ヤマシタヘルスケアホールディングスは25年5月期減益予想だが保守的
- 2024/7/16 09:49
- 決算発表記事情報
(決算速報)
ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>(東証スタンダード)は、7月12日の取引時間終了後に24年5月期連結業績を発表した。販管費の増加などで減益だったが、各利益は前回予想を上回る水準で着地した。25年5月期は需要が堅調に推移して増収だが、人的資本経営の強化に伴う人件費の増加などで減益予想としている。ただし保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。また25年5月期を初年度とする中期経営計画を公表した。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏だ。目先的には25年5月期減益・減配予想を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、1倍割れの低PBRなど指標面の割安感が評価材料であり下値限定的だろう。
■24年5月期は減益だが計画超、25年5月期は減益予想だが保守的
24年5月期の連結業績は、売上高が23年5月期比5.8%増の615億55百万円、営業利益が16.3%減の9億67百万円、経常利益が15.4%減の10億20百万円、親会社株主帰属当期純利益が164.9%増の5億80百万円だった。配当(7月12日付で期末15円上方修正)は23年5月期比22円増配の70円(期末一括)とした。配当性向は30.7%となる。
販管費の増加などで減益だったが、各利益は前回予想(3月29日付の修正値、売上高627億64百万円、営業利益8億83百万円、経常利益9億35百万円、親会社株主帰属当期純利益3億31百万円)を上回る水準で着地した。なお特別損失で、新物流センター開設(現在の鳥栖TMSセンターの敷地内に新たな物流センターとなる新鳥栖TMSセンター、26年度中の稼働予定)に伴い減損損失約4億円の計上を見込んでいたが、建築内容の精査を行った結果、減損損失が2億円となったことも寄与した。
医療機器販売業は売上高が6.0%増の615億07百万円、セグメント営業利益(全社費用等調整前)が1.1%増の21億71百万円だった。売上高の内訳は一般機器分野(画像診断機器、放射線診断装置等)が2.0%増の88億03百万円、一般消耗品分野(手術関連消耗品等)が3.5%増の249億05百万円、低侵襲治療分野(内視鏡、サージカル備品等)が5.2%増の146億26百万円、専門分野(整形、理化学、透析等)が12.1%増の112億91百万円、情報・サービス分野(設備保守メンテナンス等)が37.5%増の18億81百万円だった。需要が概ね堅調に推移し、円安に伴うコスト上昇分の販売価格への転嫁も推進した。
医療機器製造・販売業は売上高が6.6%減の2億67百万円で営業利益が1百万円の損失(23年5月期は12百万円)だった。医療モール事業は売上高が1.3%減の68百万円で営業利益が18.0%減の0百万円だった。
なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が140億21百万円で営業利益が1億96百万円、第2四半期は売上高が148億78百万円で営業利益が4億22百万円、第3四半期は売上高が164億74百万円で営業利益が2億12百万円、第4四半期は売上高が161億82百万円で営業利益が1億37百万円だった。
25年5月期の連結業績予想は売上高が24年5月期比9.4%増の673億19百万円、営業利益が20.2%減の7億71百万円、経常利益が19.5%減の8億21百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が12.2%減の5億09百万円としている。配当予想は24年5月期比9円減配の61円(期末一括)としている。予想配当性向は30.0%となる。
需要が堅調に推移して増収だが、人的資本経営の強化に伴う人件費の増加などで減益予想としている。ただし保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。また25年5月期を初年度とする中期経営計画を公表した。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は下値限定的
株価は戻り高値圏だ。目先的には25年5月期減益・減配予想を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、1倍割れの低PBRなど指標面の割安感が評価材料であり下値限定的だろう。7月12日の終値は2700円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS204円47銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の61円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3429円08銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約69億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)