して引け、東証グローバル市場の値上り率ランキングの第11位に躍り出るとともに、6月17日につけた上場来安値1810円からの底上げ幅を拡大させた。同社株は、今年3月28日に新規株式公開(IPO)され、5月15日にIPO後の初決算となる今2024年12月期第1四半期(2024年1月~3月期、1Q)業績を発表しており、増収増益で着地したことを手掛かりにマネーロンダリング(資金洗浄)関連の成長可能性を見直し直近IPO株買いが増勢となった。テクニカル的にも、これまで上値の壁となってきた25日移動平均線にようやくタッチする株価水準まで戻しており、25日線ブレークからの底上げ加速期待を高めている。

■キャッシュレス決済比率が36%に高まるなか契約会社数が続伸

 今期1Q業績は、売り上げ2億2800万円(前年同期比27.6%増)、営業利益9500万円(同42.4%増)、経常利益7100万円(同5.5%増)、純利益4500万円(同6.5%増)と続伸した。同社は、法人向けクラウド型不正アクセス検知サービス「Fraud Alert(フロードアラート)」を金融機関、資金移動事業者、通信業者、インフラ企業に提供しており、消費者向け電子商取引が2022年で前年比9.9%増の22兆7449億円となり、うちキャッシュレス決済比率が36%に高まる好事業環境下、契約社数が新規に4社増加して43社となり、アップセルも堅調に推移し、ARPU(1社当たりの月次売上高)が220万2000円と前年同月と同水準となり直近12カ月の平均月次解約率が1.43%と低下したことなどが、上場関連費用や人員増負担などをカバーする要因となり増収増益となった。

 今12月期通期業績は、IPO時予想を据え置き売り上げ13億6000万円(前期比36.7%増)、営業利益4億9000万円(同65.9%増)、経常利益4億6300万円(同57.8%増)、純利益3億1000万円(同19.4%増)と見込んでいる。なお昨年8月30日に公表されたFATF(金融活動作業部会)の第4次対日相互審査報告書では、日本はマネーロンダリング対策、テロ資金供与対策で合格基準を下回り「重点フォローアップ」分類され関連の法改正も予想され、しかも2023年の疑わしい取引の通知件数が前年比1.2倍の70万件と急増するセキュリティ環境下、同社の「Fraud Alert」のビジネスチャンスが拡大し高成長を牽引することになる。マネーロンダリング対策市場は、資金洗浄市場11兆円~28兆円に対して2兆円に達すると推定されている。

■25日線へキャッチアップで弾みをつけまず最高値調整幅の3分の1戻しへ

 株価は、公開価格1530円でIPOされ、2875円で初値をつけ上場来高値3940円まで上値を伸ばす高人気となった。この反動とIPOラッシュのなか下値を探り、電力データを用いたマネーロンダリング対策の実証実験の開始や今期1Qの好決算で2520円とリバウンドする場面もあったが、全般相場波乱の波及で上場来安値1810円まで再調整した。バリュー的にもPERは40.3倍と東証グロース市場全銘柄平均の48.8倍より相対的に割り負けており、これまで上値の壁となってきた25日線にキャッチアップしたここからは、まず最高値から最安値への調整幅の3分の1戻しの2500円台を奪回し、次に半値戻し水準の初値2875円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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