【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フォーカスシステムズは収益改善を評価して出直り展開

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 システム構築・運用のフォーカスシステムズ<4662>(JQS)の株価は、10月の年初来高値1210円から反落し、11月17日の725円まで調整した。その後一旦は840円台まで戻したが、足元では740円近辺まで調整している。全般地合い悪化も影響したようだ。ただし収益改善を評価する流れに変化はなく出直り展開だろう。

 公共関連・民間関連のシステム構築・保守・運用・管理サービスを主力として、セキュリティ機器関連事業も展開している。顧客別に見るとNTTデータ<9613>関連、日本IBM関連を主力として、CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)<4739>関連、沖電気<6703>関連、ソフトバンク<9984>関連も主要顧客である。民間関連事業では関東圏・近畿圏に加えて東海圏にも拠点展開して営業を強化している。

 14年6月には三菱電機インフォーメーションシステムズと共同で電子透かし製品の販売促進活動を行うと発表し、14年7月には内田洋行<8057>が開発した統合型ERPパッケージ「スーパーカクテルイノーヴァ」の販売代理店契約を締結した。

 今期(15年3月期)の業績(非連結)見通しは前回予想(5月8日公表)を据え置いて売上高が前期比2.5%増の145億円、営業利益が同1.4%増の9億円、経常利益が同横ばいの8億50百万円、純利益が同9.7%増の5億円、配当予想が前期と同額の年間20円(期末一括)としている。

 今後数年の事業展開を睨んで技術者の採用・育成などへの積極投資を行うため、今期の営業利益は微増の見通しとしている。ただし需要面で見ると、公共関連事業は政府発信の「世界最先端IT国家創造宣言」関連、民間関連事業は企業のITインフラ投資関連、セキュリティ機器関連事業は官公庁のサイバー犯罪対策関連を中心として高水準に推移する見通しだ。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比13.1%増収、同18.7%営業増益、同12.5%経常増益、同42.9%最終増益だった。セキュリティ機器関連事業は前年同期の補正予算等の特需が一巡して同12.8%減収だったが、公共関連事業が同25.6%増収、民間関連事業が同10.6%増収と好調だった。増収効果で営業損益が大幅に改善した。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.3%、営業利益が32.8%、経常利益が31.8%、純利益が33.0%である。利益面の進捗率がやや低水準だが、第4四半期(1月~3月)の構成比が高い公共関連事業が増加基調であることを考慮すれば順調な水準だろう。通期ベースでも好業績が期待される。

 株価の動きを見ると、急伸した10月9日の年初来高値1210円から反落し、11月17日の725円まで調整した。その後一旦は840円台まで戻したが、足元では740円近辺まで調整している。全般地合い悪化も影響したようだ。ただし収益改善を評価する流れに変化はなく、11月の直近安値に接近して調整の最終局面だろう。

 12月17日の終値744円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS72円22銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.7%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS726円46銭で算出)は1.0倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、26週移動平均線がサポートラインの形だ。収益改善を評価して出直り展開だろう。

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