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トレジャー・ファクトリー、25年2月期大幅増益予想、既存店売上の好調が業績を牽引、在庫効率の改善も寄与
- 2024/11/18 09:54
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)は、総合リユース業態のトレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態のトレファクスタイルなどリユースショップを複数業態で全国展開し、成長戦略としてSDGsの推進とともに、生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。25年2月期は大幅増収増益予想としている。既存店売上が好調に推移し、在庫効率の改善なども寄与する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は水準を切り下げる形で軟調だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。
■リユースショップを複数業態で全国展開
総合リユース業態のトレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態のトレファクスタイルなど、リユースショップを複数業態で首都圏・直営店中心に全国展開している。さらに周辺事業・新規事業として、BtoBライブネットオークション事業、引越・買取サービスのトレファク引越事業、不動産売買・仲介を行うトレファク不動産事業、終活・生前整理サービスのレガシー事業、ドレスやブラックフォーマルをレンタルするECレンタル事業「Cariru」なども展開している。生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指し、マルチブランドの業態展開による販売力やマルチチャネルによる仕入力を強みとしている。
M&A・アライアンスとしては、20年10月に静岡県中心にリユースショップ直営店を展開するピックアップジャパンを子会社化、23年10月に愛知県中心にゴルフ専門リユースショップ「ゴルフキング」を展開するアクオを子会社化、24年2月にゴルフ専門リユースショップ「ゴルフキッズ」を展開する子会社GKファクトリーがアクオを吸収合併した。
海外はタイ(16年3月進出)のバンコクで直営店を展開し、台湾では現地法人Treasure Factory(21年4月設立)が22年12月に1号店をオープンした。台湾においても複数店舗のドミナント展開を目指すとしている。
24年10月末時点の店舗数はグループ合計289店舗(タイの4店舗と台湾の2店舗を含むトレジャーファクトリーが95店舗、トレファクスタイルが88店舗、トレファクスポーツアウトドアが9店舗、ユーズレットが11店舗、ブランドコレクトが7店舗、トレファクマーケットが2店舗、子会社のカインドオルが39店舗、ピックアップが14店舗、ゴルフキッズが14店舗、ゴルフキングが10店舗)で、このうち直営店は257店舗となっている。
収益面では、引越シーズンで単価の高い生活家電や家具の構成比が高まる第1四半期(3月~5月)の利益率が高くなり、単価の低い夏物衣料が主力となる第2四半期(6月~8月)の利益率が低くなる季節特性がある。
■新規出店やM&Aで成長加速
中期経営計画(ローリング方式、25年2月期~27年2月期、24年4月10日付で25年2月期と26年2月期の目標数値を上方修正)では、最終年度27年2月期の目標数値に、売上高503億円、経常利益46.7億円、経常利益率9.3%、親会社株主帰属当期純利益30.8億円を掲げている。売上・利益とも年平均成長率10%強を目指し、年間出店数は25年2月期30店舗、26年2月期30~35店舗、27年2月期35~40店舗、3年間累計投資額は50~60億円の計画としている。株主還元については配当性向目標を30%以上としている。なおM&Aを積極推進する方針だが目標値には織り込んでいない。
基本方針として、リユース事業の成長、新規事業への投資、海外市場での成長、M&Aによる成長、DX投資による成長を掲げている。SDGsの推進とともに、さらなる成長が見込まれるリユース市場においてグループ一体となってリユース・ネットワークの拡大を推進する。そして生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。
リユース事業の成長では、グループ全体で複数業態を組み合わせて年間25~35店ペースの出店を継続し、リユースのネットワークを拡大する。さらに多店舗体制構築に向けた採用・教育の強化、更なる新業態開発、グループのリユース会社の収益改善を推進する。
新規事業への投資では、関東と関西の物流拠点の拡張によるBtoBライブネットオークション事業の本格展開、買取と引越をセットで行う独自の買取引越事業の成長加速、レンタル事業への継続投資と新たな柱への育成を推進する。
海外事業では、タイ事業(21年11月期に単年度黒字化)の利益体制の構築と新規出店、および台湾への進出を推進する。M&Aでは、既存事業とのシナジー効果や新たな収益事業につながるM&Aを積極的に検討する。DX投資では、自社システム部門およびシステム子会社の開発力を活用し、業務効率化、査定効率化、新たな買取機会・販売機会創出などを推進する。
