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フライトソリューションズは反発の動き、25年3月期黒字予想
- 2024/8/27 10:02
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
フライトソリューションズ<3753>(東証スタンダード)はマルチ決済装置などの電子決済ソリューションを主力として、システム開発やECサイト構築なども展開している。市販のAndroid携帯を使ってカードのタッチ決済を実現する小・中規模事業者向けの新しい決済ソリューションTapion(タピオン)も本格展開する。24年8月にはテレビ大阪YATAIフェス!2024におけるVisaのタッチ決済にTapionが採用された。25年3月期(非連結決算に移行)は拡販効果などにより大幅増収・黒字予想としている。第1四半期は概ね計画水準だった。有望案件が目白押しであり、積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。株価は地合い悪化の影響で年初来安値を更新する場面があったが、目先的な売りは一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■電子決済ソリューションが主力
23年10月1日付で、旧フライトホールディングスが子会社のフライトシステムコンサルティングを吸収合併し、持株会社から事業会社に経営体制を再編するとともに、商号をフライトソリューションズに変更した。
マルチ決済装置などの電子決済ソリューションを主力として、システム開発やECサイト構築も展開し、セグメント区分は、電子決済ソリューションなどの決済ソリューション事業、システム開発・保守・コンサルティングなどのSIソリューション事業、B2B(企業間取引)ECサイト構築システムのECソリューション事業としている。
24年3月期は、決済ソリューション事業の売上高が18億61百万円で営業利益(全社費用等調整前)が5百万円、SIソリューション事業の売上高が12億17百万円で営業利益が1億96百万円、ECソリューション事業の売上高が1億29百万円で営業利益が15百万円の損失だった。収益は決済ソリューション事業の大型案件によって変動する傾向が強い。
■決済ソリューション事業
決済ソリューション事業は、スマートデバイスを活用したカード決済ソリューションの開発・販売を展開し、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末のIncredistシリーズを主力としている。24年4月には新モデルとしてIncredist Premium Ⅲをリリースした。
市販のAndroid携帯を使ってカードのタッチ決済を実現する小・中規模事業者向けの新しい決済ソリューションTapion(タピオン)については、自社決済センターを構築し、NTTデータの拡張性の高い決済伝送サービス「GAFIS GlobalGEAR」に接続して運用する。カフェ、カジュアルレストラン、キッチンカー、屋台、朝市など小・中規模事業者のキャッシュレス決済およびタッチ決済の普及拡大に努める方針だ。
本格サービスインに向けて22年11月よりTapionのパイロット運用を行ってきたが、23年7月に一般加盟店の申込受付を開始した。また23年7月にはセブン銀行のATM受取サービスに対応すると発表した。23年8月には、自社クレジット決済センター拡張により他の電子決済ソリューション全般へサービスを拡大すると発表した。またTapionは23年9月にAmerican Expressのクレジットカードに対応、23年10月に交通系電子マネーに対応した。23年11月には「Tapionタブレット」の販売を発表した。24年初旬よりパイロット運用加盟店にて評価・運用を開始し、24年春ごろを目途に量産を開始する。
24年2月には、法人プリペイドカード「Tapionカード」において国際決済ネットワークがMastercardに決定し、共同印刷グループのTPSとの提携で発行開始した。また自社のクレジット決済センターでのDCC決済への対応が完了した。さらに独自認定制度「Tapion検定」において、追加でAndroid携帯6機種を認定した。24年4月にはTapionのTVCM放送(BS-TBSの番組Bizスクエア内で4月13日~9月28日に放送)を開始した。24年8月にはテレビ大阪YATAIフェス!2024におけるVisaのタッチ決済にTapionが採用された。
自動精算機分野では、米国ID TECH社製VP6800を国内の飲料自動販売機や駐車場無人自動精算機などに接続するため、マルチ決済端末VP6800・IFCを製品化している。19年6月にはGMOフィナンシャルゲート(GMO-FG)と接続開始し、GMO-FGを通じた決済ソリューションとして自動精算機向けVP6800・IFCの拡販を推進している。23年7月には三菱プレシジョンのパーキングシステムにVP6800が採用され、総合カタログ・WEBサイトに掲載されたとリリースしている。
■電子決済ソリューションはキャッシュレス化や非接触が追い風
電子決済ソリューションはキャッシュレス化の流れが追い風となり、決済種類・ブランドの拡大、電子マネーブランドの拡大、決済端末製品ラインアップの拡充、決済パートナーの拡大、ストック型ビジネスモデルの拡大など、電子決済ソリューションの展開を加速している。
