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ジェイエスエスはモミ合い上放れ、25年3月期増収増益・連続増配予想
- 2024/7/16 10:12
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジェイエスエス<6074>(東証スタンダード)はスイミングスクールを全国展開し、スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。成長戦略として、水泳指導技術を活かした商品開発の強化を推進するとともに、スイミングにとどまらず健康運動への取り組みも推進している。なお従業員に対する譲渡制限付株式報酬制度の導入にあたり、7月12日の東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)において、16.5万株を自己株式として取得した。25年3月期は増収増益・連続増配予想としている。23年7月実施の会費改定効果が通期寄与するほか、会員数回復に向けた各種施策の強化、既存施設の新築移転(ランニングコストの低いコンパクトタイプへの移行)による利益率改善なども寄与する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は急伸してモミ合いから上放れの形となった。1倍割れの低PBRも評価材料であり、基調転換して上値を試す展開を期待したい。
■スイミングスクール運営首位
スイミングスクールを直営と受託で全国展開している。20年3月にニチイ学館<9792>との資本業務提携を解消し、日本テレビホールディングス<9404>と業務資本提携した。日本テレビホールディングスのグループ会社でフィットネスジムを展開するティップネス(スポーツ施設運営企業として業界3位規模)と協業してシナジー創出を推進している。
24年4月1日現在の事業所数は、直営64ヶ所と受託21ヶ所の合計85ヶ所(うちコンパクトプールが直営13ヶ所と受託2ヶ所の合計15ヶ所)である。スイミングスクール特化型企業では首位の事業所数を誇っている。なお24年5月に、和歌山エリアで5事業所(スイミングスクール等)を展開するワカヤマアスレティックを子会社化した。同社として未開拓のエリアに進出する。
児童発達支援および放課後等デイサービス事業「JSS水夢」については、2事業所目として22年12月にJSS水夢北神戸(仮称、兵庫県神戸市北区、JSS北神戸スイミングスクール内)を開設した。また、静岡県磐田市の福田屋内スポーツセンターおよび磐田温水プールの指定管理者(指定管理期間23年1月11日~28年3月31日)に選定された。
24年3月期の部門別売上高は、スイミングスクール収入が75億43百万円(うち直営事業収入が63億33百万円、受託事業収入が7億68百万円、企画課外収入が4億40百万円)で、商品売上が5億59百万円、その他の営業収入が28百万円だった。
24年3月期末の全事業所合計会員数は、子供会員数が23年3月期末比6.0%減の7万4154人、大人会員が2.0%減の9087人、合計が5.6%減の8万3241人だった。コース別会員数は選手・育成コースが4.8%減の4632人、ベビー・キンダーコースが13.3%増の1807人だった。
スイミングスクール事業の強みには、総合フィットネスクラブとの比較で景気に左右され難いという点がある。入会から四泳法習得まで2~3年の安定した在籍が期待され、ベビーからの入会や選手コースへの進級で長期在籍の可能性も高まる。大人会員は高齢者が中心で、生涯スポーツ化も期待される。同社の強みとしては、国内最多のスイミングスクールを展開する業界唯一の上場企業としての豊富な出店・運営ノウハウの蓄積や、数多くのオリンピック選手やメダリストを輩出している指導力などがある。
24年4月には、JSSあいの里スイミングスクール所属の河野通虎(こうの みちとら)選手が、8月21日~24日にオーストラリアのキャンベラで開催される第10回ジュニアパンパシフィック選手権の日本代表に選出された。
■商品開発を強化
成長戦略として、コロナ禍収束による社会活動正常化を背景に会員数の回復に向けた各種施策を強化する。具体的には、各事業所での地域特性に合った入会キャンペーン(特にベビー・ジュニアの入会を促進)の実施、中高生クラスJSS部の推進、WEBによる認知拡大とブランディングなどを推進する。
大人会員の集客戦略としては、水中バイクと水中トランポリンを利用したオリジナルプログラム「バイポリン&ウォーク」を各事業所で展開するほか、他社施設への販売拡大も推進する。
ティップネスとの協業としては、地域の水難事故ゼロを目指し、子どもの命を守る「着衣水泳体験会」を開催するなど、連携を強化している。
その他の施策としては、全国的に学校プール施設の老朽化や指導者不足により水泳授業の民間委託が増加している状況であるため、今後も自治体からの入札要請やインストラクター派遣要請に対して、積極的に対応していく方針だ。
■スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書
22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編についてはスタンダード市場を選択し、スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。
中期経営計画で掲げた経営戦略および重点施策を着実に実施することで、業績の向上および企業価値の向上(時価総額の増大)を図り、25年3月期までにスタンダード市場の上場維持基準を充たすよう各種取組を進めるとしている。
24年6月には計画に基づく進捗状況をリリースした。24年3月末時点において流通株式時価総額が基準を充たしていないが、引き続き各種取組を推進するとしている。
■25年3月期増収増益・連続増配予想
25年3月期の業績(非連結)予想は、売上高が24年3月期比2.9%増の83億69百万円、営業利益が5.1%増の4億10百万円、経常利益が0.9%増の4億10百万円、当期純利益が20.6%増の2億63百万円としている。配当予想は24年3月期比50銭増配の15円(第2四半期末7円50銭、期末7円50銭)としている。連続増配予想で予想配当性向は22.0%となる。
増収増益・連続増配予想としている。23年7月実施の会費改定効果が通期寄与するほか、会員数回復に向けた各種施策の強化、既存施設の新築移転(ランニングコストの低いコンパクトタイプへの移行)による利益率改善なども寄与する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価はモミ合い上放れ
なお従業員に対する譲渡制限付株式報酬制度の導入にあたり、7月12日の東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)において、16.5万株を自己株式として取得した。
株価は急伸してモミ合いから上放れの形となった。1倍割れの低PBRも評価材料であり、基調転換して上値を試す展開を期待したい。7月12日の終値は560円、今期予想PER(会社予想のEPS68円18銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約2.7%、前期実績PBR(前期実績のBPS728円29銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約23億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)