■長期入院の孤独を解消、Haruが子どもたちの心を癒す
ホンダ<7267>(東証プライム)の先端技術の研究を担うホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI-JP)は11月29日、スペイン・セビリアのヴィルヘン・デル・ロシオ大学病院に、AI搭載コミュニケーションロボット「Haru」を正式導入したと発表。11月28日に開催された小児がん撲滅イベントにて発表されたこの取り組みは、入院中の小児がん患者の生活の質向上を目指すプロジェクトの一環である。
■人間の感情に寄り添う、30cmの小さな仲間
Haruは、全高30cmの小型ロボットで、人間の表情や声のトーンを分析し、共感的なコミュニケーションを実現する。性別や人種、国籍に依らない中立的な対話が可能で、特にグループコミュニケーションにおいて世代や文化を超えた効果を発揮する。病院では、2021年から実証実験を重ね、小児がん患者へのポジティブな効果を確認している。
導入されるHaruは、主に四つの領域で活用される。心理評価のサポート、リハビリテーションガイド、病室での話し相手、そして入院中の教育支援である。特に心理評価においては、年間対応可能な患者数を510名から約4500名へと大幅に拡大することが可能となる。リハビリテーションでは、95%の子どもたちがHaruによるガイドに積極的に取り組む結果が得られている。
HRI-JPは、「実体のあるAIシステム」としてHaruを開発し、ロボットと人間が共生する社会の実現を目指している。今回のヴィルヘン・デル・ロシオ大学病院での導入は、10台のHaruを活用し、小児がん病棟における様々な場面でその可能性を追求する。この取り組みは、テクノロジーによる医療現場のイノベーションの新たな可能性を示唆している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)