【どう見るこの株】Heartseedは急反落も「HSー001」の高容量試験進展を手掛かりに下値買いも交錯

 Heartseed<219A>(東証グロース)は、前日16日に75円安の1464円と急反落して引けた。日経平均株価が730円安、東証グロース市場指数が1.18%安とそれぞれ急反落したことから、前々日15日に100円超高と急反発し、今年7月30日の新規株式公開(IPO)時につけた初値1548円を上抜き1609円まで買われる場面もあった同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただこの日の安値1456円からは小戻して引けており、同社のリードパイプラインの他家iPS細胞由来心筋球の開胸投与による心不全患者への治療プログラム「HS-001」の第Ⅰ/Ⅱ相臨床(LAPiS試験)で、高容量1例目投与に関して、10月1日に安全性評価委員会のレビューが完了したことを見直し、同パイプラインが、日本で「条件及び期限付き承認制度」を活用する早期上市に大きい一歩になるとして直近IPOバイオ株買いも交錯した。実際に同社は、前日大引け後にマイルストンの前倒しによる今2024年10月期業績の上方修正を発表した。

■ターゲット患者は700万人にのぼり巨額の契約一時金・マイルストン

 LAPiS試験は、他家iPS細胞から作製した心筋細胞を分化誘導して純化し、移植細胞として心不全患者に投与するもので、すでに今年7月30日に心筋細胞を5000万個投与する低用量群で安全評価委員会のレビューを受け、高用量群投与の開始が推奨されていた。今回の今年8月からスタートした心筋細胞を1億5000万個投与する1例目でも安全性が確認され、高用量投与治験が継続される。この治験進行とともに心筋球が患者の心筋と結合し再筋肉化することで心収縮の改善、投与部周辺で新たな血管が形成される作用機序が期待され、心不全患者の再生医療に大きく前進することになる。

 心臓病は、全世界で死因の第1位を占め、心不全患者は世界で6500万人、日本で130万人に達すると推定され、このうち同社の「HS-001」のターゲット患者は、世界で700万人、米国で70万人~80万人、日本で16万人と想定されている。同社は、世界第2位の製薬会社のノボノルディスク・エーエス社と独占的技術提携・ライセンス契約をして契約一時金とマイルストンの合計額は最大5億9800万ドル(約891億円)にのぼる。今2024年10月期業績は、IPO時に売り上げ1億5300(前期比55.6%減)、営業利益19億6500万円の赤字(前期は14億5900万円の赤字)、経常利益17億9800万円の赤字(同14億5600万円の赤字)、純利益17億9800万円の赤字(同14億7400万円の赤字)と見込み、なお開発投資負担が先行するが、前日16日大引け後には、次期2025年10月期に見込んでいたマイルストンが2024年10月期前倒しになるとして上方修正した。売り上げが、8億7400万円(前期比2.54倍)と増収転換したほか、純利益も、8億9600万円の赤字と赤字幅の縮小を見込んだ。

■25日線出没の三角保ち合いを上放れ初値抜けから上場来高値に再挑戦

 株価は、公開価格1160円でIPOされ、IPOと同時に安全評価委員会で「HS-001」の高容量投与開始が奨励されたと発表されたことも加わり1548円で初値をつけ、1770円まで上値を伸ばしたが、直後に日経平均株価が過去最大の下落幅となる全般相場急落とともに上場来安値901円へ突っ込んだ。同安値から売られ過ぎ修正で1785円までリバウンドして1278円安値へ再調整するもみ合いのなか、高容量投与開始で上場来高値1878円まで急伸し、戻り売りが交錯して25日移動平均線を出没する三角保ち合いを続けてきた。三角保ち合いを上放れ、再度の初値抜けから上場来高値奪回に再挑戦しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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