日経平均は引き続きNYダウに対する出遅れ修正の展開だが、決算発表で波乱の可能性も=犬丸正寛の相場展望
日経平均は引き続きNYダウに対する出遅れを埋める展開が予想されそうだ。NYダウはチャイナショック直前水準の1万7500ドル前後まで約320ドルに迫っているが、一方の日経平均は直前水準の2万円前後まで約1600円も開きがあるからだ。
景気好調のアメリカ、景気下降気味の日本という、「景気」の良し悪しに対する大きい違いのあることがNYダウと日経平均の差となっているとみられる。ただ、先行きの景気見通しということになれば、利上げの影響が予想されるアメリカに対し安倍新政権の経済最優先政策により上向きが期待される日本という大きい違いがある。とくに、アメリカは利上げが行われれば、これまでのようなハイピッチの景気上昇は期待しにくいことから足元では利上げが延期となりそうだということでNYダウが急伸する展開となっている。裏を返せば、マーケットがそれだけ利上げの影響は大きいとみているわけだ。
一方、日本はアベノミクス3本の矢政策に期待はできるものの、「GDP600兆円目標を達成するための実行策が見えてこないから景気に対し即効性は期待し難い」(中堅証券)ということがある。
それでも足元では日本の企業業績最高益という高水準がマーケットを支えている。しかし、好調なのはトヨタ自動車などアベノミクス第1ステージで恩恵を受けた大手優良銘柄であり、中小あるいは地方はそれほど効果は現れていない、しかも、第1ステージの主力銘柄にはアべノミクス効果一巡感があり、加えて中国、新興国の減速から業績に息切れ感がみられる。
NYダウは10月27~28日のFOMCが近づくと上値に対する警戒感が台頭するのではなかろうか。足元では、9月に続いて10月の利上げは見送り、という見方が定着しているが100%ということはない。逆に、利上げの匂いが強まればNYダウの急反落につながる可能性は避けられないだろう。
見込み通り10月利上げがなかった場合は、次のFOMCが12月ということから利上げ問題から開放されNYダウは高値波乱はあっても基調としては堅調が予想されるだろう。
日本は、これから株価に影響の大きい9月の本決算と中間決算発表を迎える。輸出環境の悪化、円安の頭打ちなどから伸び悩みの心配がある。とくに、主力優良銘柄の業績に対する息切れ感が確かめられることになるだろう。いずれにしても、5,5月頃に期待されていたような16年3月期に対する上方修正は後退するのではなかろうか。
NYダウに連れられて日経平均の上伸が予想されるものの決算を巡って波乱となる可能性を含んでいることは頭に入れておきたい。