■トランプ劇場が開幕!単線相場で暴騰・暴落のジェットコースター相場へ
2025年相場の大きな特徴は、単線相場様相を強めることだろう。複線相場、複々線相場で始まった2024年相場との際立った違いになる。2024年相場は、新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、ドライバー・建設技術者・医師の不足が懸念された2024年問題が本番を迎え、新紙幣が発行され、パリ・オリンピックが開催され、米国の大統領選挙を迎えるなどイベントが目白押しで、さらに生成AI(人工知能)関連の「エヌビディア祭り」も息長く展開され、どの銘柄にも等しくテーマ株人気が高まるチャンスがあり、バラエティに富んだ相場が展開された。
実際に日経平均株価は、2024年2月22日にあの1989年12月29日につけたかつての史上最高値を32年2カ月ぶりに更新し、7月11日には史上最高値4万2426円まで買い進まれた。32年間も塩漬けにして諦めていた因縁玉が息を吹き返す僥倖に浴した投資家も、数多くいたはずだ。その後、8月に史上最大の下落幅と上昇幅を繰り返し大荒れとなったが、米国の画像半導体トップのエヌビディア人気が波及した半導体関連株の軒並み高が牽引し12月23日終値現在で日経平均株価は、2023年大納会終値から約5700円も上ぶれている。
■荒れ相場必至!米新大統領の一挙手一投足が市場支配
2025年相場も、スケジュール的にはいろいろなイベントが予定されているが、それもこれもたった一つのカタリスト(株価材料)に大きく振り回される可能性が大となる。1月20日に米国の第47代大統領に正式に就任するトランプ大統領の予測不可能性といわれる一挙手一投足である。同大統領の鼻息次第でリスクオンとリスクオフが激しく交錯する単線相場である。とすれば選挙前も選挙中も拳を振り上げてアピールしていた減税や関税引き上げ、規制緩和、移民の強制送還が、就任とともにどれだけのマグニチュードをもってインフレを再燃させるのか、金利、為替、景気などを突き動かすか見極めることが大前提になる。
すでにFRB(米連邦準備制度理事会)は、2024年12月のFOMC(公開市場委員会)で公表したドットチャート(政策金利見通し)で、2025年の利下げが、従来の4回から2回に減少することを示唆したが、インフレ動向次第では金融政策正常化にブレーキが掛かるどころか利上げに方向転換するリスクもないとは限らない。続いて開催された日本銀行の金融政策決定会合後の記者会見でも、植田和男総裁は、「次期政権の経済政策をめぐる不確実性は大きい」と警戒感を隠さなかった。お屠蘇気分のなかでも、トランプ大統領の情報発信は、細大漏らさずウオッチが怠れない。
■2025年は「トランプリスク」が最大のテーマ!
政治状況も、波乱含みである。マルチ(多国間)よりバイ(二国間)のディール(取引)により相手国の譲歩を引き出すことを得意技とするトランプ大統領を押しとどめるはずのEU(欧州連合)では、ドイツが20252月に連邦議会議員選挙を控え、フランスでは内閣不信任案が可決されるなどの政情不安が続いてパワーバランスが激変して「トランプ一強体制」にかき回される頻度が増えそうだ。ウクライナやパレスチナは、不本意な停戦合意に追い込まれ、台湾は、輸入拡大で中国の習近平主席とトランプ大統領が握手して置きざりにされないとも限らない。
もっとも、こうした「トランプリスク」は、2024年の後半相場では波乱要因としてそのつどそのつど意識されたが、ダウ工業株30種平均(NYダウ)を筆頭に主要3株価指数が、いずも史上最高値を更新した「トランプトレード」のなかで相当程度織り込まれたはずだ。2025年相場は、「トランプリスク」と抱き合わせで「トランプ劇場」へさらにレベルアプする可能性もなくはなく、これが東京市場に波及してくる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)