ジャパンフーズの筆頭株主が伊藤忠商事から丸紅グループの投資会社に異動へ、TOBが実質成立し所定の手続を経て上場廃止に

■業績は好調、コロナ禍の21年3月期は一時赤字を計上したが24年3月期は最高益

 飲料の受託製造の大手ジャパンフーズ<2599>(東証スタンダード)は7月9日、丸紅<8002>(東証プライム)グループの資本系列に連なるJAFホールディングス株式会社(東京都千代田区)がジャパンフーズ株式に対して行っていたTOB(株式公開買付)の実質的な成立と筆頭株主の異動について発表した。筆頭株主は、これまでの伊藤忠商事<8001>(東証プライム)からJAFホールディングスに異動する見通し。その後、ジャパンフーズの株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる。

■市場関係者からは、目的達成後に再び上場してもらいたい銘柄との声も

 TOBは2024年5月13日から同年7月8日まで行われた。この間に応募株券等の総数(2,518,204株)が買付予定数の下限(1,459,800株)以上に達したため、公開買付者は、応募株券等の全部の買付け等を行うことになった。伊藤忠商事が所有するジャパンフーズの株式、伊藤忠食糧が所有する同株式、およびこのTOBへの応募を希望する株主が所有するジャパンフーズの株式の取得を目的とした自社株公開買付が7月16日より実施される予定となった。この公開買付を経て、ジャパンフーズの筆頭株主は伊藤忠商事からJAFホールディングスに異動することになる。

 ジャパンフーズの業績は好調で、新型コロナの影響が激しかった21年3月期には連結純利益が赤字を計上したものの、24年3月期の連結決算では連結純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)が12期ぶりに最高を更新するなど、最高益の決算となった。SDGsなどへの取組も積極的だ。このため、株式市場関係者には、所定の目的を達成した後に再び上場して戻ってきてもらいたい銘柄だという声もある。

 24年3月期は、新たな販売領域の開拓や新製品の積極受注、生産性向上への取組みなどが奏功し、売上高は前期比19.6%増の120億58百万円に達した。営業利益は前期の7.0倍の10億09百万円に、親会社株主に帰属する当期純利益は同3.8倍の9億25百万円になった。純利益は2002年3月期以来12期ぶりに最高を更新した。ROE(株主資本利益率)は11.3%となり、前期比8.3pt増加して中長期目標の10%台を達成した。

 このたびTOBを行ったJAFホールディングスの親会社アイ・シグマ・キャピタルは、ジャパンフーズが長年の高品質な受託製造で培った国内の大手飲料ブランドオーナーとの強固な顧客基盤や、高い製造技術対応力や品質管理能力、各種容器や飲料、多品種小ロット製造を可能にする優れた人材や設備、大消費地である関東に近い本社工場の立地など、多くの競争優位性を有することを確認したという。

 一方、ジャパンフーズの社屋や工場建屋には、増改築に対し一部是正(改善)が必要となっているところがあり、この改善は法令を遵守するために実施するものであることから、短期的なコスト増を伴う経営戦略を実行せざるを得ない可能性も否定できないとの見通しに基づき、今回の株式非公開化を選択肢として選んだようだ。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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