【どう見るこの相場】業績上方修正・増配の12月期決算会社で「トランプ・リスク」と「日銀リスク」に守って攻める
- 2024/12/2 08:37
- どう見るこの相場
■師走相場、守りと攻めの二刀流で挑む年末投資戦略
「守るも攻めるも」あと1カ月である。師走相場がきょうスタートするが、出だしから旗色が芳しくなさそうだ。「トランプ・トレード」が盛り上がるはずなのに、「トランプ・リスク」への懸念が強まることが懸念されるからだ。米国のトランプ次期大統領が、来年1月20日の就任式を待たずに早くも「タリフマン(関税男)」の面目躍如で中国、カナダ、メキシコへの関税引き上げをSNSに投稿し、トランプ政策の「予測不可能性」通りに不意打ちされた。
しかも、米国政府が今週にも発表する中国への追加半導体輸出規制が、想定されていたほど厳しい措置にはならないと報道されて半導体関連株が反発したものの、今度は、日本銀行が、12月18日、19日に開催予定の金融政策決定会合で利上げするとの観測が強まって、為替が1ドル=149円台と1カ月ぶりに円高・ドル安となり、「日銀リスク」が株価の足を引っ張りそうだ。
本来、師走相場は、個人投資家の「アニマル・スピリット」が一年のなかでも最も覚醒する1カ月のはずである。「終わり良ければすべて良し」とばかりに「餅代稼ぎ」、「ミルク代稼ぎ」の短期売買が繰り返され、「掉尾の一振」銘柄の観測もシキリとなる。それが、「トランプ・リスク」と「日銀リスク」とに肩透かしされ一筋縄で行きそうもないから、痛いしっぺ返しも心配しなくてはならなくなる。
「守り」か「攻め」か大いに悩ましくなる。とういうことで、この師走相場は、守備から一気に攻撃に転じる堅守速攻、サッカーでいう「カウンターアタック」戦術が似つかわしいかもしれない。というのもこのモデルケースとなる銘柄が急浮上したからだ。LAホールディングス<2986>(東証グロース)である。同社株は、11月26日に今12月期業績の上方修正と増配を発表したが、この上方修正は今期2回目、増配は今期3回目となり、この発表を受けて株価は、前週末29日まで15%超も急伸して上場来高値追いとなった。
■LAHD急伸!上方修正・増配がもたらすカウンターアタック
LAホールディングス(LAホールディングス)のどこが「守り」かといえば、その決算期にある。12月期決算会社の「守り」の代表株といえば、JT<日本たばこ産業、2914>(東証プライム)となる。年間配当利回りは4.56%と高配当利回りランキングの上位にランクされ、このインカムゲイン妙味が、同社株価を下支えして相場波乱期に逆行高するカタリスト(株価材料)となっている。LAHDの増配は、3回目で年間配当を290円(前期実績211円)に大幅増配し、配当利回りは4.59%へ高まる。しかも、配当権利付き最終売買日26日まであと4週間、債券投資の所有期間利回り感覚を適用すれば、実質利回りはさらに向上する。
一方、LAHDのどこが「攻め」か?同社の今12月期純利益は、2回の上方修正で45億円(前期比36.6%増)と増益転換率を伸ばして2期ぶりに過去最高を更新する見込みである。これを受けてPERは8.7倍と大きく割り負け放置をアピールし、キャピタル・ゲイン妙味を示唆したことにある。決算期末を前にインカムゲイン狙いの専守防衛に徹し、相場の間隙を縫ってキャピタル・ゲイン狙いのアタックに転ずれば、堅守速攻型の成功ストーリーが夢見られるはずである。
12月期決算会社は、権利付き最終売買日までなお時間を残しており、LAHDと同様の銘柄がさらに出てくる可能性もあるが、実はこの11月以降、業績を上方修正し配当を増配させた12月期決算銘柄がかなりの数、登場している。そのなかで低PER・高配当銘柄を選りすぐればLAHDと同様に堅守速攻型の師走相場が期待できるはずである。
■二刀流で挑む割り負け修正と値幅狙いの投資戦略
もう一つ番外編として、師走相場でマークしたい「堅守速攻型」銘柄がある、師走相場になると決まって「ご意見無用」とばかり投資意欲を燃え立たせる低位株マニアが得意とする値ごろ妙味のある銘柄である。需給優先の「買うから上がる、上がる買う」と短期売買が繰り返される。ただし足元の師走相場では、ユニチカ<3103>(東証プライム)が、繊維業から全面撤退と希薄化が懸念される優先株の発行を発表して株価が20%安と急落したこともあり、「ご意見有用」の銘柄への選好が強まる展開も想定される。今期業績を上方修正し、その上方修正幅が大幅になった銘柄が浮上し、その値ごろに下値不安が限定的なことが「守り」の砦となり、大幅上方修正が「攻め」として意識されることになりそうだ。12月期決算会社の割り負け修正と低位値ごろ株の値幅狙いの二刀流で師走相場の「堅守速攻」戦術にチャレンジしたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)