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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールシーコアは16年3月期利益予想の増額修正や4%台の高配当利回りを評価
- 2015/10/23 06:48
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アールシーコア<7837>(JQS)はログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を展開している。10月13日に今期(16年3月期)業績予想について売上高を減額修正、各利益を増額修正した。これも好感して株価は戻り歩調の展開だ。4%台の高配当利回りも評価して出直りの動きが本格化しそうだ。
■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売
自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を国内直販部門、連結子会社のBESSパートナーズ、および国内販社で展開している。
また東京・代官山「BESSスクエア」と神奈川県「BESS藤沢展示場」の直営展示場2拠点、およびタイムシェア別荘施設「フェザント山中湖」も運営している。
■中期経営計画で17年3月期ROE18%目標
中期経営計画では、目標数値(事業環境変化を勘案して契約棟数を1900棟から1600棟に修正)として、17年3月期の売上高180億円、営業利益率8%、ROE18%を掲げている。
重点戦略として「BESS」ブランドの深耕、強みであるログハウスを主軸に据えたマーケティング・商品戦略、商品の納期短縮・コスト削減・価格競争力向上、営業拠点と営業員の拡充、営業スキル向上と営業力強化に向けたBESS営業(ホームナビゲーター)資格制度導入、展示場50拠点展開などを推進している。
15年3月期は営業拠点として香川県高松市、千葉県柏市、新潟県新潟市、静岡県吉田町の4拠点を新設して、15年3月期末の契約販社数は27社、営業拠点数は全国43拠点(直営2拠点、BP社2拠点、販社39拠点)となった。さらに埼玉県、京都府、長野県にも新拠点開設を予定している。中期経営計画目標の50拠点に向けて着実にネットワーク拡大が進展しているようだ。
商品戦略強化では14年11月に新世代ログハウスとして新商品「G-LOG」を発売した。またΩ戦略室で法人向け等の事業開発に着手した。
なおカントリーログハウスのキット部材を製造販売するカナダの連結子会社BFM社の株式をカナダAAA社に譲渡する件(14年11月発表、15年1月に譲渡価格と譲渡日程の変更を発表、15年2月に譲渡日程の変更を発表)については、カナダAAA社において本件に係る資金調達に支障をきたしているため、15年3月に譲渡を一旦中止すると発表した。
ただしファブレス化の選択で経営資源をマーケティングや商品開発に集中させる方針に変更はなく、今後は他の譲渡候補先も視野に入れてカナダAAA社との交渉も継続するとしている。
■契約(受注)高は回復傾向
15年3月期の四半期別推移を見ると、契約(受注)高は第1四半期(4月~6月)15億25百万円(前年同期比31.9%減)、第2四半期(7月~9月)30億47百万円(同26.2%減)、第3四半期(10月~12月)24億42百万円(同38.6%増)、第4四半期(1月~3月)34億75百万円(同2.0%減)だった。
また売上高は第1四半期28億11百万円、第2四半期32億75百万円、第3四半期29億16百万円、第4四半期29億39百万円で、営業利益は第1四半期1億14百万円、第2四半2億23百万円、第3四半期1億95百万円、第4四半期1億45百万円だった。
契約(受注)高は回復傾向のようだ。また15年3月期のROEは14年3月期比5.2ポイント低下して10.2%、自己資本比率は同2.8ポイント上昇して42.7%だった。配当性向は43.6%だった。
■16年3月期業績予想の売上高を減額、利益を増額修正
10月13日に、今期(16年3月期)第2四半期累計(4月~9月)および通期の連結業績予想について、売上高の減額と利益の増額修正を発表した。売上高については連結子会社BESSパートナーズにおける契約(受注)高の計画未達の影響で減額したが、上期における販管費の抑制効果や下期における売上総利益率の改善効果などが寄与して各利益を増額修正した。
第2四半期累計の連結業績予想は、前回予想(5月14日公表)に対して売上高が1億円減額して前年同期比3.5%増の63億円、営業利益が2億円増額して同18.7%増の4億円、経常利益が2億円増額して同12.1%増の3億80百万円、純利益が1億20百万円増額して同11.1%増の2億30百万円とした。利益は大幅増額修正で、減益予想から一転して増益予想となった。
通期(16年3月期)の連結業績予想については、前回予想(5月14日公表)に対して売上高が3億円減額して前期比8.9%増の130億円、営業利益が2億円増額して同4.0%減の6億50百万円、経常利益が2億円増額して同7.5%減の6億30百万円、そして純利益が1億20百万円増額して同9.9%減の3億80百万円とした。中期成長に向けた諸施策への費用投下を積極的に行うため減益予想だが、第2四半期累計の利益増額や下期における売上総利益率改善効果で減益幅が縮小する見込みだ。
なお第1四半期(4月~6月)は、売上高が前年同期比1.7%増の28億59百万円となり、営業利益が同13.1%増の1億29百万円、経常利益が同3.1%減の1億09百万円、そして純利益が同10.5%増の78百万円だった。今期予定している営業力強化のための本格的な費用投下を実施していない段階だが、営業利益は第1四半期としての過去最高を更新した。
契約(受注)高は同45.3%増の22億17百万円だった。第1四半期としては消費税率引き上げ前の駆け込み需要があった一昨年の過去最高額22億41百万円に迫る大幅改善だった。セグメント別には直販部門が同24.7%増の5億43百万円、BESSパートナーズが同78.4%増の3億14百万円、販社部門が同53.3%増の13億43百万円だった。
集客面の動向を見ると、全国BESS展示場への新規来場者数は8200件で同1.3%減少したが、強化ポイントとしている再来場者数は6000件で同10.5%増加した。
最重要課題として取り組んでいる営業員の質・量の拡充については、BESS事業全体の営業員数(成約稼働ベース=トレーニング実施済み)が142名となり、15年3月期末比2名増加した。
なお期初時点における16年3月期契約(受注)高の計画については、前期比24.9%増の131億円(契約棟数は同293棟増加の1200棟)としている。過去最高を更新する見込みだ。連結子会社BESSパートナーズにおける契約(受注)高が計画未達のようだが、消費増税の影響一巡や雇用・所得環境の改善も追い風であり、営業強化策などの成果で受注は底打ちした可能性が高く収益は改善基調だろう。
配当予想については前回予想(5月14日公表)を据え置いて、前期比3円増配の年間45円(第2四半期末22円、期末23円)としている。予想配当性向は52.5%となる。なお利益配分についての基本方針は、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定的配当を実施するとしている。15年3月期のDOEは4.5%で、16年3月期のDOEは4.7%となる見込みだ。
■株価は戻り歩調
株主優待については3月に優待内容の改訂を発表した。毎年3月末・9月末時点で100株以上保有株主に対して、保有株数に応じて「BESS指定工事請負契約にかかる優待割引」「フェザント山中湖タイムシェア・別荘オーナー制度・メンバー制度の優待割引」「フェザント山中湖宿泊利用割引・サービス利用割引」「BESSオリジナル外部用防腐スプレー販売割引」などの優待券を贈呈する。15年3月末から適用した。
株価の動きを見ると、8月25日と9月29日に960円まで下押す場面があったが、1月の年初来安値950円を割り込むことなく切り返した。そして10月以降は1000円台を回復して下値を切り上げている。16年3月期利益予想の増額修正も好感して戻り歩調の展開だ。
10月22日の終値1030円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円70銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は4.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS964円78銭で算出)は1.1倍近辺である。なお時価総額は約46億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を突破する動きを強めている。強基調に転換する動きだ。4%台の高配当利回りも評価して出直りの動きが本格化しそうだ。