アライアンス戦略では、22年2月に終活・生前整理分野「Regacy」において、相続対策プラットフォームの「はなまる手帳」を運営するはなまる手帳と業務提携した。22年3月にはALBERT<3906>と共同で、EC出品のために撮影した衣類画像から必要な情報をAIが自動入力する「クロスキャナ」を開発し、トレファク店舗での本格導入を開始した。EC出品業務にかかる「ささげ作業」の大幅な効率化を図り、システム導入前との比較でEC出品点数の10%増加を目指す。22年9月には東急コミュニティーの住み替えサービス「たくす」との連携を開始した。
■25年2月期大幅増益予想
25年2月期の連結業績予想(24年7月10日付で上方修正)は売上高が24年2月期比21.5%増の418億62百万円、営業利益が20.7%増の40億41百万円、経常利益が20.0%増の40億69百万円、親会社株主帰属当期純利益が21.5%増の27億23百万円としている。配当予想(24年7月10日付で第2四半期末2円上方修正)は24年2月期比6円増配の34円(第2四半期末18円、期末16円)としている。予想配当性向は29.3%となる。
第2四半期累計(中間期)は売上高が前年同期比23.7%増の196億14百万円、営業利益が20.5%増の17億45百万円、経常利益が19.7%増の17億57百万円、親会社株主帰属中間純利益が22.8%増の11億44百万円だった。
大幅増収増益だった。新規出店の期ズレにより計画を下回ったものの、既存店売上が好調に推移し、在庫効率の改善なども寄与した。営業利益の前年同期比+2億97百万円の増減分析は、単体既存店・前期出店増益で+5億74百万円、単体当期新店で▲96百万円、単体その他で▲3億83百万円(店舗買取以外の買取チャネルの人員増加で▲78百万円、ECや買取強化のための広告宣伝費増加で▲27百万円、センター拡張移転に伴うコスト増加で▲33百万円、レンタル事業の減益で▲30百万円)、グループ会社の利益貢献で+2億01百万円だった。
主要KPIとして、単体ベースの既存店売上高は前年同期比107.9%、販売件数は103.3%、1件あたり販売単価は104.5%と好調に推移した。単体ベースの売上総利益率は65.1%で0.8ポイント低下した。商品ミックス変化(免税販売を中心とする原価率の高い高単価商材が増加)の影響で約0.6ポイント低下、会計処理変更(仕入送料の一部を販管費から売上原価に変更)の影響で約0.3ポイント低下した。連結ベースの仕入高は19.3%増加した。連結ベースの新規出店は合計11店舗で、24年10月末時点のグループ店舗数(海外およびFCを含む)は289店舗となった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が103億20百万円で営業利益が13億49百万円、第2四半期は売上高が92億94百万円で営業利益が3億95百万円だった。なお季節要因として、第1四半期は引越シーズンで単価の高い家具や生活家電等の需要が高まるのに対して、第2四半期は単価の低い夏物衣料の需要が高まるため第1四半期に比べて売上高、営業利益とも減少する特性がある。また当第2四半期の営業利益は、センター拡張移転に伴うコストや人件費・広告宣伝費の増加などにより前年同期比4.8%減益となった。
通期の連結業績予想は据え置いている。成長投資を実行しつつ、通期ベースで売上高、利益とも20%以上の成長率維持を目指す。下期の前提としては、単体ベースの既存店売上104%(上期実績107.9%)、連結ベースの売上総利益率59.5%(同60.2%)で販管費比率49.3%(同51.3%)としている。また連結ベースの新規出店は通期で22店舗の見込み(期初計画は30店舗)としている。
第2四半期累計の進捗率は売上高47%、営業利益43%、経常利益43%、親会社株主帰属当期純利益42%だった。第2四半期の構成比が小さい季節要因を勘案すれば進捗率は順調と考えられる。新規出店は当初計画を下回る見込みだが、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
なお月次売上状況(単体直営店の店舗売上、前年同月比速報値)を見ると、24年10月は全店が113.2%、既存店が101.6%(21年9月から38ヶ月連続前年比プラス)だった。10月は前年と比較して休日が1日少なかったほか、前年よりも気温が高く推移して気温低下が想定より遅れたため冬物衣料や暖房家電が伸び悩んだが、一方で高価格帯衣料やホビー用品などが好調だった。また24年3月~10月累計の新規出店は15店舗となった。
■株主優待制度は毎年2月末の株主対象
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は、毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。
■株価は売られ過ぎ感
なおJPX総研および日本経済新聞社が共同で算出するJPX日経中小型株指数の24年度(24年8月30日~25年8月28日)の構成銘柄として選定された。
株価は水準を切り下げる形で軟調だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。11月15日の終値は1273円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS116円23銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS362円06銭で算出)は約3.5倍、そして時価総額は約310億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)