【編集長の視点】タイミーは上場来安値更新も相次ぐ悪材料を織り込み底固め最終ステージ入り期待

 タイミー<215A>(東証グロース)は、前日17日に48円高安の1073円と3営業日続落して引け、取引時間中には1065円まで下げ、今年10月8日につけた上場来安値1112円を更新した。同社株は、今年9月12日に今年7月16日の新規株式公開(IPO)後の初決算として発表した今2024年10月期第3四半期(2023年11月~2024年7月期、3%)業績が、今10月期通期予想業績対比では低利益進捗率にとどまり、さらに一部メディアが、同社のスポットワーカーへの罰則が厚生労働者の指導を受けたと報道されるなど悪材料が続き見切り売りが続いた。ただ3Q売り上げは過去最高で着地し今10月期通期業績は、大幅増益の期初予想に変更はなく、厚労省の指導についてもすでに昨年に厚労省と協議済みとのコメントを発表しており、悪材料は相当程度織り込んだとみられる。株式需給的にも、信用買い残が積み上がっているが、このところの東証グロース市場の売買代金・出来高ランキングの上位を占める大商いが続いていることから調整の進展も想定され、底固めは最終ステージ入りと期待され、底値打診買いも一考余地がありそうだ。

■3Qのアクティブワーカーや流通総額は大きく伸び過去最高

 同社の今期3Q業績は、売り上げ190億2500万円(前年同期比72.6%増)、営業利益27億9300万円(同60.6%増)、経常利益24億7200万円、純利益14億6600万円(同16.0%減)で着地した。全国展開しているスキマバイトサービス「タイミー」の登録ワーカー数が860万人、登録クライアント事業所数が28万6000拠点と積み上がり、3Qの3カ月のアクティブワーカーの累積数が、120万5000人、アクティブクライアントが前年同期比98.8%増、流通総額(ワーカーに払う賃金・報酬などの合計額)が同63.2%増の221億7900万円と過去最高となったことなどが要因となった。純利益は、クライアントマーケティングや繰越欠損金の影響で減益となった。

 今2024年10月期業績は、売り上げ275億5600万円(前期比70.7%増)、営業利益40億9100万円(同2.09倍)、経常利益36億2300万円(同88.3%増)、純利益22億5500万円(同25.0%増)と見込んでおり、3Q業績のこの通期予想業績対比の利益進捗率は、65%~68%と目安の75%を下回る。ただ今年10月に入りJA長野中央会と業務提携しりんご選果場などへの人手確保を図るほか、北海道・弟子屈町など全国12自治体との連携協定を締結し、地方での労働力確保や移住・定住促進などの新サポートを進めており、業績寄与が期待される。なお厚労省とは、同社のスポットワークアプリを利用するユーザーが無断欠勤した場合、同アプリの無期限利用停止から一定期間の利用停止とすることで協議を終了している。

■25日線から22%の下方かい離と下げ過ぎで大商い続きで需給調整も進展へ

 株価は、1450円を公開価格にIPOされ、1850円で初値をつけ今年8月の全般相場急落で1179円と売られる場面があったが、上場来高値2235円まで買い進まれる高人気となった。同高値からは、3Q業績の低利益進捗率着地がイヤ気され1112円安値まで大きく売られ、一部メディア報道が追い討ちとなってさらに前日取引時間中は上場来安値1065円へ下ぶれ底値模索を続けている。テクニカル的にも25日移動平均線からは22.4%のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆し、株式需給的にも大商いが続くなか信用買い残の調整進展が期待され、底上げからまず公開価格1450円奪回を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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