- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ジャパンフーズは16年3月期の収益改善期待で出直り、低PBRも評価材料
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ジャパンフーズは16年3月期の収益改善期待で出直り、低PBRも評価材料
- 2014/12/19 15:33
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
飲料受託生産大手ジャパンフーズ<2599>(東1)の株価は、10月の年初来安値1060円で底打ちし、12月上旬に1135円まで戻す場面があった。その後は地合い悪化の影響で一旦1100円近辺まで調整したが、今期(15年3月期)の減収減益見通しは織り込み済みであり、来期(16年3月期)の収益改善を期待して出直り展開だろう。1倍割れ水準の低PBRも評価材料だ。
伊藤忠商事<8001>系で飲料受託生産の国内最大手である。品目別には炭酸飲料と茶系飲料を主力として、コーヒー飲料、果汁飲料、機能性飲料、酒類飲料、ファーストフード店のディスペンサーでサービスされる業務用濃縮飲料(ウーロン茶、アイスコーヒーなど)を製造している。
主要得意先はアサヒ飲料、キリンビバレッジ、伊藤園<2593>、サントリー食品インターナショナル<2587>などの大手飲料メーカーである。容器別にはペットボトル飲料を主力として、缶飲料は戦略的に減少させている。
14年4月に中期経営計画「JUMP2015」のレビューと見直しを発表した。定量計画(イメージ)に15年度連結ベース売上高390億円、営業利益15億50百万円、経常利益15億円、純利益10億円、ROE11.4%を掲げている。中期成長に向けた基本戦略は、コアビジネス(国内飲料受託製造事業)の収益拡大、新規ビジネス(海外事業、水宅配事業、自社ブランド商品、その他)の着実な推進、成長戦略を支える経営基盤の強化としている。
新規ビジネス分野では、国内で水宅配事業を展開するウォーターネット、中国で飲料受託製造事業を展開する東洋飲料(常熱)有限公司への出資比率を引き上げている。ウォーターネットの販売数量、東洋飲料(常熱)の受託数量とも順調に増加しているようだ。
自社ブランド商品に関しては、本社工場がある千葉県産の農林水産物を使用した商品の開発に取り組み「おいしい房総サイダー」シリーズなどを千葉県中心に販売している。14年9月には、千葉県鴨川市産レモンを使用して千葉県と共同開発したレモンウォーター「房総れもん」を数量限定および千葉県限定で発売した。
中期経営計画に基づく積極投資も着実に実行している。12年7月には本社工場で世界最新鋭の炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン(Eライン)が稼動し、14年3月には既存大型ペットボトルライン(Tライン)も炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン化した。
さまざまな容器(ペットボトル、瓶、缶)を世界最大級の1工場で生産するため、受注状況に応じてラインを組み換えることが可能であり、繁忙期には複数ラインで同一製品を同時製造する効率的な生産が強みだ。さらに容器のコストダウンなどにも積極的に取り組んでいる。
なお本社工場のある千葉県長柄町は、首都圏に近いロケーションという競争優位性に加えて、表層地盤のゆれやすさが0.4~0.6と安定しているため災害優位性にも優れている。
今期(15年3月期)の業績(非連結)見通し(9月11日に減額修正)は売上高が前期比11.4%減の284億円、営業利益が同30.3%減の6億50百万円、経常利益が同28.0%減の6億80百万円、そして純利益が同21.4%減の3億80百万円としている。
配当予想は前回予想(4月24日公表)を据え置いて前期と同額の年間27円(第2四半期末10円、期末17円)としている。配当については業績に応じた安定かつ継続的な配当を行うことを基本方針としている。
第2四半期累計(14年4月~9月)は、消費増税に伴う駆け込み需要の反動影響、全国的な天候不順や消費マインド低迷長期化の影響を受けて、飲料業界全体の販売数量が減少したため、当社の受託数量も減少して大幅減収減益だった。しかし今下期(14年10月~15年3月)には飲料業界の在庫調整が一巡し、新規受託案件も寄与して、前下期(13年10月~14年3月)との比較で受託数量が増加する見通しだ。
今下期の計画は売上高が127億40百万円、営業利益が1億41百万円の赤字としている。飲料業界は全体として冬場が閑散期のため、下期が赤字となる収益構造だが、今下期は前下期との比較で売上高は10.3%増収となり、営業利益は赤字幅が4億90百万円縮小する見通しだ。
収益トレンドで見れば、消費増税や天候不順の影響を受けた今上期がボトムとなり、今下期以降は新規受託案件やコスト削減が寄与して収益改善基調となりそうだ。さらに来期(16年3月期)は、消費増税や天候不順の影響が一巡し、新規受託案件の増加、新ラインの効率稼働によるコスト削減、減価償却費の減少なども寄与して、大幅な収益改善が期待される。
株価の動きを見ると、10月30日に付けた年初来安値1060円で底打ちし、12月2日、3日、そして11日には1135円まで戻した。その後は地合い悪化の影響で一旦1100円近辺まで調整したが、今期の減収減益見通しは織り込み済みであり、来期の収益改善を期待する流れに変化はないだろう。
12月18日の終値1099円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS78円79銭で算出)は14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間27円で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS1485円56銭で算出)は0.7倍近辺である。
週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線突破の動きを強めている。10月の年初来安値で底打ちして強基調への転換する形だ。今下期および来期の収益改善期待に加えて、1倍割れ水準の低PBRも評価して出直り展開だろう。