【株式市場特集】新NISAと東京メトロIPOの相乗効果、株式市場活性化の起爆剤となるか

■割安な株価と高配当で注目集める超大型IPO、民営化銘柄への波及効果も

 新内閣発足と総選挙に合わせて東京メトロのIPOが予定されている。これは「御用金相場2.0」と呼ばれ、新NISAによる「御用金相場1.0」に続くものである。東京メトロのIPOは超大型案件で、マーケットでは賛否両論があるが、割安な株価や高配当が評価されている。初値は想定価格の2~3割高と予想され、順調なIPOとなる可能性が高い。このIPOを機に、他の民営化銘柄や関連企業の株価にも注目が集まっている。新NISAの効果と相まって、個人投資家の参入も期待される。

■NTTを筆頭に配当利回りが3%超の8銘柄はPER評価も割安

 民営化株でいまホットなのは、前記のNTT、次いで日本郵政<6178>(東証プライム)だろう。NTTは、臨時国会で解散し総選挙後に発足する石破後継内閣で、完全民営化のためのNTT法の改正が大きな政治イベントとなる。同社は、これに備えてすでに大型分割を実施し自己株式取得を進めるなど受け皿つくりをしてきた。バリエーション的にもPERは11.4倍、配当利回りは3.47%となっている。日本郵政は、10月1日に郵便料金の30年ぶりの大幅値上げが控えており、PERは15.6倍、配当利回りは3.56%と割り負けている。配当利回りは、いずれも想定価格ベースの東京メトロに並ぶ。

 同様に配当利回りで割り負けている民営化株をあげると、配当利回り4.49%、PER16.1倍のJT<2914>(東証プライム)、同じく4.39%、6.6倍のINPEX<1605>(東証プライム)、4.71%、5.8倍の石油資源開発<1662>(東証プライム)、4.08%、10.6倍の電源開発<Jパワー、9513>(東証プライム)、3.92%、12.8倍のかんぽ生命<7181>(東証プライム)、3.90%、13.2倍のゆうちょ銀行<7182>(東証プライム)と続く。PBR評価も、NTTとJT以外は、0.2倍~0.5倍と1倍を割っており、INPEXと石油資源開発は、原油価格や為替相場の動向次第では、今期業績の再上方修正、再々上方修正の一方で下方修正の可能性もあるが、石油資源開発は、株式分割の権利を落としたばかりで手掛けやすい株価水準にいる。

■延伸工事受注のゼネコン株、新型車両製造の車両株、ホームドア株も浮上

 東京メトロそのものの関連株では、前記の東京都が筆頭株主の東京都競馬、第5位株主の東京電力ホールディングス<9501>(東証プライム)のほか、現在、東京都が進めている中期経営計画でビジネスチャンスを拡大する銘柄にまず注目したい。同計画では、3年間で3300億円の設備投資を推進し、南北線・有楽町線の延伸の新線建設に150億円、新型車両導入、ホームドア整備、信号保安設備改良などの安全対策に1240億円、バリアフリー設備、日比谷線虎ノ門ヒルズ駅整備などの旅客サービスに890億円などの投資を予定している。

 このうち南北線の品川工区土木工事は、鹿島<1812>(東証プライム)、鉄建建設<1815>(東証プライム)など3社の共同企業体(JV)が受注し、有楽町線の東陽町工区土木工事は大成建設<1801>(東証プライム)などのJVが受注し、鴻池組などのJVは、南北線白金工区の土木工事で受注実績がある。新型車両では、有楽町線・副都心線、半蔵門線などで次々に導入が進められており、この製造を担った日立製作所<6501>(東証プライム)、川崎重工業<7012>(東証プライム)、日本車両製造<7102>(東証スタンダード)、近畿車両<7122>(東証スタンダード)、主電動機の三菱電機<6503>(東証プライム)、台車の日本製鉄<5401>(東証プライム)などが浮上する。また相互直通運転用の大開口ホームドアの納入実績のあるナブテスコ<6268>(東証プライム)も外せない。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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