生化学工業は25年3月期2Q累計大幅営業増益、通期大幅増益予想据え置き
- 2024/11/11 09:33
- 決算発表記事情報
(決算速報)
生化学工業<4548>(東証プライム)は11月8日に25年3月期第2四半期累計(中間期)連結業績を発表した。為替差損計上で経常小幅増益・最終減益だが、ロイヤリティー収入やLAL事業における海外販売の増加で2桁増収・大幅営業増益だった。そして通期の大幅増益予想を据え置いた。医薬品の販売は減少するが、ロイヤリティー収入の増加や研究開発費の減少が寄与する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は下値を切り上げて戻り歩調だ。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。
■25年3月期2Q累計大幅営業増益、通期大幅増益予想据え置き
25年3月期第2四半期累計(中間期)連結業績は売上高が前年同期比11.9%増の202億10百万円、営業利益が71.2%増の25億37百万円、経常利益が1.2%増の23億54百万円、親会社株主帰属四半期(中間)純利益が8.1%減の19億31百万円だった。
為替差損計上で経常小幅増益・最終減益だが、ロイヤリティー収入やLAL事業における海外販売の増加で2桁増収・大幅営業増益だった。研究開発費は4.9%減の32億43百万円だった。営業外では為替差損益が10億81百万円悪化(前期は差益5億82百万円、当期は差損4億99百万円)した。
医薬品事業は売上高が9.6%増の143億47百万円、営業利益が93.6%増の20億56百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が15.6%減の54億02百万円、海外医薬品が8.9%増の47億57百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が1.4%減の16億円、ロイヤリティー収入が270.2%増の25億88百万円だった。
国内医薬品は関節機能改善剤アルツおよび眼科手術補助剤オペガン類が減少した。関節機能改善剤アルツについては、競合品からの切り替え進展で医療機関納入本数が大幅増加したものの、増産体制整備に向けた設備メンテナンスに伴う出荷量調整の影響で減収だった。眼科手術補助剤オペガン類については、緩やかな市場成長等で医療機関納入本数が増加したものの、前期に競合品の限定出荷に伴い当社製品の出荷が一時的に増加した反動で減収だった。海外医薬品は、米国向け関節機能改善剤ジェル・ワンおよびスパルツFXの増収が牽引した。医薬品原体・医薬品受託製造は、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が増加したが、医薬品原体が減少したため微減収となった。
LAL事業は売上高が18.0%増の58億63百万円、営業利益が14.5%増の4億81百万円だった。海外子会社ACC社における円安効果、グルカン測定体外診断用医薬品および遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬パイロスマートネクストジェンの販売増が牽引した。
なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が100億22百万円、営業利益が16億40百万円、経常利益が21億86百万円、第2四半期は売上高が101億88百万円、営業利益が8億97百万円、経常利益が1億68百万円だった。なおロイヤリティー収入は第1四半期が23億88百万円、第2四半期が2億円だった。営業外では第1四半期に為替差益3億03百万円を計上したが、第2四半期は為替差損4億99百万円を計上した。
通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が24年3月期比10.5%増の400億円、営業利益が9.1倍の39億50百万円、経常利益が2.7倍の45億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が57.8%増の34億50百万円としている。配当予想は24年3月期比4円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。予想配当性向は47.4%となる。
大幅増益・増配予想としている。国内薬価引き下げの影響、一部の海外医薬品の出荷調整の影響などにより医薬品の販売は減少するが、ロイヤリティー収入の増加や研究開発費の減少が寄与する見込みだ。研究開発費の計画は7.8%減の69億円としている。また前期の繰延税金資産計上の反動で税金費用が増加する見込みだ。
なお、国内医薬品の関節機能改善剤アルツについては、設備メンテナンスに伴う出荷量調整の影響が第3四半期まで継続するが、第4四半期には生産量が回復し、通期ベースでは計画通りの売上高となる見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は下値を切り上げて戻り歩調
株価は下値を切り上げて戻り歩調だ。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。11月8日の終値は855円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS63円23銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1324円82銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約486億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)