18年5月には三井住友カードと包括加盟店契約を締結した。三井住友カードの代行として加盟店開拓・契約締結・管理を行い、継続的に手数料収入が得られるストック型収益となる。22年3月には三菱UFJニコスとクレジットカード決済における包括的加盟店契約を締結、22年6月にはジェーシービー(JCB)と各種クレジットカード決済および電子マネー決済における包括代理店加盟契約を締結、22年8月にはSBペイメントサービスと包括代理店加盟店契約を締結した。製品販売に加えて決済代行事業も推進する。
22年3月には、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律の規定に基づき、マイナンバーカードを活用した公的個人認証サービスのプラットフォーム事業者として、主務大臣認定(本認定においては総務大臣と内閣総理大臣)を取得した。
22年5月にはiPadとIncredist Premium Ⅱを活用したマイナンバーカード読取によるシンクライアント型公的個人認証サービスmyVerifist(マイ・ベリフィスト)を開始した。23年5月にはmyVerifistシリーズ第2弾「医療エディション」を発表した。マイナンバーカードの健康保険証利用とキャッシュレス決済で医療機関のDX化を支援する。また24年6月にはmyVerifistの機能を拡充し、運転免許証、在留カード・特別永住舎証明書、パスポートまで本人確認が可能になった。
■SIソリューション、ECソリューション
SIソリューション事業は公共系・音楽配信系・金融系・物流系・放送系などのシステム開発を展開している。23年4月にはGoogle CloudのServiceパートナー認定を取得、24年4月にはGoogle Cloud Partner Advantageプログラムにおいてエキスパティーズ認定を取得、24年6月にはソフトバンクが運営する法人パートナープログラムONE SHIPのソリューションパートナーとして認定された。
ECソリューション事業は、卸売・企業間取引に特化したECサイト構築システムのEC-Rider B2Bを展開している。また伝票処理自動化ソリューションの新製品OCRiderの拡販も推進する。24年6月にはなEC-Rider B2Bの新バージョンEC-Rider B2B Ⅱをリリースした。
■25年3月期は大幅増収・黒字予想
25年3月期の非連結業績予想(当期より非連結決算に移行)は、売上高が41億50百万円、営業利益が1億円、経常利益が80百万円、当期純利益が60百万円としている。前期の連結業績(売上高32億08百万円、営業利益1億03百万円の損失、経常利益94百万円の損失、親会社株主帰属当期純利益1億05百万円の損失)との比較で見ると、拡販効果などにより大幅増収で黒字転換予想としている。
第1四半期の非連結業績は、売上高が5億53百万円、営業利益が1億41百万円の損失、経常利益が1億46百万円の損失、四半期純利益が1億47百万円の損失だった。前年同期の連結業績(売上高6億33百万円、営業利益46百万円の損失、経常利益41百万円の損失、親会社株主帰属四半期純利益41百万円の損失)との比較で見ると、減収でとなり赤字拡大した。ただし概ね計画水準だった。
SIソリューション事業は売上高が3億10百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が37百万円だった。連結ベースの前年同期は売上高が2億61百万円で、営業利益が28百万円だった。事業会社向けの基幹システム開発や保守などにより増収増益だった。
ECソリューション事業は売上高が19百万円で、営業利益が7百万円の損失だった。連結ベースの前年同期は売上高が37百万円で、営業利益が2百万円だった。B2B向けECサイト構築パッケージの新バージョン「EC-Rider B2BⅡ」の立ち上げに注力したため減収減益だった。
決済ソリューション事業は売上高が2億24百万円で、営業利益が77百万円の損失だった。連結ベースの前年同期は売上高が3億34百万円で、営業利益が9百万円だった。電子決済ソリューション「Incredist」シリーズ、Androidスマホによるタッチ決済ソリューション「Tapion」、無人自動精算機向けマルチ決済端末「VP6800」、マイナンバーカードを用いた公的個人認証サービス「myVerifist」の開発・販売に注力した。
通期予想は据え置いている。決済ソリューション事業では、新しい決済ソリューションTapion(タピオン)の本格展開、マルチ電子決済端末Incredistシリーズの最新モデルIncredist Premium Ⅲの開発・拡販、無人自動精算機向けマルチ決済端末VP6800・IFCや公的個人認証サービスmyVerifistの拡販などを推進する。有望案件が目白押しであり、積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。
■株価は反発の動き
株価は地合い悪化の影響で年初来安値を更新する場面があったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。8月26日の終値は239円、今期予想PER(会社予想のEPS6円35銭で算出)は約38倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS47円85銭で算出)は約5.0倍、そして時価総額は約23億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)