ソフトクリエイトホールディングスは22年の最高値に接近、25年3月期増収増益予想、さらに上振れ余地

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大などを推進している。なお連結子会社visumoが12月26日に東証グロース市場へ新規上場予定である。25年3月期は増収増益予想としている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人的資本投資による人件費の増加などを吸収する見込みだ。中間期が計画超だったことを勘案すれば、通期予想にも上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来高値更新の展開で22年3月の最高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開

 ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分はECソリューション事業およびITソリューション事業としている。

 24年3月期のセグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は、ECソリューション事業が155億44百万円、ITソリューション事業が123億68百万円、経常利益(全社費用等調整前)はECソリューション事業が39億63百万円、ITソリューション事業が28億35百万円、経常利益の調整額が▲14億42百万円だった。

 売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築が103.9億円、デジタルマーケティングが34.8億円、ECクラウドサービスが16.7億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が60.2億円、ITパッケージが18.0億円、ITクラウドサービスが22.9億円、IT機器が22.5億円だった。各分野とも増収基調となっている。

■ECソリューション事業はECサイト構築「ecbeing」が主力

 ECソリューション事業は連結子会社ecbeingのECサイト構築パッケージecbeingの販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中~大規模顧客向けを中心に国内ECサイト累計構築実績は22年度末時点において1600サイトを突破した。EC構築ソリューション市場における市場シェアは16年連続1位(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2024年版」ECサイト構築(カスタマイズ型/SaaS)市場占有率、2023年度実績)である。また23年のecbeing年間流通総額は1兆2405億円を突破した。

 22年2月にはecbeingが海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。22年11月にはecbeingが、レビューマーケティングプラットフォームのReviCoを展開する新会社ReviCoを設立した。23年7月にはecbeingがMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットシステムのAIデジタルスタッフをリリースした。24年6月にはecbeingが、ECサイトと会員情報を一元化できる予約管理システムRESOMO(リソモ)をリリースした。

 なお24年11月22日に、ビジュアルマーケティングプラットフォーム開発・運営を展開する連結子会社のvisumoが、東証グロース市場への新規上場(24年12月26日予定)が承認された。上場に伴って同社の株式保有割合は低下するが、引き続き同社の連結子会社としてグループ全体の成長を推進する。

■ITソリューション事業はSIやワークフローシステムが主力

 ITソリューション事業は連結子会社ソフトクリエイトの自社開発SCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、システムインテグレーション(SI)やIT機器販売、連結子会社エイトレッド<3969>のワークフローシステム(パッケージ型AgileWorks、クラウド型X-point Cloud)を主力としている。24年4月にはソフトウェア受託開発を主力とするシステムワークスジャパンを連結子会社化した。

 24年2月にはソフトクリエイトが企業向け生成AIサービスSafe AI Gatewayをリリースした。24年5月にはソフトクリエイトが生成AI型チャットボットSafe AI Botをリリースした。Safe AI Gatewayのチャットボット機能から派生した商品である。なお24年6月にはソフトクリエイトが経済産業省の「DX認定事業者」として認定を取得した。

 エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は累計4500社を突破している。そしてクラウド型X-point Cloudは、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。23年12月にはX-point Cloudが、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する令和3年度改正基準の「電子取引ソフト法的要件認証」を取得した。24年3月にはAgileWorksクラウド版の販売を開始した。

 成長戦略として、クラウドサービス(ECクラウドサービスのメルカート、ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumo、レビュー最適化ツールのRevico、サイトミライズ、オムニチャネル分析ツールのSechstantなど)の拡販にも注力している。ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumoは導入実績が800社を突破した。

■25年3月期増収増益予想、さらに上振れ余地

 25年3月期の連結業績予想は売上高が24年3月期比7.5%増の300億円、営業利益が6.0%増の54億80百万円、経常利益が6.1%増の56億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%増の34億50百万円としている。配当予想は24年3月期比7円増配の55円(第2四半期末27円50銭、期末27円50銭)としている。5期連続増配で予想配当性向は40.0%となる。

 第2四半期累計(中間期)の連結業績は、売上高が前年同期比9.5%増の151億71百万円、営業利益が2.8%減の26億15百万円、経常利益が3.4%減の27億56百万円、親会社株主帰属四半期(中間)純利益が6.9%増の17億68百万円だった。

 前期の一過性収益(サイト運用収益3.3億円)の反動や人的資本投資によるコスト増加などで小幅営業・経常減益だったが、期初計画(売上高144億45百万円、営業利益24億14百万円、経常利益25億36百万円、純利益15億64百万円)を上回る水準で着地した。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大した。

 ECソリューション事業は、売上高が5.7%増の81億49百万円で、経常利益(全社費用等調整前)が8.8%減の19億47百万円だった。主力のECサイト構築売上高が順調に拡大し、ECサイト売上拡大施策となるクラウドサービス売上高も伸長した。売上高の内訳はECサイト構築が8.6%増の55.2億円、デジタルマーケティングが11.5%減の16.0億円、ECクラウドサービスが26.1%増の10.1億円だった。

 ITソリューション事業は、売上高が14.3%増の70億21百万円で、経常利益が9.3%増の14億10百万円だった。クラウドサービスやセキュリティ・インフラ構築が順調に拡大した。売上高の内訳はセキュリティ・インフラ構築が4.3%増の31.5億円、ITパッケージが35.6%増の11.2億円、ITクラウドサービスが22.4%増の13.4億円、IT機器が17.5%増の13.8億円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が70億99百万円で営業利益が10億67百万円、第2四半期は売上高が80億72百万円で営業利益が15億48百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人的資本投資による人件費の増加などを吸収する見込みだ。売上高の計画はECソリューション事業が8.7%増の169億円、ITソリューション事業が5.9%増の131億円としている。経常利益(24年3月期比3.3億円増)の増減要因分析は売上総利益増加で8.1億円増、人件費増加で2.1億円減、研修費増加で0.2億円減、広告費増加で0.4億円減、研究開発費増加で0.3億円減、その他経費増加(税金等)で1.8億円減としている。

 通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高51%、営業利益48%、経常利益49%、純利益51%と順調だった。期初時点で下期偏重の計画だったこと、第2四半期累計が計画を上回る水準で着地したことを勘案すれば、通期予想にも上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回、長期保有優待も実施

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。

■株価は22年の最高値に接近

 株価は年初来高値更新の展開で22年3月の最高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。12月3日の終値は2245円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS137円50銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS741円49銭で算出)は約3.0倍、そして時価総額は約619億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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