【株式市場特集】中東危機で株式市場に異変、日経平均と個別株の反応に乖離

■地政学リスクに備え、関連セクターへの投資検討が急務に

 中東情勢の緊迫化に伴う株式市場の反応を分析した。日経平均株価は、4月のイラン・イスラエル間の衝突時に比べ、今回のガザ地区での戦闘勃発後の回復が早すぎる可能性がある。一方、産油株などの個別銘柄は、4月時よりも強い上昇を示し、原油供給途絶や価格上昇を先取りしている。この反応の差異は、今後のイスラエルによるイランへの報復攻撃次第で評価が分かれる。しかし、安全策として個別関連株への投資が有利となる可能性がある。産油株、資源株、海運株、金価格関連株などへの投資を検討する余地がある。

 株式市場の反応は、地政学的リスクに対して敏感であり、投資家は慎重な姿勢を保ちつつも、関連セクターの動向に注目する必要がある。今後の中東情勢の推移によっては、さらなる市場の変動が予想される。

■原油価格の想定価格次第では業績の再上方修正の可能性もありポジティブ

 INPEX、石油資源開発、K&Oエナジーグループ<1663>(東証プライム)の3社は、石油元売りとは異なって原油や天然ガスの開発権益を保有し開発している産油株である。このうちINPEXは、第一次石油危機時に常磐沖の石油開発で株価が急騰した帝国石油を合併している。またK&Oエネは、千葉県で水溶性ガスを開発・販売しており、純国産ガスとなっている。またINPEXは、今12月期業績を想定原油価格(ブレント原油)を期初の1バーレル=73ドルから80ドルに引き上げて上方修正し、石油資源開発は今3月期業績を同じく想定価格(WTI価格)の80ドルから75.52ドルに引き下げたにもかかわらず上方修正しており、原油価格の動向によっては業績の再上方修正の可能性もある。低PER・PBR、高配当利回り水準にいる株価の押し上げ材料として注目される。

 海運株も、中東情勢の悪化がタンカー攻撃の再燃につながるケースでは、船舶のスエズ運河回避、喜望峰回りの輸送距離や輸送日数が伸びて事実上、船舶需給がひっ迫し海運市況の上昇が業績拡大要因となる。前週末4日は、もう一つの船腹需給ひっ迫要因だった米国の東海岸やメキシコ湾岸の港湾労働者のストライキが終結したと伝えられたことで株価は急落したが、日本郵船<9101>(東証プライム)、商船三井<9104>(東証プライム)、川崎汽船<9107>(東証プライム)のコンテナ船3社の株価は、同じく揃って低PER・PBR、高配当利回り水準にあり、突っ込み買い対応に問題はない。また前日6日付けの日本経済新聞で、リース用の海上コンテナの大量発注が伝えられた三菱HCキャピタル<8593>(東証プライム)も、関連株の一角に浮上する。

■戦略物資の銅関連株では非鉄株が浮上し安全資産の金関連株にも再出番

 資源株では、銅は戦略物資の最たるものと位置付けられ、中国の相次ぐ景気対策の発動も加わって銅先物価格が上昇している。地政学リスク関連株に非鉄株が浮上することになり、三井金属<5706>(東証プライム)、三菱マテリアル<5711>(東証プライム)、住友金属鉱山<5713>(東証プライム)、DOWAホールディングス<5714>(東証プライム)などが要注目となる。なかでも住友金鉱は、安全資産とされる金に関して、世界有数の金鉱山・菱刈鉱山を保有しており、ダブルの関連株となる。

 金先物価格は、地政学リスクの高まりとFRB(米連邦準備制度理事会)が、政策金利を引き下げて長期金利が低下したことから金利が付かない資産として相対的に有利になるとして9月26日には一時、1トロイオンス=2708.7ドルの過去最高高値を付ける場面があった。産金株以外の関連株への目配り余地があり、貴金属回収(リデュース)関連の中外鉱業<1491>(東証スタンダード)、アサカ理研<5724>(東証スタンダード)、AREホールディングス<5857>(東証プライム)、松田産業<7456>(東証プライム)、貴金属買取・再販(リユース)関連のハードオフコーポレーション<2674>(東証プライム)、トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)、買取王国<3181>(東証スタンダード)、テイツー<7610>(東証スタンダード)、BuySell Technologies<7685>(東証グロース)などが狙い目となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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