【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本ライフラインは急伸後の自律調整一巡、中期成長力を評価して上値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 医療機器輸入商社の日本ライフライン<7575>(JQS)の株価は、今期(15年3月期)業績見通し増額修正を好感して800円台でのモミ合いから上放れ、11月20日の年初来高値1679円まで急伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが、1300円~1400円近辺で推移して急伸後の自律調整一巡感を強めている。中期成長力を評価して上値を試す展開だろう。

 心臓循環器領域を中心とする医療機器輸入商社で、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)などのリズムディバイス部門、EPカテーテル、アブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、高周波心房中隔穿刺針などのEP/アブレーション部門、人工心臓弁、人工血管、ステントグラフトなどの外科関連部門、バルーンカテーテル、ガイドワイヤーなどのインターベンション部門、および血液浄化関連などのその他部門を展開している。

 国内を網羅する販売代理店ネットワークを構築した商社機能に加えて、メーカー機能の強化に向けて、09年に人工血管などを製造するJUNKEN MEDICAL社、10年にガイドワイヤーなどを製造するSYNEXMED社(香港)を子会社化した。採算性の高い自社製品の売上構成比上昇に向けて生産体制を一段と強化する方針で、14年10月には新工場となる小山ファクトリー(栃木県小山市)が稼動した。

 新商品に関しては、14年4月にバルーンカテーテルで初の自社製品となる「canPass」、7月に外科関連で国内オンリーワン製品(国内唯一の開胸手術用)となる自社製品「J-Graftオープンステントグラフト」、8月に心臓ペースメーカ新商品「REPLY200」の販売を開始した。

 さらに今期(15年3月期)第4四半期(1月~3月)にMRI(磁気共鳴画像)検査対応の心臓ペースメーカ「KORA」およびICD関連の「INTENSIA」の上市、来期(16年3月期)はアブレーションのイリゲーション機能付き新製品の上市を目指し、15年春には子会社ハートブレーンがAED(自動体外式除細動器)の販売開始を予定している。一方では事業環境変化に対応して人工心肺関連製品の取り扱いを15年3月末に終了する。人工血管や弁膜症関連製品については引き続き注力するとしている。

 なお12月3日に、コリブリ・テクノロジーズ(カナダ)の心腔内エコーシステムに関して、日本国内における独占販売契約の締結を発表した。16年度の上市を目指して導入準備を進める。画像関連の医療機器である心腔内エコーシステムを商品ラインナップに加えることにより、さらに幅広いニーズへの対応が可能になる。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(10月24日に増額修正)は、売上高が前期比5.7%増の257億49百万円、営業利益が同43.6%増の17億51百万円、経常利益が同34.7%増の18億円、純利益が9億03百万円(前期は2億02百万円の赤字)で、配当予想は前回予想(5月2日公表)を据え置いて前期と同額の年間25円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比2.9%増収、同12.3%営業減益、同10.7%経常減益、同3.9%最終減益だった。保険償還価格引き下げの影響や販管費の増加などで減益だったが、売上高、利益とも計画を上回った。7月発売の「J-Graftオープンステントグラフト」の販売数量伸長などで自社製品の売上構成比が上昇し、売上総利益率は同1.4ポイント改善した。一部商品の導入計画変更に伴って予定していた薬事関連費用の支出が見込まれなくなったことも寄与した。

 品目別の売上高はリズムディバイスが同40.5%減の21億56百万円、インターベンションが同4.5%減の12億74百万円、その他が同2.0%減の5億44百万円だったが、自社製品比率の高いEP/アブレーションが同30.9%増の54億97百万円、外科関連が同26.6%増の27億90百万円と大幅増収だった。

 通期ベースでも、EP/アブレーションおよび外科関連を中心に自社グループ製品の市場浸透が進み、自社製品比率上昇によるプロダクトミックス改善効果などで大幅増益見通しだ。純利益については前期計上した特別損失の一巡や小山ファクトリー稼動に伴う助成金も寄与する。

 中期目標数値として19年3月期売上高351億円、営業利益率10%以上を掲げ、メーカー機能と商社機能を併せ持つ強みを活かして各分野の商品ラインナップ充実で成長を目指すとしている。コアビジネスは輸入商品中心のリズムディバイスから、自社製品中心のEP/アブレーションおよび外科関連へシフトするようだ。自社製品比率の上昇も寄与して高収益化が期待される。

 株価の動きを見ると、今期業績見通しの増額修正を好感して800円台でのモミ合いから上放れ、11月20日の年初来高値1679円まで上伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが、1300円~1400円近辺で推移して急伸後の自律調整一巡感を強めている。

 12月17日の終値1295円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS83円68銭で算出)は15~16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1354円09銭で算出)は1.0倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して過熱感が解消した。強基調の形であり、中期成長力を評価して上値を試す展開だろう。

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