トレジャー・ファクトリーは23年の最高値に接近、25年2月期2桁増益・連続増配予想

 トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)は、総合リユース業態のトレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態のトレファクスタイルなどリユースショップを複数業態で全国展開し、成長戦略としてSDGsの推進とともに、生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。25年2月期は2桁増益・連続増配予想としている。既存店売上が会社想定以上に好調を維持していることなどを勘案すれば、会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は水準を切り上げて23年4月の最高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。なお7月10日に25年2月期第1四半期決算発表を予定している。

■リユースショップを複数業態で全国展開

 総合リユース業態のトレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態のトレファクスタイルなど、リユースショップを複数業態で首都圏・直営店中心に全国展開している。周辺事業・新規事業としてBtoBライブネットオークション事業、引越・買取サービスのトレファク引越事業、不動産売買・仲介を行うトレファク不動産事業、終活・生前整理サービスのレガシー事業、ドレスやブラックフォーマルをレンタルするECレンタル事業「Cariru」なども展開している。生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指し、マルチブランドの業態展開による販売力やマルチチャネルによる仕入力を強みとしている。

 M&A・アライアンスアとしては、19年1月にシステム開発のデジタルクエストを子会社化、20年2月にAIアプリXZ(クローゼット)運営のSTANDING OVATIONと資本業務提携、20年10月に静岡県中心にリユースショップ直営店を展開するピックアップジャパンを子会社化、22年2月に子会社トレファクテクノロジーズを設立してデジタルクエストのシステム開発受託事業を承継、23年10月に愛知県中心にゴルフ専門リユースショップ「ゴルフキング」を展開するアクオを子会社化、24年2月にゴルフ専門リユースショップ「ゴルフキッズ」を展開する子会社GKファクトリーがアクオを吸収合併した。

 海外はタイ(16年3月進出)のバンコクで直営店を展開し、22年2月期に単年度黒字化した。台湾では21年4月に設立した現地法人Treasure Factory(Taiwan)が22年12月に1号店をオープンした。台湾においても複数店舗のドミナント展開を目指すとしている。

 24年4月末時点の店舗数はグループ合計280店舗(タイの4店舗と台湾の2店舗を含むトレジャーファクトリーが91店舗、トレファクスタイルが84店舗、トレファクスポーツアウトドアが8店舗、ユーズレットが10店舗、ブランドコレクトが7店舗、トレファクマーケットが2店舗、子会社のカインドオルが39店舗、ピックアップが14店舗、ゴルフキッズが15店舗、ゴルフキングが10店舗)で、このうち直営店は246店舗となっている。

 収益面では、引越シーズンで単価の高い生活家電や家具の構成比が高まる第1四半期(3月~5月)の利益率が高くなり、単価の低い夏物衣料が主力となる第2四半期(6月~8月)の利益率が低くなる季節特性がある。

■新規出店やM&Aで成長加速

 中期経営計画(ローリング方式、25年2月期~27年2月期、24年4月10日付で25年2月期と26年2月期の目標数値を上方修正)では、最終年度27年2月期の目標数値に、売上高503億円、経常利益46.7億円、経常利益率9.3%、親会社株主帰属当期純利益30.8億円を掲げている。売上・利益とも年平均成長率10%強を目指し、年間出店数は25年2月期30店舗、26年2月期30~35店舗、27年2月期35~40店舗、3年間累計投資額は50~60億円の計画としている。株主還元については配当性向目標を30%以上としている。なおM&Aを積極推進する方針だが目標値には織り込んでいない。

 基本方針として、リユース事業の成長、新規事業への投資、海外市場での成長、M&Aによる成長、DX投資による成長を掲げている。SDGsの推進とともに、さらなる成長が見込まれるリユース市場においてグループ一体となってリユース・ネットワークの拡大を推進する。そして生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。

 リユース事業の成長では、グループ全体で複数業態を組み合わせて年間25~35店ペースの出店を継続し、リユースのネットワークを拡大する。さらに多店舗体制構築に向けた採用・教育の強化、更なる新業態開発、グループのリユース会社の収益改善を推進する。

 新規事業への投資では、関東と関西の物流拠点の拡張によるBtoBライブネットオークション事業の本格展開、買取と引越をセットで行う独自の買取引越事業の成長加速、レンタル事業への継続投資と新たな柱への育成を推進する。

 海外事業では、タイ事業(21年11月期に単年度黒字化)の利益体制の構築と新規出店、および台湾への進出を推進する。M&Aでは、既存事業とのシナジー効果や新たな収益事業につながるM&Aを積極的に検討する。DX投資では、自社システム部門およびシステム子会社の開発力を活用し、業務効率化、査定効率化、新たな買取機会・販売機会創出などを推進する。

 アライアンス戦略では、22年2月に終活・生前整理分野「Regacy」において、相続対策プラットフォームの「はなまる手帳」を運営するはなまる手帳と業務提携した。22年3月にはALBERT<3906>と共同で、EC出品のために撮影した衣類画像から必要な情報をAIが自動入力する「クロスキャナ」を開発し、トレファク店舗での本格導入を開始した。EC出品業務にかかる「ささげ作業」の大幅な効率化を図り、システム導入前との比較でEC出品点数の10%増加を目指す。22年9月には東急コミュニティーの住み替えサービス「たくす」との連携を開始した。

■25年2月期2桁増益・連続増配予想

 25年2月期の連結業績予想は、売上高が24年2月期比17.7%増の405億62百万円、営業利益が10.8%増の37億12百万円、経常利益が10.2%増の37億33百万円、親会社株主帰属当期純利益が10.0%増の24億66百万円としている。配当予想は24年2月期比4円増配の32円(第2四半期末16円、期末16円)としている。予想配当性向は30.4%となる。

 引き続き既存店売上が伸長し、前期出店店舗やグループ会社も貢献する見込みだ。新規出店(連結ベース)は過去最多となる30店舗、既存店売上(単体ベース)は前年比103%の計画としている。売上総利益率(連結ベース)は0.3ポイント低下して60.3%、販管費比率(連結ベース)は0.3ポイント上昇して51.2%の計画としている。売上総利益率については、仕入に係る送料の一部を販管費から売上原価に変更すること、24年2月期第4四半期から連結PLに取り込んだゴルフリユース業態(売上総利益率30%台後半)を通期連結することなどが影響する。販管費については、ベースアップと定期昇給による年間約6%の増加(人員増影響を除く)に加え、店舗以外の買取拠点の拡張に伴う費用増加なども見込んでいる。

 25年2月期も2桁増益・連続増配予想としている。さらに中期経営計画の25年2月期以降の目標数値も上方修正した。既存店売上が会社想定以上に好調を維持していることなどを勘案すれば、会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

 なお月次売上状況(単体直営店の店舗売上、前年同月比速報値)を見ると、24年5月は全店が118.4%、既存店が107.2%(21年9月から33ヶ月連続前年比プラス)だった。月を通して気温が高く推移して夏物衣料が堅調に推移し、インバウンド需要でブランド品の販売も好調だった。24年3月~5月累計の新規出店は6店舗だった。

■株主優待制度は毎年2月末の株主対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は、毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。

■株価は23年の最高値に接近

 株価は水準を切り上げて23年4月の最高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。7月2日の終値は1814円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS105円35銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の32円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS362円06銭で算出)は約5.0倍、そして時価総額は約442億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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