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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ネットワークバリューコンポネンツは下値固めてモミ合い煮詰まり感、サイバーセキュリティ関連も注目
- 2015/10/26 06:53
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ネットワークバリューコンポネンツ<3394>(東マ)はネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開している。株価は安値圏でモミ合う展開だが下値固めは完了している。15年12月期の収益は改善基調であり、サイバーセキュリティ関連としても注目される。煮詰まり感を強めてモミ合い上放れの展開だろう。
■情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開
情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業(ネットワークソリューション事業およびネットワークサービス事業)を展開している。
クラウド関連、モバイル関連、セキュリティ関連、サービス関連などを重点分野として海外の先端技術を開拓し、国内を代表するIT先進企業へ最適なソリューションとして提供している。
企業内セキュリティ対策チームをバックアップするNVCプライベートSOC運用支援サービスも提供している。ライセンス収入や保守・運用収入などの売上構成比が高く、ストック型の収益構造であることも特徴だ。
15年1月にはユニファイド・セキュリティー・サービス部門を新設した。セキュリティ商材の販売・設計・構築・保守サービス・マネージドサービスなど、従来各部門で個別に行ってきた各種セキュリティサービスを統合し、より質の高いサービスの提供を目指す方針だ。
15年7月にはWebサーバ脆弱性診断サービスWVDSを開始した。Webの脆弱性を利用した悪意のある攻撃に対して「Webサイトの健康診断」を実施するサービスで、セキュリティに対する耐性がいち早く明確化・可視化され、具体的な対応策を素早く検討することが可能になる。
■中期成長に向けてパートナー企業との協業も推進
中期成長に向けて先端的ネットワーク関連商品の投入、パートナー企業との協業推進などで、プロジェクト単位での受注拡大を目指している。13年5月には新日鉄住金ソリューションズ<2327>と資本・業務提携した。
13年8月には米ニクサン社のネットワーク監視ソリューション製品に関する販売代理店契約、13年10月にはカナダのノビフロー社が開発したオープンフロー関連製品の国内独占販売代理店契約を締結した。
14年9月にはネットワークセキュリティの米ThreatSTOP社のリアルタイムIPおよびドメインレピュテーションサービスに係る国内販売代理店契約を締結、15年2月にはネットワークセキュリティ専業メーカーであるNSFOCUS社の日本法人NSFOCUSジャパンと国内販売代理店契約を締結した。
15年4月にはファイア・アイ社と、同社の標準型マルウェア防御システム製品についてゴールドパートナー契約を締結した。15年5月には米ThreatSTOP社のIPレピュテーションサービス「ThreatSTOP」を運用支援する「NVC ThreatSTOPサービス」の提供を開始した。
15年6月にはNSFOCUS社が提供するWebサイトの脆弱性をスキャニングするソリューション「WVSS」の国内販売を開始した。
15年9月には米ThreatSTOP社がシリーズBラウンドで475万ドルの資金調達を実施したと発表している。スタンフォード大学計算機教授のデビッド・チェリントン博士および当社の渡部進代表取締役などが投資した。米ThreatSTOP社は日本で当社と提携している。
10月13日には、米トムソーヤ・ソフトウェア社と国内販売代理店契約の締結を発表した。同社が開発したデータ可視化ソフトウェア開発キット「トムソーヤ・パースペクティブ」の国内販売を開始する。
■15年12月期の収益は改善基調
今期(15年12月期)の連結業績予想(2月13日公表)は売上高が前期比6.9%増の30億81百万円、営業利益が同6.1倍の1億76百万円、経常利益が同19.6倍の1億57百万円、純利益が同36.0%増の89百万円としている。配当予想は無配継続としている。
第2四半期累計(1月~6月)は売上高が前年同期比29.7%増の19億40百万円、営業利益が同45.1%増の81百万円、経常利益が同38.0%増の72百万円、純利益が同30.9%増の43百万円だった。官公庁向け大型案件も寄与して売上高、各利益とも計画を大幅に上回った。
売上面では、ネットワークソリューション事業でセキュリティ関連や無線LAN関連、ネットワークサービス事業で保守やマネージドVPNなどの自社サービスが好調に推移した。利益面では、円安や低採算大型案件の影響で売上総利益率が同9.4ポイント低下したが、増収効果やのれん償却減少で販管費比率が9.9ポイント低下して大幅増益だった。
四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(1月~3月)9億39百万円、第2四半期(4月~6月)10億01百万円、営業利益は再1四半期48百万円、第2四半期33百万円だった。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が63.0%、営業利益が46.0%、経常利益が45.9%、純利益が48.3%と概ね順調な水準である。第2四半期累計が計画を上回り、通期ベースでも収益改善基調だろう。
先端的なネットワーク関連商品の投入、パートナーとの協業強化、自社サービスの強化に取り組み、セキュリティ、モバイル、クラウドの重点3分野での事業展開に注力するとしている。子会社イノコスの収益改善が課題だが、中期的に収益拡大が期待される。
■株価は下値固め完了してモミ合い煮詰まり感
株価の動きを見ると、8月の年初来安値2329円から反発し、10月以降は概ね3000円台前半の水準でモミ合う展開だ。ただし下値固めが完了してモミ合い煮詰まり感を強めている。
10月23日の終値3105円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS95円06銭で算出)は32~33倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS218円52銭で算出)は14倍近辺である。なお時価総額は約30億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、3000円台を割り込んで下押す動きも見られない。3000円近辺が下値支持線のようだ。15年12月期の収益は改善基調であり、サイバーセキュリティ関連としても注目される。煮詰まり感を強めてモミ合い上放れの展開だろう。