【株式評論家の視点】三機工業は「焼きソバ」問題で異物混入防ぐ高機能コンベアに注目

株式評論家の視点

<銘柄の見所>

三機工業<1961>(東1・売買単位100株)は700円~800円のボックス相場を上放れる可能性があり、下押した局面は丹念に拾ってみたい。食の安全を守る食品向け高機能コンベアが注目される。

最近、カップ焼きそばに昆虫が紛れ込むなど、食品の安全性に対する関心が高まっている。こうした中、同社では食品業界向け高機能コンベアを開発した。異物の混入を発見するために行う検査の精度を高めるためにコンベアベルト照度を従来の5000ルクスから20000ルクスに高め、透過率を引き上げたと同時にマルチカラー化で多様な異物チェックの対応を可能にした「高照度マルチカラー化LEDコンベア」を開発し搭載した。

加えてチルド弁当などの盛り付けラインは品質維持のために製造室全体を低温にしているが、この装置を使うと、製造ラインのみ10度以下の低温状態を維持できるために、部屋全体を低温にする必要がない。作業者の負担を軽減できるうえに空調設備の省エネ化にもつながることから、食品メーカーから脚光を浴びている。

一方、2015年度9月中間期の業績は労務費の向上や資機材価格のアップにより売上高は前年同期比12.7%増となったものの、営業損益は27億500万円の損失、経常損益は23億2500万円の損失、純損失13億2700万円の損失と損失決算となってしまった。

しかし、主力のオフィス、工場の空調・電気設備工事の伸長や効率経営の強化を背景に2015年3月期通期では、売上高1800億円(前期比5%増)、営業利益32億円(同13.6%増)、経常利益35億円(同11.3%増)、当期純利益22億円(同24.8%増)と増収増益を確保する見込みである。

予想一株当たり利益は33.9円(前期26.5円)に向上する。配当は年15円を据え置く意向だ。9月末の一株当たり純資産は1200円45銭。

これで計算したPERは22倍、PBRは0.63倍と割安だ。配当利回りは1.98%と高い。

上値でのシコリ玉もたいぶ、ほぐれてきたようだ。ボックス圏を離脱し9月高値930円奪還から4ケタ台乗せが期待できよう。このため、下押した局面は絶好の買いチャンスと判断できると考えられる。(志木克己)

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