【どう見るこの株】和心は続落も大幅増益の業績再上方修正を手掛かりに押し目買いが交錯

どう見るこの株

■インバウンド関連株として再注目か

 和心<9271>(東証グロース)は、前日27日に17円安の623円と3営業日続落して引けた。東証グロース市場指数が、4.01ポイント安の844.69ポイントと続落したことから、8月26日に年初来高値742円まで買い進まれていた同社株にも目先の利益を確定する売り物が増勢となった。ただ前場につけたこの日の安値617円からは小戻して引けており、今年8月14日に発表した今2024年12月期業績の2回目の上方修正で、利益が大幅増益となることを手掛かりに押し目買いも交錯した。このところ円高・ドル安に振れた為替相場が、1ドル=144円台で落ち着いたことから、今年7月の訪日外客数が前年同月比41.9%増の329万2500人と2カ月連続で単月として過去最高となったことも見直され、インバウンド関連株人気の再燃期待につながっている。

■3店舗を新規出店し来客数は45%伸び2Q営業利益は過去最高

 同社の今2024年12月期通期業績は、第1四半期(2024年1月~3月期、1Q)決算開示時の今年5月に第1回目の上方修正をされたあと、第2四半期(2024年1月~6月期、2Q)累計決算発表時の今年8月14日にその上方修正値が再上方修正された。売り上げは今年5月の上方修正値より9000万円、営業利益は7000万円、経常利益は5500万円、純利益は7500万円それぞれ引き上げられ、売り上げ19億円(前期比42.7%増)、営業利益3億円(前期は4800万円の黒字)、経常利益2億6500万円(同1100万円の黒字)、純利益2億5300万円(同800万円の赤字)と大きく増収増益率を伸ばす。新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が、昨年5月に2類相当から5類へ変更され、円安・ドル高が続いたことでインバウンド(外国人観光客)需要が好調に推移したことが要因となっている。

 2Q累計業績では、和柄傘ブランド「北斎グラフィック」など3店舗を新規出店にして前期末の23店舗が25店舗に拡大し、来店客数が前期比45.1%増と伸び、2Q3カ月の営業利益が1億2500万円と四半期として過去最高となったことなどが要因となった。今期通期では、新規出店を10店舗、また子会社のアイレグで展開している一棟型貸別荘などの宿泊施設を5棟10室の開業を予定している。

■PER15倍と相対的に割り負けミニGCのサポートで年初来高値に再チャレンジ

 株価は、今年5月の1回目の今期業績の上方修正で558円と買われ、インバウンド需要の拡大とともに617円と上値を追ったものの、日経平均株価が過去最大の下落幅となる全般相場の波乱とともに418円と大きく調整した。同安値からは今期業績の2回目の上方修正で609円とリバウンドしたものの、材料出尽くし感もあって514円へ再調整、今年7月の訪日外客数が2カ月連続で過去最高となったことでストップ高を交えて年初来高値742円へ急伸した。インバウンド需要のカギとなる為替相場は、円高・ドル安方向に強含みややアゲインストになっていたが、この年初来高値更新で5日移動平均線が25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆した。足元の3営業日続落でも25日線はキープしPERも15.4倍と東証グロース市場の全銘柄平均の48.85倍を下回り割り負けている。年初来高値奪回に再チャレンジしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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