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【アナリスト水田雅展の銘柄診断】東京個別指導学院は調整一巡して強基調に回帰、今期好業績見通しを評価して7月高値を試す
- 2014/10/31 06:55
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
小中高校生向け個別指導学習塾を展開する東京個別指導学院<4745>(東1)の株価は、急伸した7月の年初来高値490円から反落し、9月下旬には360円近辺まで調整する場面があったが、その後は切り返しの動きを強めている。調整が一巡して強基調に回帰した可能性があり、今期(15年2月期)の好業績見通しを評価して7月高値を試す展開だろう。
ベネッセホールディングス<9783>グループで、小中高校生向けの個別指導学習塾を展開している。前期(14年2月期)末の教室数は首都圏158教室、関西地区37教室、東海地区8教室、九州地区5教室の合計208教室で、小中高校生合計の期中平均在籍人数は前々期比8.6%増の2万3790人だった。
14年4月に中期経営計画「Shining☆2015」のローリングプランを発表し、目標数値として16年2月期の売上高169億円以上、営業利益23億円以上、教室数219教室、生徒数(4月末)2万4500人以上を掲げている。
重点戦略は「品質強化による受験対応力強化」「小中学生比率の改善」「新教室の開校」「既存教室生徒数の増加」「マーケティング改革」として、Webマーケティングの積極的活用、テレビCMの実施、ベネッセコーポレーションとの連携強化、自社コールセンターの強化、新規教室開校、顧客の利便性や収益性の改善を目指した教室移転・リニューアル・増床、iPadを活用した映像学習の全教室導入、目的別・学力別・性格別完全オーダーメイド個別指導の強化などで新規入会者・在籍生徒数の増加を推進している。
14年4月には、通信教育と個別指導を連携した「進研ゼミ個別サポート教室」の全教室での実施を開始し、ベネッセコーポレーションから「Benesseサイエンス教室」「Benesse文章表現教室」の事業譲渡を受けた。そして14年8月にはインターネットによる個別指導「東京個別指導学院ネット教室」を開始した。
10月30日には、ベネッセコーポレーションの自学自習教材である進研ゼミと当社の教室運営・個別指導のノウハウを融合させた新業態を、進研ゼミ会員を対象に事業化すると発表した。進研ゼミの教材「チャレンジ」を活用して1人の先生(コーチ)が生徒4人を指導する個別フォロー型学習サービスで、当社の中核事業「1対2個別指導」の新展開としている。14年7月の「ベネッセグループ経営方針説明会」で発表した「進研ゼミと学習塾の戦略的融合」に基づいて事業化するもので、14年12月開校予定の「東京個別指導学院仙川教室」(東京都調布市)を皮切りに次年度以降、少人数・自立型の新しい教室モデルを順次拡大する。
10月8日に発表した今期(15年2月期)第2四半期累計(3月~8月)の業績(非連結)(10月1日に売上高を減額、利益を増額修正)は、売上高が前年同期比10.0%増の73億54百万円、営業利益が81百万円(前年同期は79百万円の赤字)、経常利益が84百万円(同77百万円の赤字)、純利益が37百万円(同64百万円の赤字)だった。
新規7教室の開校や既存教室リニューアル、そしてマーケティング戦略の成功で入会者数が大幅に増加した。月末在籍者数は前年を毎月上回り、授業料売上が毎月堅調に推移した。利益面ではコストの効率化・適性化の効果も寄与して営業損益が改善し、各利益とも黒字化した。
通期の業績(非連結)見通しは前回予想(4月9日公表)を据え置いて、売上高が前期比10.1%増の157億72百万円、営業利益が同25.9%増の16億02百万円、経常利益が同25.6%増の16億05百万円、純利益が同23.4%増の9億10百万円、配当予想が同2円増配の年間8円(第2四半期末4円、期末4円)としている。新規教室開校は7教室の計画で、14年7月に今期7教室目の「川崎市・溝の口南口教室」を新規開校した。
マーケティング戦略の成功で入会者数が大幅に増加した第2四半期累計の好調が継続し、新分野への事業展開やコスト効率化・適正化の進展なども寄与して増収増益見込みだ。通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は低水準だが、春季は卒業などで一時的に在籍生徒数が減少するため、下期の利益構成比が高い収益構造である。こうした学習塾・教育関連業界の特徴を考慮すればネガティブ要因とはならない。第2四半期累計の利益が想定を上回ったため、通期の利益見通しも上振れ期待が高まる。
少子化による学齢人口縮小で業界再編・淘汰の動きも活発化しているが、政府が打ち出している教育改革に伴う教育環境変化への不安・関心の高まりも背景として、個別指導学習塾への期待感は一段と高まっている。祖父母から孫への教育資金贈与非課税制度など国の政策も追い風だろう。
株価の動きを見ると、急伸した7月の年初来高値490円から反落し、9月下旬には360円近辺まで調整する場面があったが、その後は切り返しの動きを強めている。調整が一巡して今期好業績見通しを評価する動きだろう。
10月30日の終値400円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS16円77銭で算出)は23~24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS128円21銭で算出)は3.1倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を突破し、週足チャートで見ても26週移動平均線と13週移動平均線を続けて突破した。強基調へ回帰した可能性があり7月高値490円を試す展開だろう。