And Doホールディングスは調整一巡、25年6月期も収益拡大基調

 And Doホールディングス<3457>(東証プライム)は住まいのワンストップサービスを展開している。ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産売買事業を成長強化事業と位置付けて、不動産×金融サービスの深化による高収益化を目指す不動産テック企業である。24年6月期は増収増益予想としている。ハウス・リースバック事業と不動産売買事業が牽引する見込みだ。25年6月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上値を切り下げる形でやや軟調だが、高配当利回りなども評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。なお8月14日に24年6月期決算発表を予定している。

■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業

 FCチェーンネットワーク構築による不動産情報のオープン化と、時代に即した不動産ソリューションサービスを提供する不動産サービスメーカーとして、住まいのワンストップサービスを展開している。さらに不動産×金融サービスの進化による高収益化を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。

 不動産流通事業で創業した後、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開して業容を拡大している。そして22年1月1日付で事業持株会社に移行(ハウス・リースバック事業は移行後も同社が運営)し、商号をAnd Doホールディングスに変更した。

 24年4月にはハウスドゥ住宅販売が経済産業省の「IT導入補助金2024」でIT導入支援業者として採択(7度目の採択)され、不動産売買仲介WEBシステム「DO NETWORK」および不動産賃貸仲介WEBシステム「ハウスドゥ業務支援システム」が補助金対象ツールとして登録された。

■ストック収益型事業が収益柱

 ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入など、ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業、および不動産売買事業を成長強化事業と位置付けて収益の柱としている。ハウス・リースバック事業では取得した収益不動産物件の売却も進める。

 23年6月期のセグメント別営業利益構成比(全社費用等調整前)は、成長強化事業が86%(フランチャイズ事業が26%、ハウス・リースバック事業が41%、金融事業が1%、不動産売買事業が22%)、不動産流通事業が7%、リフォーム事業が3%、その他が▲0%だった。不動産売買事業は大型物件などによって構成比が変動しやすい。

 フランチャイズ事業の加盟契約数は23年6月期末時点で22年6月期末比9店舗増加して692店舗となった。20年9月に全国47都道府県すべてに出店契約を達成し、21年1月からはブランドロゴと店舗デザインを一新している。また賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。中期的には25年に国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。23年3月には、持分法適用会社(現地合弁会社)であるタイのH-DO社がタイのAAA社とFC契約を締結し、タイでのFC1号店をオープンした。

 ハウス・リースバック事業では、23年6月期期末の保有物件数が22年6月期末比28件増加して673件、保有物件総額(簿価ベース)が13億19百万円増加して102億33百万円となった。契約件数は148件増加の1147件、物件取得数は137件増加の1147件だった。

 金融事業では、リバースモーゲージの23年6月期の新規保証件数が95件増加の421件、期末保証残高が43億64百万円増加の131億69百万円、不動産担保融資の実行件数が28件減少の93件、期末融資残高が23億47百万円減少の24億75百万円となった。リバースモーゲージ保証事業は地域金融機関等との提携を推進(24年2月末時点で提携金融機関数50を達成)するとともに、リバースモーゲージのさらなる普及拡大に向けて銀行代理業許可を取得している。楽天銀行の銀行代理業者として「楽天銀行リバースモーゲージ」の申込媒介を行う。そして23年11月にはリバースモーゲージの保証残高が150億円を突破した。なお不動産担保融資については戦略的に縮小させている。24年3月には、老後の資金づくりに悩むシニア層と金融機関をつなぐマッチングサイト「シニア向けローン相談所」を開設した。

 23年7月には、IoTでスマートな宿泊体験を提供する宿泊施設LUXE TECH VILLA(ラグジュテックヴィラ)の第1号を奄美大島にオープンした。また24年3月には建売ブランド「SHIRO」提供開始を発表した。

■M&A・アライアンスも活用

 業容拡大やサービスラインナップ充実に向けたM&A・アライアンスでは、19年8月に埼玉県草加市を中心に不動産売買・仲介を展開する小山建設グループを子会社化、20年7月に子会社の草加松原住建の商号をハウスドゥ・ジャパンに変更、21年7月に不動産サービス比較サイト「リビングマッチ」運営のリビン・テクノロジーズ<4445>と業務提携、21年9月に識学<7049>と業務提携、22年5月にドキュサイン・ジャパンと不動産売買取引における電子契約システムで業務提携、22年12月に総合生活トラブル解決サービスのジャパンベストレスキューシステム(JBR)<2453>と提携、23年1月にハウスドゥ住宅販売が住宅購入支援サービス「ゼロテ」を開発・提供するGOGENと業務提携、23年3月にハウスドゥ住宅販売が完全会員制の家探しサービスHousii(ハウシー)を展開するSpeeeと業務提携した。24年6月にはハウスドゥ住宅販売がドローン屋根外装点検サービスを展開するCLUEと業務提携した。

■中期経営計画(23年6月期~25年6月期)

 中期経営計画(23年6月期~25年6月期)では目標数値に、25年6月期の売上高518億19百万円、営業利益41億79百万円、経常利益40億円、親会社株主帰属当期純利益26億40百万円、経常利益率7.7%を掲げている。配当性向は30%以上を基本水準とする。

