『渋々好調の消費』=日本チェーンストア協会が発表した15年9月の全国スーパー売上(既存店)が、実に23年ぶりとなる6カ月連続の増加となった。23年前といえば1990年~92年頃でバブル経済の余熱が漂っていた頃だ。もちろん、今はバブルではないが、アベノミクス効果という特徴がある。
問題は今がアベノミクス効果の余熱状態かどうかということである。もし、余熱の中の好調ということならこの先、1990年当時と同じように消費不振が待ち構えていることになってしまう。
もう一つ気になる点もある。9月のスーパー全体の売上は2.9%の伸びだが、その中心は全体の約6割を占める食料品が3.7%増と大きく寄与していることである。食料品といえば、言うまでもなく生活必需品である。人口減少社会の中では、「購買数量」が大きく増えているとは思えないから、売上伸長は、商品値上りの「価格上昇」によるものとみられる。生活者は、天候不順の影響で高等した野菜を必需品ということで渋々購入している姿ではないだろうか。
23年ぶり売上好調をアベノミクス効果による消費好調と素直に受け取ることができないのである。とくに、マーケットが恐れるのは消費好調だから景気対策は必要ないと当局が判断してしまうことで。