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日本エンタープライズは調整一巡、25年5月期営業・経常増益予想
- 2024/7/31 10:20
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
日本エンタープライズ<4829>(東証スタンダード)は、クリエーション事業およびソリューション事業を展開している。25年5月期は前期計上の特別利益剥落などで最終減益だが、各事業とも順調に伸長して増収、営業・経常増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して戻り高値圏から反落したが、一方では下値を切り上げている。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■クリエーション事業およびソリューション事業を展開
同社は、コンシューマ向けコンテンツプロバイダを起点に法人向けソリューションへと事業領域を拡大し、現在はクリエーション事業およびソリューション事業を展開している。
クリエーション事業は、コンテンツサービス(ゲーム・総合電子書籍等のエンターテインメント関連、ATIS交通情報や女性のリズム手帳等のライフスタイル関連などの一般消費者向けスマートフォンコンテンツサービス)、ビジネスサポートサービス(キッティング支援、交通情報、IP・PBXコミュニケーションシステム、10種類以上の入札方式を有する調達業務支援サービス、飲食事業者向けECサイト「いなせり」等EC・ASPサービスなどの法人向け支援サービス)、および再生可能エネルギー(山口県における太陽光発電)で構成されている。自社IPを活用したサービス提供を通じて、新しいライフスタイルやビジネススタイルの創造を推進している。
24年3月には、丸紅ネットワークソリューションズおよびパルコデジタルマーケティングと開発した「AI画像解析による駐車場出庫時間表示サービス」が、イオンモール広島具中に導入された。駐車場内の状況を画像解析し、混雑時の出庫時間の分散化を促すソリューションである。24年8月には、官公庁・国公立私立大学・公共企業等に導入実績のある調達業務支援サービス「Profair」において、新たな入札方式として最低価格落札方式を導入する。提示価格を非公開とすることで過剰な競争を避け、より適正な市場価格での取引を目指す。
ソリューション事業は、システム開発サービス(システム受託開発・保守・運用などのITソリューションサービス)、業務支援サービス(高度人材による上流工程の常駐型支援サービス)、その他サービス(中古端末買取販売サービス、ガラスコーティング剤販売など)で構成されている。クリエーション事業で培ったノウハウを活かし、ITソリューションを通じて顧客ビジネスに新しい価値を提供する。
24年5月期のセグメント別売上高構成比は、クリエーション事業が38%(コンテンツサービスが20%、ビジネスサポートサービスが17%、再生可能エネルギーが1%)で、ソリューション事業が62%(システム開発サービスが48%、業務支援サービスが12%、その他サービスが3%)だった。営業利益構成比(全社費用等調整前)はクリエーション事業が55%、ソリューション事業が45%だった。
また、クリエーション事業のコンテンツサービスの売上高構成比はエンターテインメントが49%、ライフスタイルが51%、ビジネスサポートサービスの売上高構成比はキッティング支援が38%、交通情報が25%、コミュニケーションが20%、EC・ASPサービス等が17%だった。
■25年5月期営業・経常増益予想
24年5月期の連結業績は売上高が23年5月期比11.5%増の46億96百万円、営業利益が46.7%増の2億64百万円、経常利益が46.7%増の2億78百万円、親会社株主帰属当期純利益が特別利益(投資有価証券売却益25百万円)計上も寄与して102.8%増の2億09百万円だった。配当は23年5月期比1円増配の3円(期末一括)とした。配当性向は55.2%となる。
前回予想(24年4月5日付上方修正値、売上高47億50百万円、営業利益2億80百万円、経常利益2億90百万円、親会社株主帰属当期純利益2億10百万円)をやや下回ったものの、大幅増収増益で着地した。クリエーション事業、ソリューション事業とも順調に拡大し、広告宣伝費を中心とした販管費の抑制なども寄与した。
クリエーション事業は売上高が8.9%増の17億80百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が11.1%増の4億60百万円だった。売上高の内訳は、コンテンツサービスが4.6%増の9億47百万円、ビジネスサポートサービスが15.8%増の7億76百万円、再生可能エネルギーが4.6%減の57百万円だった。一般消費者向けコンテンツサービスでは通信キャリアの定額制コンテンツが順調だった。法人向けビジネスサポートサービスではキッティング支援やEC・ASPサービスが伸長した。再生可能エネルギーは天候影響で減収だった。
ソリューション事業は売上高が13.3%増の29億15百万円で、セグメント利益が17.9%増の3億75百万円だった。売上高の内訳は、システム開発サービスが16.1%増の22億34百万円、業務支援サービスが8.8%増の5億58百万円、その他サービスが9.7%減の1億22百万円だった。システム開発サービスでは法人向けの受託開発やラボ型開発(専任のITエンジニアチームによる開発支援形態)が大幅に伸長した。業務支援サービスはDXなど顧客ニーズの高い各種プロジェクトへの人材提供が拡大した。その他サービスは、新型コロナの5類移行に伴って抗菌・抗ウイルス性能を有するガラスコーティング剤の需要が減少した。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が10億81百万円で経常利益が48百万円、第2四半期は売上高が11億21百万円で経常利益が82百万円、第3四半期は売上高が12億42百万円で経常利益が79百万円、第4四半期は売上高が12億51百万円で経常利益が68百万円だった。
25年5月期連結業績予想は売上高が24年5月期比13.1%増の53億10百万円、営業利益が11.5%増の2億95百万円、経常利益が7.5%増の3億円、親会社株主帰属当期純利益が11.6%減の1億85百万円としている。配当予想は24年5月期と同額の3円(期末一括)としている。予想配当性向は62.5%となる。
前期計上の特別利益剥落などで最終減益だが、各事業とも順調に伸長して増収、営業・経常増益予想としている。クリエーション事業では一般消費者向けコンテンツサービスにおける定額制コンテンツの既存サービス拡大、法人向けビジネスサポートサービスにおけるキッティング支援の拡大、ソリューション事業ではシステム開発サービスや業務支援サービスの拡大を推進する方針だ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は地合い悪化も影響して戻り高値圏から反落したが、一方では下値を切り上げている。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。7月30日の終値は132円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS4円80銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の3円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS127円61銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約51億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)