TACは25年3月期1Q大幅増益、通期黒字予想据え置き
- 2024/8/7 09:29
- 決算発表記事情報
(決算速報)
TAC<4319>(東証スタンダード)は8月6日の取引時間終了後に25年3月期第1四半期連結業績を発表した。売上面は受講者数の減少などで小幅減収だったが、営業費用抑制などの効果で各利益は大幅増益だった。そして通期黒字予想を据え置いた。重点施策として、既存事業の強化、個人教育事業の早期回復、株価純資産倍率(PBR)の改善などに取り組むとしている。積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。株価は地合い悪化の影響で年初来安値を更新する形となったが売り一巡感を強めている。1倍割れの低PBRなども評価材料であり、出直りを期待したい。
■25年3月期1Q大幅増益、通期黒字予想据え置き
25年3月期第1四半期の連結業績は売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が前年同期比3.5%減の50億23百万円、営業利益が158.0%増の3億18百万円、経常利益が180.6%増の2億98百万円、親会社株主帰属四半期純利益が136.2%増の1億96百万円だった。売上面は受講者数の減少などで小幅減収だったが、営業費用抑制などの効果で各利益は大幅増益だった。
個人教育事業は現金ベース売上高が2.0%減の21億02百万円、現金ベース営業利益が4億68百万円の損失(前年同期は7億40百万円の損失)だった。法人研修事業は現金ベース売上高が1.1%減の12億12百万円、現金ベース営業利益が3.1%増の3億27百万円だった。
受講者数は個人受講者が1.6%減の4万928人、法人受講者が2.3%減の3万723人、合計が1.9%減の7万1651人だった。講座別(合計ベース)は税理講座が2.5%増、中小企業診断士講座が8.2%増、FP講座が6.6%増、情報処理講座が6.9%増、CompTIA講座が12.2%増となった一方で、公認会計士講座が7.6%減、宅地建物取引士講座が6.9%減、公務員の国家総合職・外務専門職講座が25.5%減、公務員の国家一般職・地方上級講座が8.4%減等となった。
出版事業(TAC出版、W出版)は、売上高が13.4%減の7億99百万円、営業利益が22百万円の損失(前年同期は71百万円の利益)だった。コロナ禍明けの旅行需要に対応して刊行したテーマ別旅行ガイドがあった前期と比べて減収減益となった。人材事業は売上高が3.3%増の1億59百万円、営業利益が18.8%増の54百万円だった。TACプロフェッショナルバンクの会計系人材事業が好調に推移し、医療事務スタッフ関西の医療系人材事業も堅調だった。
通期の連結業績予想は据え置いて、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が24年3月期比1.1%増の192億20百万円、営業利益が2億70百万円(24年3月期は3億07百万円の損失)、経常利益が2億20百万円(同3億29百万円の損失)、親会社株主帰属当期純利益が1億50百万円(同2億19百万円の損失)としている。配当予想は、24年年3月期比2円減配の4円(第2四半期末2円、期末2円)としている。予想配当性向は48.4%となる。
グループの持続的な事業活動と中長期的な成長を推進するための重点施策として、売上面ではオンラインでの学習環境強化と講座開発、営業人材育成による営業強化、需要の大きいDX関連研修の拡販、TAC出版書籍販売サイトのリニューアル、会計人材紹介事業の成約率向上、直営校の校舎規模の適正化、講座運営体制の抜本的見直し、全社的な作業効率の追求などを推進する方針だ。また株価純資産倍率(PBR)の改善にも取り組むとしている。積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。
■株価は売り一巡
株価は地合い悪化の影響で年初来安値を更新する形となったが売り一巡感を強めている。1倍割れの低PBRなども評価材料であり、出直りを期待したい。8月6日の終値は173円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS8円27銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の4円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS323円28銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約32億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)