クリーク・アンド・リバー社は25年2月期2Q累計減益だが通期増益予想据え置き
- 2024/10/15 09:33
- 決算発表記事情報
(決算速報)
クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は10月10日に25年2月期第2四半期累計(中間期)連結業績を発表した。第1四半期に発生した大手ゲームパブリッシャーの案件縮小の影響、新卒採用に伴う人件費の増加などで減益だった。ただし通期増益予想を据え置いた。通期計画達成に向けて案件獲得が概ね順調に進んでおり、下期に挽回を目指すとしている。積極的な事業展開により通期ベースでの収益拡大基調を期待したい。株価は年初来安値圏でモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。
■25年2月期2Q累計減益だが通期増益予想据え置き
25年2月期第2四半期累計(中間期)の連結業績は売上高が前年同期比2.3%増の258億36百万円、営業利益が15.6%減の21億95百万円、経常利益が13.7%減の22億65百万円、親会社株主帰中間純利益が14.4%減の14億70百万円だった。
期初計画(売上高270億円、営業利益27億円、経常利益27億円、親会社株主帰中間純利益17億50百万円)を下回り、減益で着地した。日本クリエイティブ分野において第1四半期に発生した大手ゲームパブリッシャーの案件縮小の影響、日本クリエイティブ分野および会計・法曹分野における人材紹介サービスの成約長期化の影響、医療分野において前期後半から実施した営業体制見直し等の構造改革の影響のほか、新卒採用に伴う人件費の増加やオリジナルコンテンツ開発費用の増加など先行投資も影響した。
日本クリエイティブ分野(6社)は売上高が1.0%増の174億76百万円、営業利益(全社費用等調整前)が21.1%減の11億52百万円だった。大手ゲームパブリッシャーの案件縮小などで売上高が伸び悩み、先行投資による費用増加も影響した。韓国クリエイティブ分野(2社)は売上高が7.7%減の15億77百万円、営業利益が11百万円の損失(前年同期は14百万円の損失)だった。TV局向け派遣が減少したが、Webtoonの伸長などにより営業損失が小幅に縮小した。医療分野(2社)は売上高が2.4%減の32億67百万円、営業利益が13.3%減の10億19百万円だった。営業体制見直し効果遅延で成約数が減少した。会計・法曹分野(2社)は売上高が2.0%減の12億43百万円、営業利益が33.5%減の61百万円だった。人材紹介サービスの成約長期化が影響した。
その他事業(新規事業18社)は売上高が39.3%増の22億70百万円、営業利益が24百万円の損失(同1億13百万円の損失)だった。投資段階事業が多いため全体として営業損失だが、前年比では損失縮小した。営業利益増減の内訳は増益の11社合計で1億20百万円増益、投資が増加した5社合計で45百万円減益、新規設立・グループ化2社合計で21百万円増益だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高128億54百万円で営業利益12億61百万円、第2四半期は売上高129億82百万円で営業利益9億34百万円だった。四半期別営業利益を前年比で見ると、第1四半期は20.2%減益、第2四半期は8.7%減益となり、第2四半期は減益幅が縮小して改善傾向となった。日本クリエイティブ分野の営業利益が第1四半期34.1%減益に対して第2四半期4.3%減益と改善した。
通期連結業績予想は据え置いて、売上高が24年2月期比10.4%増の550億円、営業利益が17.0%増の48億円、経常利益が16.0%増の48億円、親会社株主帰属当期純利益が16.6%増の31億円としている。配当予想は24年2月期比2円増配の43円(期末一括)としている。予想配当性向は30.5%となる。
増収増益で14期連続増配予想としている。新卒採用増加(グループ合計で22年4月入社160名、23年4月入社344名、24年4月入社361名)や戦略投資などでコストが増加するが、日本クリエイティブ分野の拡大、新規事業会社の収益改善などで吸収する見込みだ。
事業別の計画は、日本クリエイティブ分野の売上高が10%増の385億円で営業利益が11%増の32億円、韓国クリエイティブ分野の売上高が7%減の33億円で営業利益が40百万円の損失(24年2月期は41百万円の損失)、医療分野の売上高が7%増の58億円で営業利益が8%増の14億円、会計・法曹分野の売上高が8%増の27億円で営業利益が17%増の2億円、その他(前期比2社増加の18社)の売上高が37%増の50億円で営業利益が50百万円利益(同2億円の損失)としている。
日本クリエイティブ分野では既存事業の成長を見込み、新卒社員の早期戦力化や採算管理強化を推進する。韓国クリエイティブ分野では引き続きTV局向け派遣の減少を想定している。医療分野では医師紹介事業の好調推移に加え、新型コロナウイルスワクチン関連反動減影響も一巡するが、需要増に対応した営業体制見直し等の構造改革費用を織り込んでいる。会計・法曹分野では会計士・弁護士の紹介事業が伸長する見込みだ。その他分野では各社の収益改善を見込んでいる。
通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高47%、営業利益46%、経常利益47%、純利益47%である。医療分野の収益が上期(特に第1四半期)に偏重する季節要因を考慮すると実質的な進捗率はやや低水準だが、通期計画達成に向けて案件獲得が概ね順調に進んでおり、下期に挽回を目指すとしている。積極的な事業展開により通期ベースでの収益拡大基調を期待したい。
■株価は下値固め完了
株価は年初来安値圏でモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。10月11日の終値は1480円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS140円93銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の43円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS713円59銭で算出)は約2.1倍、そして時価総額は約341億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)