【この一冊】地方商店街から世界的企業へ――ユニクロ誕生の秘密

■ユニクロの成功の軌跡、杉本貴司が描くリアルな物語

 圧倒的な筆力で描かれるノンフィクション『ユニクロ』は、杉本貴司による青年の成長と挑戦を描いた感動の物語である。かつてさびれた商店街でくすぶっていた青年が、どのようにして「ユニクロ」という金の鉱脈を掘り当てたのか、その詳細が克明に綴られている。同書は、ユニクロの誕生から東京進出、フリースブーム、そして情報製造小売業への進化まで、波乱に満ちた歴史をリアルに描き出している。特に、柳井正とその夢に魅せられた同志たちの長き戦いが、読者の心を打つ。

 地方のさびれた商店街の紳士服店が、なぜ世界的なアパレル企業に成り得たのか。その謎を解き明かすことが同書の目的である。ユニクロが歩んできた道のりを辿ることで、現代を生きる我々に何を教えてくれるのかを問いかける。著者杉本貴司は、ユニクロの物語から『希望』を見出している。この物語は、名もなき企業やそこで働く人々にとって、希望となるであろうエピソードで満ちている。苦戦する海外展開やブラック企業批判を乗り越え、情報製造小売業への進化を遂げ、ファーストリテイリング<9983>(東証プライム)グループのユニクロの物語は、読む者に勇気と感動を与える。

 同書の構成は、プロローグからエピローグまで、計12章に分かれている。第1章「寝太郎」では無気力な青年が覚醒する様子が描かれ、第5章「飛躍」では東京進出とフリースブームが詳細に記されている。第9章「矛盾」ではブラック企業批判に直面したユニクロの葛藤が、第11章「進化」では情報製造小売業への破壊と創造が描かれている。著者の杉本貴司は、日本経済新聞の編集委員としての豊富な取材経験を活かし、ユニクロの成功と苦悩をリアルに再現している。同書は、企業経営やマーケティングに興味がある読者にとって、必読の一冊である。

■ユニクロ
・価格=2,090円(税込)
・ISBN=9784296001866
・発行日=2024年04月03日
・著者名=杉本 貴司 (著)
・発行元=日経BP
・ページ数=496ページ
・判型=四六
(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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