日経平均がNYダウ離れして自力走行できるか試す展開、アベノミクス第2ステージ政策具体化次第=犬丸正寛の相場展望
NYダウ、日経平均とも基調は強いものの、上値がやや重くなっている。日経平均はチャイナショックで最初に安値(8月26日)をつけたあとの戻りのフシ1万9192円(8月29日・場中値)を前にモミ合っている。とくに、日経平均を牽引してきたNYダウが息切れ感を強めていることから、ここからNYダウに頼らず日経平均が独力で上値を追うことができるかどうかを試す展開だろう。
NYダウは中国ショック前の水準を完全に回復した。景気、企業業績の堅調、10月利上げ見送りなどが背景だった。次のFOMC開催の12月まで利上げ問題から開放されることはプラスだが、12月利上げの可能性がメッセージとして残されており今後、利上げが可能かどうか景気の動向を注視する姿勢はいっそう強まりそうだ。29日に発表された7~9月期GDP速報値はプラス1.5%と4~6月期の3.9%から大きく減速し景気に対する警戒感が台頭している。11月6日には10月の雇用統計が発表される。NYダウがこのまま大きく上値を追うことは難しそうだ。
日経平均がNYダウに頼らず上昇するには、アベノミクス第2ステージの具体的政策が必要だろう。とくに、17年4月の消費税10%を控え金融政策面の支援が見込めるかどうか。11月中旬には日本の7~9月期のGDP速報値が発表されマイナス成長が予想されることから、マーケットがどう判断し動いて金融緩和を引き出すことができるかどうか。
足元では、9月決算が発表中で全体としては好調といえる。ただ、「アベノミクス第1ステージの効果によるもので足元の好調は当然といえる。しかし、中国経済減速の影響から先行した業績好調の主力組には下振れもみられることは心配だ。第1ステージの効果が一巡ということになれば企業業績全体としても伸び悩みの可能性がある」(中堅証券)とみられている。このあたりの見方が7~9月のGDP数値と共にマーケットがどう判断するかにいよって政策当局のスタンスは変わってくるものとみられる。
一方、需給関係が好転していることから日経平均が大きく下げる可能性は小さそうだ。とくに、8,9月で約3兆8000億円、日本株を売り越した外国人投資家が小口ながら買い越しに転じていることは大きい。
日経平均は、NYダウが中国ショック前水準を回復したのに対しショック前水準の2万0500円前後までまだ1400円ていど下に位置し出遅れ感はある。このため、基調としては日経平均は2万円台を目指しているとみられるが、中国減速の影響が現実に日本の主力銘柄の業績に悪影響となって現れているだけに、ここからは、1にも2にもアベノミクス第2ステージの政策具体化にかかっているといえるだろう。