■3割超が赤字、顧客獲得競争激化も打撃
帝国データバンクの調査によると、2024年上半期の焼肉店の倒産件数が急増し、過去最多ペースで推移していることが明らかになった。1〜6月までの倒産件数は20件で、前年同期比約2.5倍となり、年間の最多記録26件を大きく上回る勢いである。個人営業の小規模店の閉店や廃業を含めると、実際の市場退出数はさらに多いと推測される。
この背景には、コロナ禍で高まったニーズによる出店ラッシュ後の競争激化と、円安による食肉価格の高騰がある。2023年度の焼肉店を中心とする外食企業の業績調査では、赤字企業の割合が34.8%に達し、減益企業を含めた業績悪化の割合は64.6%と過去10年で2番目に高い水準となった。電気・ガス代や人件費の上昇に加え、輸入牛肉や豚肉の価格高騰が経営を圧迫している。
消費者の「値上げ疲れ」懸念から大幅な価格転嫁が難しく、特に小規模店舗では厳しい価格競争に耐えきれずに淘汰されるケースが増加している。原材料費、人件費、光熱費の上昇により、焼肉店での値上げは避けられない状況だが、新メニューの開発や店舗の雰囲気・サービス向上など、客足を維持するための創意工夫が求められている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)