■円安と物価高でコスト上昇、企業の過半数が1割超のコストアップを報告
企業の52.0%が、昨年1月と比較して1割超のコスト増加を経験している。東京商工リサーチ(TSR)の調査によれば、円安や物価高が企業活動に影響を与え、コスト増加を止められない状況にあることが浮き彫りとなった。特に、人件費や原材料、エネルギーコストの上昇が企業経営を圧迫しており、多くの企業が価格改定を迫られている。
■運輸業の価格改定率が全産業で最低、競争激化の影響か
調査に回答した企業の91.6%がコストの上昇を報告しており、5割以上の企業が1割を超えるコストアップに直面している。業種別に見ると、製造業やサービス業、建設業、卸売業など幅広い分野でコスト上昇が確認されている。特に、情報通信機械器具製造業や生活関連サービス業では、20%を超えるコスト増加が報告されており、経営環境が厳しさを増している。
価格改定のための交渉・調整は、主に自社からの申し出で行われている。調査によれば、70.7%の企業が自社から販売先への申し出を行い、価格改定の協議を開始していることが明らかになった。一方で、業界団体や組合を通じた交渉は1割に満たず、特に中小企業や下請企業では、交渉力の弱さが課題となっている。
また、運輸業は販売先への価格改定の申し出率が全産業で最低の5.9%にとどまった。他の業種に比べ、燃料費の高止まりや人手不足といった問題を抱えているが、競争が激化する中で、価格改定が容易ではない現状がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)