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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ファンデリーはIPO後の調整が一巡して切り返し、健康食宅配事業の中期成長力を評価
- 2015/10/15 07:00
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ファンデリー<3137>(東マ)は健康食宅配事業を主力としている。一人暮らし高齢者や生活習慣病の増加も背景に中期成長期待は強い。10月8日放送のカンブリア宮殿(テレビ東京系列)で紹介された。株価は15年6月IPO後の調整が一巡して切り返している。16年6月期増収増益予想や中期成長力を評価して6月の上場来高値圏を目指す展開だろう。なお10月30日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。
■健康食宅配事業が主力、15年6月東証マザーズ上場
00年9月設立で、01年4月栄養士による健康食宅配サービス「カウンセリングデリバリー」を開始、15年6月東証マザーズに新規上場した。社名ファンデリーの由来は「FUN(面白さ・楽しさ・感動)をDELIVERY(お届けする)」である。
企業理念には「一食二医社会の実現」を掲げている。健康増進を図るためには第一に「食事コントロール」があり、それでも困難なときに「医療」を行うことが望ましく、医療費削減に貢献するためにも「一食二医社会の実現」を目指すとしている。
主力事業は健康食を宅配するMFD(Medical Food Delivery)事業である。健康食通販カタログを医療機関や調剤薬局などを通じて配布し、顧客(個人)から電話・FAX・WEBを通じて注文を受け、健康食(冷凍弁当)を宅配する。定期コースとして、当社の管理栄養士・栄養士が顧客の疾病、制限数値、嗜好に合わせてメニューを選び、定期的に届けるサービス「栄養士おまかせ定期便」もある。
健康食通販カタログは医療機関・保健所・介護施設向け「ミールタイム」や、調剤薬局向け「ミールタイムファーマ」を発行し、健康食通販サイト「ミールタイム」も運営している。09年には介護食系通販カタログ「ミールタイムケア」も創刊した。
通販カタログ「ミールタイム」は年4回、通販カタログ「ミールタイムファーマ」は年2回発刊し、毎号半分程度のメニューを変更して旬の食材を提供する。なお「ミールタイム」発行部数は13年春号40万部、14年春号50万部、15年春号75万部と増加基調である。
また健康食宅配サービスから派生した事業として、健康食通販カタログ誌面の広告枠販売、商品サンプリングや健康食レシピ作成の業務受託、健康食レシピサイト運営などのマーケティング事業も展開し、収益源の多様化を推進している。
■専門性の高い栄養士によるカウンセリングや宅配サービスに強み
当社の健康食宅配サービスは、従来の食事宅配サービスと一線を画し、食事コントロールを通じた血液検査結果の数値改善を目指している。
このため栄養士が開発した健康食メニュー、栄養士によるカウンセリング宅配サービス、さらに栄養士が電話対応する注文・相談・カウンセリングを特徴としている。なお15年7月1日現在、従業員50名のうち女性40名全員が栄養士である。
健康食通販カタログを配布する病院や調剤薬局などの紹介ネットワークを通じた効率的な顧客獲得と、専門性の高い栄養士によって、食事制限が必要な方に対して「ヘルシー食」「ヘルシー食多め」「たんぱく質調整食」「ケア食」など多様な健康食を提案できることが強みだ。担当栄養士に対する信頼感でリピート率も上昇しているようだ。
15年6月末時点の紹介ネットワーク数は医療機関1万3663箇所、保健所・介護施設等1433箇所、調剤薬局等3957箇所の合計1万9053箇所(15年3月末比1133箇所増加)である。また15年3月末現在の顧客数は152千人(14年3月末比19千人増加)である。
■16年3月期増収増益予想
今期(16年3月期)の非連結業績予想(6月25日公表)は、売上高が前期比10.1%増の29億39百万円、営業利益が同6.7%増の4億68百万円、経常利益が同3.2%増の4億51百万円、純利益が同4.6%増の2億71百万円としている。配当予想については無配継続としている。主力のMFD事業が順調に推移し、事業拡大に向けた人件費の増加などを吸収して増収増益予想だ。
セグメント別売上高の計画は、MFD事業が同10.3%増の26億37百万円、マーケティング事業が同8.7%増の3億01百万円としている。MFD事業では受注件数が同12.2%増の386千件、16年3月末時点の紹介ネットワーク数が同14.4%程度増加、会員数が同12.1%程度増加、平均単価が同横ばいを想定している。
第1四半期(4月~6月)は売上高が6億58百万円、営業利益が1億05百万円、経常利益が93百万円、純利益が61百万円だった。前年同期は四半期財務諸表を作成していないため比較はできないが、MFD事業では「栄養士おまかせ定期便」への移行などで販売が順調に推移し、マーケティング事業では広告枠の販売が順調で業務委託も複数案件を獲得した。
セグメント別(連結調整前)に見ると、MFD事業は売上高が6億11百万円、営業利益が1億27百万円、マーケティング事業は売上高が46百万円、営業利益が33百万円だった。
通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が22.4%、営業利益が22.4%、経常利益が20.6%、純利益が22.5%である。やや低水準の形だが下期偏重の期初計画であり、第2四半期累計会社予想に対する進捗率は売上高が48.0%、営業利益が55.3%、経常利益が53.8%、純利益が59.2%と高水準である。通期業績予想に増額余地がありそうだ。
■一人暮らし高齢者や生活習慣病の増加なども背景に中期成長期待
中期成長に向けた戦略として、紹介ネットワークの拡大・深耕、定期コース顧客の獲得、コラボレーションによる商品付加価値の向上、マーケティング事業の拡大を掲げている。
紹介ネットワークに関しては、開拓余地の大きい全国10万箇所強の一般病院・診療所向けに拡大を推進するとともに、既存紹介ネットワークにおいても栄養士の交流会「輝く栄養士の会」運営などを通じて、当社の栄養士と医療機関・保健所・介護施設等の栄養士とのコミュニケーション向上を図る。管理栄養士・栄養士のコミュニティサイト「Foodish(フーディッシュ)」も運営している。
定期コース顧客の獲得では「栄養士おまかせ定期便」の拡充などの施策によってリピーターの獲得を推進する。リピーターの獲得によって安定的な売上・利益の拡大に繋げる。
コラボレーションによる商品付加価値の向上では、食品メーカー・協会や病院栄養士とのコラボレーションを強化する。15年9月には味の素冷凍食品とのコラボレーションで、たんぱく質を約39%カットした「ミールタイム焼餃子」を発売した。
マーケティング事業の拡大では、健康食レシピ情報サイトに食品メーカー等の商品を使用した健康食レシピを公開するなど、健康食レシピ情報サイトも活用して事業を拡大する。
高齢者数の増加、特に一人暮らし高齢者の増加、さらに生活習慣病患者や食事制限対象者の増加を背景に、健康食宅配市場は拡大基調が予想される。中期的に収益拡大基調だろう。
■株価はIPO後の調整が一巡して切り返し
株価の動きを見ると、IPO直後の6月高値1676円から8月の直近安値573円まで調整したが、600円近辺でのモミ合いを経て水準切り上げの動きを強めている。10月9日には987円まで上伸する場面があった。調整が一巡して切り返す動きだ。
10月14日の終値965円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS43円45銭で算出)は22~23倍近辺、実績PBR(16年3月期第1四半期末実績のBPS190円97銭で算出)は5.1倍近辺である。なお時価総額は約61億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。600円近辺で下値固めが完了して強基調に転換したようだ。16年3月期増収増益予想や中期成長力を評価して6月の上場来高値圏を目指す展開だろう。