ASIAN STAR、24年12月期大幅増益予想、販売用不動産の販売好調

 ASIAN STAR(エイシアンスター)<8946>(東証スタンダード)は国内と中国で不動産関連事業を展開し、成長戦略として不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。24年12月期は大幅増収増益予想としている。12月6日には販売用不動産の販売を発表した。第4四半期に収益を計上する。積極的な事業展開により通期ベースでの収益改善を期待したい。株価は10月の安値圏から切り返して戻り歩調の形だ。週足チャートで見ると13週移動平均線を突破し、さらに26週移動平均線突破の動きを強めている。出直りを期待したい。

■国内と中国で不動産事業を展開

 国内と中国で不動産関連事業を展開し、中国の上海徳威企業および徳威国際(上海徳威企業の100%子会社)の2社と資本提携している。

 23年12月期のセグメント別売上高構成比は、不動産販売事業が34%、不動産管理事業が28%、不動産賃貸事業が18%、不動産仲介事業が21%、投資事業が0%だった。セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は、不動産販売事業が24%、不動産管理事業が33%、不動産賃貸事業が17%、不動産仲介事業が26%、投資事業が0%だった。

 国内では従来の主力だった投資用マンション開発・販売を縮小し、過去に販売した投資用マンション「グリフィンシリーズ」を中心とする安定収益源の管理・賃貸・仲介、および横浜エリアでの戸建住宅販売にシフトしている。投資事業を行う子会社のASIAN STAR INVESTMENTSは、民泊施設運営代行のオールステイへの投資を実行している。また24年10月には亜信(東京都豊島区)の第三者割当増資を引き受けて連結子会社化(51%出資)した。中国投資家の関心が高い東京都内の収益不動産に関する物件情報取得、中国投資家への販路拡大を強化する。

 中国ではベルグラビアグループを買収して、サービスアパート運営管理事業、およびワンルームマンション賃貸事業を展開している。20年12月には子会社の柏雅香港が、資本提携先の中国・徳威企業の子会社である徳威不動産グループ3社(徳威不動産、U-HOME、特庫伊投資)を子会社化した。21年12月には、連結子会社(孫会社)で中国においてワンルームマンション賃貸を行っている陽光智寓(香港)の全株式、および上海陽光智寓の全持分を譲渡して連結から除外した。中国における賃貸管理事業については引き続き子会社の柏雅酒店管理(上海)有限公司、上海優宏資産管理有限公司、上海特庫伊投資管理有限公司が行う。

 財務戦略では、資本市場を活用した資金調達の検討、財務レバレッジを利用した不動産投資の実施、配当戦略では利益水準に応じた安定的配当の実施、トータル・シェアホルダー・リターン(TSR)等の指標の検討を実施する。

■付加価値創造事業分野のアジア展開も推進

 中期成長戦略として、事業戦略では不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、投資戦略では企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。

 付加価値創造事業分野のアジア展開では、新たな事業ドメインとして医療・健康など「日本において高い付加価値を誇る事業分野のアジア展開のサポート」を推進する方針だ。

 20年12月には中国・海南太禾控股集団と戦略提携した。海南省・紅旗国際健康産業タウンプロジェクトを推進する。そして21年2月には、中国・海南太禾控股集団の子会社である中国・海南太禾健康産業と合弁会社設立に向けた契約を締結した。中国・海南太禾控股集団との戦略提携の一環として、紅旗国際健康産業タウンへの日本企業の誘致、日本製先端医療機器・医薬品・サプリメントなどの中国への導入・販売支援等を事業目的とする。

 21年9月には、健康コンサルティング会社の中国・広東泛華藍十字健康管理公司と、医療健康サービス分野における戦略提携で覚書を締結した。広東泛華藍十字健康管理公司の親会社である中国・泛華金融ホールディングスグループの顧客に対して、訪日健康診断・先進医療治療・医療ツーリズム等のコーディネートサービスを計画している。日本の高水準の医療健康サービスを提供する。

 23年12月には中国国有企業の1社である上海展覧中心(集団)有限公司と、高級サービスアパートメントPJ等においての業務提携意向協定を締結した。

■24年12月期大幅増益予想

 24年12月期の連結業績予想は売上高が23年12月期比73.0%増の36億78百万円、営業利益が76.2%増の94百万円、経常利益が86.5%増の88百万円、親会社株主帰属当期純利益が151.5%増の75百万円としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比17.4%増の16億85百万円、営業利益が1億22百万円の損失(前年同期は1億19百万円の損失)、経常利益が1億22百万円の損失(同1億21百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益が1億28百万円の損失(同1億23百万円の損失)だった。

 不動産販売事業の投資用マンション買取再販や不動産管理事業の好調で大幅増収だが、不動産相場の高止まりで戸建開発の収益性が低水準にとどまっているため赤字だった。

 不動産販売事業は売上高が53.0%増の6億78百万円、営業利益が32百万円の損失(同8百万円の損失)だった。不動産管理事業は売上高が17.2%増の5億09百万円、営業利益が26.6%増の92百万円だった。建物管理の業容拡大や経費削減効果などで増収増益だった。不動産賃貸事業は売上高が4.3%減の2億80百万円、営業利益が2.9%増の46百万円だった。前期に投資物件の一部を売却したため減収だが、経費削減効果で増益だった。不動産仲介事業は売上高が18.5%減の2億23百万円、営業利益が94.4%減の1百万円だった。中国子会社を中心に賃貸仲介業務は堅調だったが、組織変更等の影響で売買仲介が伸び悩んだ。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が3億27百万円で営業利益が92百万円の損失、第2四半期は売上高が9億16百万円で営業利益が7百万円、第3四半期は売上高が4億42百万円で営業利益が37百万円の損失だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。重点施策として、不動産管理事業では安定的な収益獲得と新規管理受託件数増加、不動産販売事業では横浜エリアを中心とした販路拡大と販売戸数増加、都内のマンション買取再販の強化、不動産仲介事業では投資用および居住用物件の積極的な斡旋による取扱件数の増加、タワーマンションなど大型物件の斡旋強化、不動産賃貸事業では稼働率維持と管理契約内容見直しによる収益増加、投資事業では中国および日本企業との協業による本邦不動産投資案件の吟味などを推進する。

 12月6日には販売用不動産(東京都中央区、区分所有建物)の販売を発表した。販売価格は直前期(23年12月期)の連結売上高の10%以上の額に相当する見込みで、第4四半期に収益を計上(通期予想に織り込み済み)する。第3四半期累計は赤字だったが、積極的な事業展開により通期ベースでの収益改善を期待したい。

■株価は戻り歩調

 株価は10月の安値圏から切り返して戻り歩調の形だ。週足チャートで見ると13週移動平均線を突破し、さらに26週移動平均線突破の動きを強めている。出直りを期待したい。12月6日の終値は84円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円17銭で算出)は約26倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS91円13銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約20億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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