【転換期を迎える日本の証券市場-東証改革の真価が問われる】
■午後3時30分まで取引可能に
国内最大の証券取引所である東京証券取引所は、本日(2024年11月5日)から取引時間を30分延長し、午後3時30分までの取引を可能とする新制度の運用を開始する。これは1954年以来、実に70年ぶりの大規模な制度改革である。
■取引所改革で新時代へ-システム障害対策と終値決定方式刷新
取引時間延長の最大の狙いは、国際競争力の強化にある。特に欧州市場の開場時間に近づくことで、海外投資家からの取引増加が期待されている。また、2020年に発生した大規模システム障害への対応力強化も重要な目的の一つとなっている。
注目すべき改革の一つが「クロージング・オークション」制度の導入である。取引終了前の5分間は株価を動かさずに注文のみを受け付け、集まった注文を基に終値を決定する新方式により、より公正な価格形成が可能となる。この制度は特に機関投資家から高い期待が寄せられている。
市場関係者の間では、この改革が日本市場の流動性向上につながるとの期待が高まっている。ただし、その効果を最大限に引き出すためには、東証や上場企業による魅力的な情報開示が不可欠となる。企業の決算発表時期を前倒しする動きも出始めており、市場全体で新制度への対応が進んでいる。
今回の改革は、単なる取引時間の延長にとどまらず、日本の証券市場の構造改革としての意味合いを持つ。システム障害への耐性強化、価格形成の公平性向上、そして国際競争力の強化という複数の目的を達成できるか、市場関係者から注目が集まっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)