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協立情報通信、25年3月期大幅営業・経常増益予想、通信インフラ関連と法人向けモバイルサービスが順調に推移
- 2024/12/10 10:24
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
協立情報通信<3670>(東証スタンダード)は、中堅・中小企業のICT化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営のモバイル事業を展開し、成長戦略として事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営などを推進している。25年3月期は大幅営業・経常増益予想としている。ソリューション事業は通信インフラ関連、モバイル事業は法人向けサービスが順調に推移する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏から反落して軟調だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■ソリューション事業とモバイル事業を展開
中堅・中小企業のICT(情報通信技術)化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営のモバイル事業を展開している。
24年3月期(非連結決算)のセグメント別業績は、ソリューション事業の売上高が17億52百万円で営業利益(全社費用等調整前)が4億85百万円、モバイル事業の売上高が37億16百万円で営業利益が2億36百万円だった。
ソリューション事業は、NEC<6701>、NTTドコモ<9437>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、日本マイクロソフト、サイボウズ<4776>の主要パートナー企業5社の製品・サービスを融合し、会計情報ソリューションやマイクロソフト365サービスなど、情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用の3分野を総合したワンストップソリューションの経営情報ソリューションサービスを提供している。体感型フューチャーラボの「協立情報コミュニティー」において、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。
モバイル事業はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ5店舗(東京都内2店舗、埼玉県内3店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューション(ドコモ法人・モバイルサービス)を展開している。
■中期経営計画
スマホ市場の成長鈍化やクラウドSaaSの急速な普及など、事業環境の変化に対応して、23年6月に中期経営計画を見直した。新たな中期経営計画(24年3月期~26年3月期、ローリング方式)では、最終年度26年3月期の目標値には売上高60億円、営業利益4億円、当期純利益2.6億円、純資産23億円、EPS222円、BPS1960円を掲げている。株主還元については配当性向30%~40%程度を目途に、業績連動による適正な配当を実施するとともに、業績悪化時も一定水準を維持する方針としている。
成長戦略として事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営を推進するとしている。
事業ポートフォリオの再構築では、収益構造(売上高)の目標として、23年3月期実績49.8億円(法人系25.5億円、店舗系24.3億円)から、26年3月期に60億円(法人系40億円、店舗系20億円)へ、さらに長期目標の100億円(法人系80億円、店舗系20億円)を目指すとしている。24年3月期~25年3月期はパートナー共創の強化、融合事業サービスの強化、継続収益サービスの進化、26年3月期以降は事業拡張の強化、営業エリアの拡大、サービス領域の拡大を推進する。
継続収益の拡大では、売上規模の拡大を図りつつ、継続収入金額・比率の目標として、23年3月期実績9億67百万円・19%から、26年3月期に13億80百万円・23%を目指すとしている。クラウドサービスの深化、サブスク型サービスの拡大、サポートサービスの強化などを推進する。
サステナブル経営の推進については、経営理念のもと、すべてのステークホルダーに配慮し、環境負荷低減への貢献、ダイバーシティ推進と人財育成、顧客・パートナーとの共創、コーポレートガバナンスの充実などサステナブル(ESG、DSGs)経営を推進する。
■スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書
22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編に関してはスタンダード市場を選択し、21年12月15日付でスタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画2024で打ち出した基本戦略を着実に遂行し、定量目標の達成による収益力の強化・利益の拡大、株主還元の充実、コーポレートガバナンスの充実、資本政策の検討・実施、IR活動の充実と情報発信の強化などによって企業価値の向上(時価総額の上昇)を図り、26年3月期にスタンダード市場上場維持基準の充足を目指すとしている。
なお資本政策の検討・実施については、流通株式比率37%以上の維持と株主利益に配慮しつつ、流通株式時価総額の適合に資する各施策(自己株式の処分、非流通株式の縮減、ストック・オプションの従業員行使など)について是非を検討する。
そして24年6月には、計画に基づく進捗状況をリリースした。24年3月末時点で流通株式時価総額がスタンダード市場の上場維持基準を充たしていないが、当初計画通り26年3月期までに上場維持基準を充たすために各種取組を推進するとしている。
■25年3月期大幅営業・経常増益予想
25年3月期の非連結業績予想は売上高が24年3月期比0.6%増の55億円、営業利益が23.5%増の3億50百万円、経常利益が24.2%増の3億55百万円、当期純利益が10.9%減の2億30百万円としている。配当予想は24年3月期と同額の55円(期末一括)としている。予想配当性向は28.6%となる。
第2四半期累計(中間期)は、売上高が前年同期比12.5%減の21億58百万円、営業利益が1.3%増の90百万円、経常利益が3.9%減の92百万円、四半期(中間)純利益が54.1%減の61百万円だった。モバイル事業の店舗部門が低迷したため減収だが、ソリューション事業の粗利率上昇により、全体として営業利益と経常利益は前期比横ばいだった。
ソリューション事業は売上高が2.2%減の8億45百万円、営業利益(全社費用等調整前)が5.5%増の2億50百万円だった。法令対応等のシステム更新需要が一巡したため業務システム案件数が減少して売上高は横ばいだが、サービス比率の拡大や粗利率の上昇により増益だった。モバイル事業は売上高が18.0%減の13億12百万円、営業利益が16.5%減の55百万円だった。法人サービス部門は堅調だったが、店舗部門が低調だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が10億38百万円で営業利益が18百万円、第2四半期は売上高が11億20百万円で営業利益が72百万円だった。
通期業績(非連結)予想は据え置いて、大幅営業・経常増益予想としている。需要が堅調に推移し、業務効率化なども寄与する見込みだ。重点戦略として、ワンストップソリューションサービスによるDX化支援の強化、モバイル事業の利活用サポート強化、サステナブル経営や人材の採用・育成および環境の整備を推進する方針としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末時点で5単元(500株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて島根県の特産品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は反発の動き
株価は戻り高値圏から反落して軟調だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。12月9日の終値は1615円、今期予想PER(会社予想のEPS192円02銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約3.4%、前期実績PBR(前期実績のBPS1682円00銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約19億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)