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【小倉正男の経済羅針盤】中国版『喪失の時代』は長期化が不可避、潰れるしかない中国のバブル
- 2015/10/26 09:57
- 小倉正男の経済コラム
バブルとおできは大きくなると潰れる。中国のバブルも膨らんだおできと同じで、どうやっても潰れるしかない。
中国の7~9月期のGDPが6.9%と発表された。ついに7%を割り込んだわけだが、6.9%ならそう悪くはないのではないかという声もある。株価も「ひと安心」と上昇してみせた。
ただし、よいも悪いもない、数字そのものが信用できる代物ではない、という見方が前提としてある。適当な数字を出していると思っていなければならない。
中国は、さらに金利を下げて、同時に金利自由化に踏み切った。
金利を下げても、雇用や所得が増える、あるいは重要が起こる状況ではない。金利自由化も「改革」とはいえるが、需要が極端に低迷しているいまでは意味は低下している。
中国の場合は、妙な表現だがシャドウバンキングが金利自由化を担ってきた。
銀行は、国有企業などにしか融資しない。シャドウバンキングは、高い金利で一般企業や個人に融資してきた。そのカネが土地や株などの投資に向けられていったわけである。金利自由化は、そうした実体に追随したものということになる。
■全治30年~50年=中国経済は長期低迷・苦難に突入
バブルというものは、土地でも株でも、「これは絶対に儲かる」とみんなが思い込んで買うときに勃発する。中国はお国がかりでバブルを奨励したようなものだから、バブルは全員参加型である。
みんなが買えば、次に買う人がいなくなる。買う人がいなくなれば、買った人が売る人に変わる――。
バブル崩壊とは、売る人ばかりになった状態のことである。
いまの中国がまさのそれである。おカネはどんどん中国から逃げている。こうなると人民元の切り下げは不可避というか、価値を維持するのが困難になるのが市場原理だ。
日本のバブル崩壊では、20年以上も「失われた時代」が続いた。中国経済は、今後の30年~50年は「喪失の時代」になるだろう。
中国のバブルは、共産党独裁の中央政府、地方政府がつくった「官製バブル」で無責任というか、責任の所在がない。バブルもごついが、バブル崩壊もごつい、とみておいて間違いない。
■バブルをつくるのが「責任」、バブルは責任なし
日本のバブル崩壊では、名だたる企業が軒並みに「損失隠し」「損失飛ばし」を行った。
責任を取りたくない――。膨大な損失・赤字を出せば、経営責任が生じることになる。会長、相談役などで会社に残れない――。役員退職金にも響く――。ひたすら損失隠しにひた走った。
中国は、中央政府、地方政府といった国が主導したバブルだった。バブルをつくるのが「責任」というか「使命」で、バブルをつくったことへの責任などさらさらない。コミットのベクトル(方向)が違った。
したがって、バブルは巨大化し、崩壊も巨大化し、しかも途方もなく長期間に及ぶことになる。責任がないという体制というか、体質というものが、そうさせる・・・。
中身はともかくGDP世界2位の経済大国・中国は長い苦難に沈むことになる。
中国は「需要創出」で世界経済に貢献したが、今後は世界経済の巨大な不確実性ファクターになる。
(経済ジャーナリスト。『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営』『第四次産業の衝撃』(PHP研究所)など著書多数。東洋経済新報社で編集局記者・編集者、金融証券部長、企業情報部長などを経て現職。)