【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トシン・グループは調整の最終局面、低PBRや継続的な自己株式取得を見直し

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トシン・グループ<2761>(JQS)は電設資材などの卸売事業を展開し、営業拠点網拡充などで事業基盤を強化している。16年5月期第1四半期は減収ながら2桁増益だった。株価は8月の年初来安値に接近して調整の最終局面と考えられる。16年5月期増益予想、0.6倍近辺の低PBR、継続的な自己株式取得という株主還元姿勢を見直して反発のタイミングだろう。

■首都圏中心に電設資材や住宅設備機器の卸売事業を展開

 首都圏を中心として、電設資材や住宅設備機器などの卸売事業を展開する持株会社である。小口多数販売や、専門部署による得意先営業活動支援サービスなどを特徴としている。

 取扱商品や営業拠点網の拡充などで事業基盤強化を推進している。15年1月には小山営業所、15年6月には佐野営業所を開設した。

■新設住宅着工戸数など建設関連投資が影響

 15年5月20日期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(5月21日~8月20日)110億05百万円、第2四半期(8月21日~11月20日)115億38百万円、第3四半期(11月21日~2月20日)106億94百万円、第4四半期(2月21日~5月20日)120億34百万円で、営業利益は第1四半期4億81百万円、第2四半期6億円、第3四半期5億55百万円、第4四半期5億88百万円だった。

 新設住宅着工戸数など建設関連投資の動向が収益に影響しやすい。また15年5月20日期の配当性向は25.2%だった。ROEは14年5月20日期比0.7ポイント低下して5.8%、自己資本比率は同2.3ポイント低下して79.6%となった。

■16年5月期第1四半期は減収だが2桁増益、通期も増益基調

 今期(16年5月20日期)第1四半期(5月21日~8月20日)の連結業績は、売上高が前年同期比1.8%減の108億09百万円だが、営業利益が同19.5%増の5億75百万円、経常利益が同16.7%増の7億65百万円、純利益が同18.7%増の4億54百万円だった。

 新設住宅着工戸数が緩やかに持ち直す動きが見られたが微減収だった。ただし粗利益率の改善や減価償却費の減少などが寄与して、営業利益、経常利益、純利益とも2桁増益だった。売上総利益率は20.7%で同0.1ポイント上昇、販管費比率は15.5%で同0.8ポイント低下した。

 通期の連結業績予想は前回予想(7月3日公表)を据え置いて、売上高が前期比0.1%増の453億円、営業利益が同3.9%増の23億10百万円、経常利益が同2.7%増の32億20百万円、純利益が同2.0%増の18億80百万円としている。配当予想も前回予想(7月3日公表)を据え置いて、前期と同額の年間52円(第2四半期末26円、期末26円)としている。予想配当性向は24.6%となる。

 17年4月の消費税の追加増税を控えていることに加えて、長期化する円安に伴う原材料価格の上昇など厳しい事業環境が続くとして、微増収微増益の会社予想だ。

 ただし14年4月の消費増税の影響一巡、営業拠点網拡充や新規得意先開拓の効果、小口多数販売の強化、得意先営業活動支援サービスの体制・機能強化など、グループ総合力を活かした付加価値サービス拡充の効果での増収増益基調が期待される。

■株価は調整の最終局面

 なお8月17日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限50万株、取得価額総額の上限15億円、取得期間15年8月18日~16年7月31日)については、10月7日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって6100株(1株あたり2400円)を取得し、10月7日時点の累計取得株式総数6300株、累計取得価額総額1514万4800円となった。

 株価の動きを見ると、やや軟調展開で10月27日には2342円まで下押した。ただし8月25日の年初来安値2341円に接近して調整の最終局面だろう。

 10月27日の終値2348円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS211円53銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間52円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3671円89銭で算出)は0.6倍近辺である。なお時価総額は約268億円である。

 週足チャートで見ると、13週移動平均線が戻りを押さえる形となって水準を切り下げたが、8月の年初来安値に接近して、ほぼ1年近く続いた調整の最終局面と考えられる。16年5月期増益予想、0.6倍近辺の低PBR、そして継続的な自己株式取得という株主還元姿勢を評価して反発のタイミングだろう。

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