 事業セグメント別の25年6月期の計画は、フランチャイズ事業の売上高41.8億円で営業利益29.0億円、ハウス・リースバック事業の売上高214.2億円で営業利益28.3億円、金融事業の売上高14.1億円で営業利益6.0億円、不動産売買事業の売上高207.6億円で営業利益18.0億円、不動産流通事業の売上高20.4億円で営業利益6.4億円、リフォーム事業の売上高27.0億円で営業利益2.3億円としている。

 成長強化事業の主要指標の計画(25年6月期)は、フランチャイズ累計加盟店舗数が865店舗、ハウス・リースバック事業の年間仕入契約数が1440件、リバースモーゲージ保証残高が506億円、リバースモーゲージ提携金融機関が100行、不動産売買のたな卸資産残高が140億円としている。

 成長戦略として、成長強化事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融・リバースモーゲージ事業、不動産売買事業)のさらなる拡大、不動産×金融サービスの深化、高収益体質化の促進を推進する。なお20年8月にはDX推進本部を設立している。

 23年6月には、Sanu社が提供する新たな法人向け会員制宿泊サービス「SANU 2nd Home(サヌセカンドホーム)の導入を発表した。福利厚生の一環として社員に対し、都市生活だけでは得られない創造的なインスピレーションとの出会いを提供する。

■24年6月期増収増益予想、25年6月期も収益拡大基調

 24年6月期連結業績予想は売上高が23年6月期比15.8%増の573億70百万円、営業利益が13.3%増の36億円、経常利益が7.2%増の36億円、そして親会社株主帰属当期純利益が8.2%増の23億76百万円としている。配当予想は23年6月期比3円増配の43円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は35.4%となる。

 セグメント別の営業利益(調整前)計画はフランチャイズ事業が9.5%増の22億50百万円、ハウス・リースバック事業が3.1%増の33億50百万円、金融事業が3.3%増の1億20百万円、不動産売買事業が24.6%増の22億20百万円、不動産流通事業が8.4%減の5億円、リフォーム事業が0.8増の2億20百万円としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比37.0%増の492億49百万円、営業利益が0.7%減の24億26百万円、経常利益が9.3%減の22億42百万円、親会社株主帰属四半期純利益が6.4%減の14億93百万円だった。不動産売買事業が大幅伸長したが、ハウス・リースバック事業における前期の高粗利物件売却の反動などにより小幅営業減益だった。

 フランチャイズ事業は、売上高(調整前)が1.1%増の24億34百万円、利益利益(調整前営業利益)が2.9%減の14億94百万円だった。利益面は人材・プロモーション投資の影響で小幅減益だったが、西日本エリアを中心に新規加盟店獲得が順調に進展した。累計加盟店数(レントドゥ含む)は前年同期比16店舗増加して705店舗、累計開店店舗数は5店舗増加して625店舗となった。

 ハウス・リースバック事業は、売上高が19.8%増の182億06百万円、利益が7.1%減の20億53百万円だった。HLBファンドへの譲渡を実行して大幅増収増益だが、前期の高粗利物件売却の反動などにより減益だった。契約件数は36件減少して886件、物件取得数は28件増加して881件、期末保有物件数は27件減少して718件、期末保有物件総額(退去分除く取得時価ベース)は8億58百万円減少して100億07百万円となった。なお営業外収益の匿名組合投資利益として計上しているHLBファンドからの利益分配2億60百万円(前年同期は2億41百万円)をセグメント業績に含めると、セグメント営業利益は5.6%減の23億14百万円となる。

 金融事業は売上高が18.3%減の3億36百万円、利益が51.3%減の49百万円だった。不動産担保融資を戦略的に縮小(期末融資残高は9億46百万円減少して19億32百万円)しているため減収減益だが、リバースモーゲージ保証は順調に拡大(新規保証件数は112件増加して394件、保証残高は62億13百万円増加して181億73百万円)している。

 不動産売買事業は売上高が69.6%増の258億43百万円、利益が28.6%増の19億78百万円だった。取引件数は242件増加して687件だった。大型物件の売却も寄与して大幅増収増益だった。

 不動産流通事業は売上高が8.9%減の12億56百万円、利益が4.9%増の4億40百万円だった。仲介件数は276件減少して1297件だった。リフォーム事業は売上高が5.9%減の17億46百万円、利益が2.8%減の1億49百万円だった。契約数は133件減少して1099件、完工数は148件減少して1138件だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高153億89百万円で営業利益9億70百万円、第2四半期は売上高199億83百万円で営業利益11億88百万円、第3四半期は売上高138億77百万円で営業利益2億68百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、増収増益・連続増配予想としている。成長強化事業のハウス・リースバック事業や不動産売買事業が牽引し、連続で過去最高を更新する見込みとしている。第3四半期累計の進捗率は売上高86%、営業利益67%、経常利益62%、純利益63%である。利益進捗率がやや低水準の形だが、通期計画達成に向けて第4四半期に利益積み増しを見込んでいる。6月27日にはハウス・リースバック資産の信託受益権譲渡(譲渡益9億86百万円)が完了した。25年6月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は毎年6月末に実施

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は23年6月期末対象から再開した。毎年6月末日現在の5単元(500株)以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて、株主限定特設ウェブサイト「And Doホールディングス・プレミアム優待倶楽部」で商品に交換できるポイントを贈呈する。

■株価は調整一巡

 株価は上値を切り下げる形でやや軟調だが、高配当利回りなども評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。7月29日の終値は1077円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS121円42銭で算出)は約9倍、前期推定配当利回り(会社予想の43円で算出)は約4.0%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS784円67銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約214億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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