インフォマート、マンダムが「BtoBプラットフォーム 請求書」導入で年間1400時間以上の作業時間の約9割を削減

 デジタルの力であらゆる業務を効率化するインフォマート<2492>(東証プライム)は、同社が提供する「BtoBプラットフォーム 請求書」が、マンダム<4917>(東証プライム)に導入されたと発表。

■マンダムより伺った導入理由・効果等
 (取材協力=ITイノベーション推進部 ERP推進課 課長)

・「BtoBプラットフォーム 請求書」導入前の課題

 請求書の発行先は約670社で、主な取引先は卸事業者である。請求書の要件を満たす書類は2種類ある。1つは、海外の取引では主流のインボイスの単位である、取引ごとに都度発行するものである。日用品・雑貨品業界では卸事業者との取引でよく使う業界統一伝票で「仕入伝票」と呼ばれる。もう1つは、1ヵ月分をまとめて発行する一般的な請求書で「締め請求書」である。

 請求書業務では、2つの大きな課題があった。1つは紙での発行による、印刷、封入、郵送等にかかる業務とコストの負荷である。2つ目はインボイス制度と電子帳簿保存法への法令対応である。

 マンダムではいわゆる業界VANと呼ばれる業界に特化したEDIを使用している。そのEDIシステムの仕様である「仕入伝票」は専用の帳票を使うため、旧式のドットインパクトプリンタから出力する必要があり、用紙のセットもミリ単位での調整が必要だった。テスト印刷を何度か行い、印刷に不備があれば再印刷する等、手間がかかるため、当番を決めて出社するといった対応が必要だった。

 印刷後は、窓あき封筒の窓に住所が合うように調整して用紙を折って封入する。封入だけでも30分かかり、紙で指を切りそうとの声もあった。郵送も、速達かレターパックか封入枚数で分けたり、ポスト投函のために外出する場合もあり、特注の封筒代や特別帳票の購入代、郵送費等コスト面も大きな負担だった。

 インボイス制度での消費税額計算の端数処理は「インボイス1枚につき、税率ごとに1回」がルールである。すると、従来の「仕入伝票」ごとの端数処理と、月次でまとめた「締め請求書」の端数処理では差額が発生してしまう。検討を重ねた結果、マンダムでは取引ごとの「仕入伝票」を、インボイス制度対応での適格請求書と定めた。従来の「締め請求書」のまとめた請求金額で支払処理をする顧客もいるため、インボイスとは別に月次の請求金額もお伝えする必要があり、「請求金額通知書」と名前を変更しての発行とした。

 しかし、取引先は取引の都度、大量の紙の請求書を受け取って処理をするのでは大変である。そのため、請求書の発行を紙からデジタル化する必要があった。

■導入の決め手

 「BtoBプラットフォーム 請求書」は、以前から受取請求書でよく見かけており、興味があった。調べてみると、データの流れがきれいで、基幹システムとの連携もスムーズである。フォーマットもわかりやすく、欲しい項目や機能も充実していた。

 その上、様々な事情でどうしても紙の請求書を希望されるお客様については、オプション機能で郵送代行も用意されており、お客様側は紙で受け取りながらマンダムとしては完全デジタル化が可能となる。会社のシステムを見る立場からすれば、断然このサービスだと、悩むことはなかった。

 何より、導入実績が豊富で市場優位性もあり、安く、早く、信頼性も高いというのも決断の後押しとなった。

■導入効果

(1)取引ごとの明細データを集計・分析し、用途が広がり利便性が向上

 取引ごとに発行していた「仕入伝票」は、「請求書」として「BtoBプラットフォーム 請求書」から従来のように都度発行しており、この帳票をもってインボイス制度へ対応している。

 月次にまとめて発行していた「締め請求書」は、「BtoBプラットフォーム 請求書」の通知書機能を利用して、1ヵ月分の請求金額を通知する運用になった。税計算は取引明細ごとと、インボイスの要件とは異なるため「ご請求金額通知書」という形で送っている。

 月次の請求額が知りたい顧客には、会計処理は「ご請求金額通知書」で行ってもらうよう案内した。一方、取引ごとの明細データをエクセルにして集計・分析できるので、用途が広がり利便性が高まった。

(2)年間で1,400時間以上かかっていた業務時間を約9割削減

 都度発行する請求書は、従来どおり基幹システムで伝票転記処理をすれば、「BtoBプラットフォーム 請求書」へ自動でデータがアップロードされる仕組みである。対象が約670社あるので、当初から手動でのアップロードは考えていなかった。

 発行も、最初の1ヵ月は財務部が金額の確認後に発行ボタンを押していたが、問題がないことがわかり自動発行に切り替えた。

 「締め請求書」も同様に基幹システムと連携し、5・10日に財務部が締め処理をして、正しい金額か画面上で確認する。その後は自動で「BtoBプラットフォーム 請求書」にデータが連携されて、自動発行する流れである。発行後は、すぐに顧客に確認してもらえる。

 業務負担の軽減効果は、かなり大きい。請求業務に関して、紙にまつわるすべての作業がなくなった。郵送のために出社する必要もなくなり、完全にリモートワークで対応できるので働き方の自由度も増えている。

 郵送費、専用帳票や特殊封筒の購入代、プリンタの電気料金や維持費等がゼロになり、年間コストは約520万円から56万円へと、9割近いコスト削減効果である。導入前は、年間で1,400時間以上かかっていた業務時間も150時間と、約9割も短縮でき、大きな効果をあげている。

■今後の展望

 今回の導入でインボイス制度、電子帳簿保存法への対応が済んだ。また、マンダムではいち早くグローバルスタンダードでもある都度取引の情報をインボイスとする事ができた。2023年10月、インボイス制度の施行と同時に、デジタルインボイスの国際標準規格「Peppol」に準拠した日本版Peppol(JP PINT)がスタートしている。

 JP PINTはデジタル庁が管理する仕組みで、標準仕様のデジタルデータでのやりとりが広まっていけば、さらに利便性の高い未来が期待できそうである。デジタルインボイスは締め請求ではなく都度取引による請求から入金消込まで自動化対応可能であり、今回、マンダムの都度取引インボイスの取り組みによって比較的適用しやすいのではと考えている。今後は他社の動向も見ながら、JP PINTへの対応も視野に入れていきたいと考えている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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