【編集長の視点】東京ボード工業は続伸の買い気配、減価償却費増による連続減益を織り込み割り負け訂正期待

編集長の視点

東京ボード工業<7815>(東2)は、まだ寄り付き段階では2営業日連続で商いが成立していないが、買い気配値としては10月22日終値に対し10円高の1420円買い気配と実質的に続伸している。

同社株は、今2015年3月期業績が、今年5月から稼働を開始した木粉と廃プラスチックを混合して成形するWPCの生産設備などの減価償却費の負担増などで連続減益と予想されたことから下値を固めていたが、織り込み済みとして割り負け訂正買いが増勢となっている。また、この減価償却費の一巡から来2016年3月期には、純利益が、4期ぶりに過去最高に肉薄すると観測されていることも、先行きの業績期待を高めている。

■新製品設備の減価償却費増は続くが来期はピークアウトし最高純益肉薄観測も

同社の今3月期業績は、売り上げ65億5700万円(前期比8.5%増)、営業利益6億9700万円(同7.5%減)、経常利益6億7100万円(同5.1%減)、純利益5億2300万円(同12.1%減)と予想されている。新設住宅着工戸数の低迷、円安に伴う原材料の接着剤や光熱費の上昇など厳しい経営環境下で、同社の主力商品のパーティクルボードを非住宅部門の体育館などの文教施設向けにも積極的に拡販し、新製品のWPCも投入して売り上げは続伸し製造コストの削減に引き続き取り組むが、減価償却費が、WPC製造装置や木くず貯蔵設備向けに増加することなどが要因となるもので、純利益は、変電設備の除却損5000万円を計上し減益転換を見込んでいる。減価償却費は、前々期の3億2119万円が、前期に3億4719万円、今期は4億9272万円と増加する。

ただこの減価償却費は、来期以降はピークアウトして業績負担は軽減の方向にあって増益転換が有力で、東洋経済会社四季報の最新号では、来期純利益を6億4000万円と観測し、2013年3月期の過去最高(6億7300万円)に肉薄することになる。

■IPO以来の調整幅の3分の1戻し水準からPER6倍台、PBR0.7倍の割安修正に拍車

株価は、昨年12月に公開価格2180円で新規株式公開(IPO)され公開価格を下回る2005円で初値をつけ2060円と上ぶれたあと1588円と調整したが、前期第3四半期の高利益進捗率業績に未定とした前期配当を上場記念配当を含めて30円(前々期実績12円)と大幅増配したことが加わって1845円の戻り高値までリバウンドした。その後、25日移動平均線が上値抵抗線となって下値を探り上場来安値1150円へ調整したが、下げ過ぎとしてIPO以来の調整幅の3分の1戻し水準まで底上げした。上値抵抗線の25日も上抜いており、PER6倍台、PBR0.7倍の割安修正に弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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