かつて、九州地方の岬や島では唐(中国)との交流船の目印として昼には煙、夜は火を燃やして航行の安全を図ったという。江戸幕府が慶応2年にアメリカ、イギリス、フランス、オランダの4カ国と結んだ江戸条約において8つの灯台建設を約束し造った中の1つが野島崎灯台という。西洋式灯台としては横須賀の観音埼灯台に次いで日本で2番目に古い灯台という。
真っ青な秋の空に、あまり大きくはないが真っ白い姿が木々の緑に映えてすばらしい。本州最南端の灯台は和歌山県の潮岬灯台だが、野島埼灯台は房総半島最南端である。灯台を一周する遊歩道から眺める海原は雄大な太平洋、ハワイまで6200キロメートルだそうだ。白いベンチの見える大きい岩が目にとまり、手すりもなにもない岩肌をやっとの思いでよじ登った。3人も座ればいっぱいとなる小さなベンチ、岩の頂上も10人も立てばいっぱい、誤って転落すれば大怪我は間違いない。しかし、絶景である。さらに、エレベータのない灯台にも挑戦。すれ違いがやっとできるコンクリ製の階段を77、そこからは次は1人がやっと上れる急な金属の階段、下を見ると足がすくむ。やっと辿りつけば180度の絶景が待ってくれていた。
都内からJR特急で館山駅まで2時間ほど。都心は木枯らし1号で冷えたが、可愛い駅舎の前に立つと南国らしい日差し。着込んできたチョッキはカバンへ。トビウオの飾りが迎えてくれる。業業の活発な街だ。ちょうど昼時、チエックしておいた「波奈」という寿司屋さんへ、評判通り、最高に美味しかった。12月になれば、もう春の花が咲き始めるという。景色に見とれ気がつけば陽も傾き始めている。JTBのお嬢さんが、海側座席を取ってくれたわけがわかった。車窓から見る東京湾に沈む夕日がすばらしかった。