神鋼商事は25年3月期1Q大幅増益、通期減益予想据え置きだが上振れ余地
- 2024/8/7 09:28
- 決算発表記事情報
(決算速報)
神鋼商事<8075>(東証プライム)は8月6日の取引時間中に25年3月期第1四半期連結業績を発表した。大幅増収増益だった。アルミ・銅ユニットでの取扱量増加や鉄鋼ユニットでの価格上昇などが牽引した。通期の減益予想を据え置いたが、第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で高値圏から急反落の形となったが、売られ過ぎ感を強めている。好業績や指標面の割安感を評価して出直りを期待したい。
■25年3月期1Q大幅増益、通期減益予想据え置きだが上振れ余地
25年3月期第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比11.5%増の1523億43百万円、営業利益が47.0%増の36億86百万円、経常利益が66.7%増の35億78百万円、親会社株主帰属四半期純利益が115.9%増の29億39百万円だった。
大幅増収増益だった。アルミ・銅ユニットでの取扱量増加や鉄鋼ユニットでの価格上昇などが牽引した。営業外収益では受取配当金が3億33百万円増加、為替差益が2億24百万円減少、営業外費用ではデリバティブ評価損が4億12百万円減少、特別利益では投資有価証券売却益が5億47百万円増加、負ののれん発生益を1億79百万円計上した。
セグメント別の経常利益を見ると、金属セグメントの鉄鋼ユニットは47.4%増の14億115百万円だった。特殊鋼・鋼板製品の取扱量を維持し、鋼材価格上昇により大幅増益だった。アルミ・銅ユニットは295.9%増の10億72百万円だった。取扱量増加で大幅増益だった。銅製品は空調銅管や端子コネクター向け銅板条、アルミ製品は半導体関連やハードディスク関連、非鉄原料は銅屑が増加した。原料ユニットは92.8%増の6億76百万円だった。神戸製鋼所向け主原料の取扱量が減少したが、鉄スクラップの取扱量が輸出を中心に増加し、重点分野と位置付けている資源循環型ビジネスにおいてバイオマス燃料の取扱量も堅調に推移した。
機械・溶接セグメントの機械ユニットは43.8%減の2億34百万円だった。一般産業機械やメンテナンスは堅調だったが、電池関連材料の減少、海外減法における建機部品の減少などで減益だった。溶接ユニットは36.2%増の1億61百万円だった。溶接材料や溶接機材の取扱量が減少したが、溶接材料の販売単価上昇やチタン材料の取扱量増加などで大幅増益だった。
通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が24年3月期比5.3%増の6230億円、営業利益が19.5%減の107億円、経常利益が14.2%減の110億円、親会社株主帰属当期純利益が11.1%減の81億円としている。配当予想については24年3月期比15円減配の300円(第2四半期末150円、期末150円)としている。予想配当性向は32.6%となる。
ユニット別の経常利益計画は、金属本部小計が8億円減の89億円(鉄鋼が7億円減の59億円、アルミ・銅が1億円減の15億円、原料が0億円減の15億円)で、機械・溶接小計が9億円減の21億円(機械が8億円減の15億円、溶接が1億円減の6億円)としている。その他は横ばいの0億円としている。なお想定為替レートは1米ドル=135円としている。
鋼材等の市況については24年3月期並みの水準を想定し、鋼材価格の高値推移や鋼材取扱量の増加により増収だが、人件費や営業費などの増加により減益予想としている。ユニット別には、鉄鋼は前期の米国子会社における貸倒引当金戻入額一巡や販管費の増加を見込んでいる。アルミ・銅は低調だった中国での緩やかな回復を見込むが販管費の増加を見込んでいる。原料はバイオマス燃料の取り扱いが堅調に推移する見込みだ。機械は売上高が横ばいだが販売管理費の増加、溶接は取扱量の横ばい推移を見込んでいる。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が24%、営業利益が34%、経常利益が33%、親会社株主帰属当期純利益が36%である。25年3月期は人件費や営業活動費の増加で減益予想としているが、第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は売られ過ぎ感
株価は地合い悪化の影響で高値圏から急反落の形となったが、売られ過ぎ感を強めている。好業績や指標面の割安感を評価して出直りを期待したい。8月6日の終値は7090円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS920円00銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の300円で算出)は約4.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS9770円13銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約628億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)